基礎知識
インバウンド需要に対応する、クレジットカード決済導入のポイント

年々増え続けている、海外からのインバウンド(訪日旅行)。海外では日本以上にクレジットカード決済が普及している国が多く、インバウンド需要に対応するためには、クレジットカード決済の導入が不可欠です。インバウンド向けのクレジットカード決済導入のポイントと注意点について、考えてみましょう。
目次
過去最高値が年々更新されるインバウンド
ラグビーワールドカップ、世界的スポーツの祭典、大阪万博と、日本では2019年以降、国際的なイベントが多く予定されています。そうしたこともあって、今以上の増加が見込まれているのが、海外から日本を訪れる訪日外国人です。
■年別訪日外国人数の推移

※日本政府観光局(JNTO)「月別・年別統計データ(訪日外国人・出国日本人)」
訪日外国人は増え続けている
訪日外国人はここ10年ほどのあいだ、毎年のように増え続けています。2011年こそ震災の影響で一時的な減少がありましたが、2012年以降は過去最高記録を更新し続け、2018年には年間3,000万人を突破しました。2019年も前年同月比で増加を続けており、この勢いはまだまだ衰えそうもありません。
当然ながら、訪日外国人客を対象としたインバウンド需要も活況を呈しています。インバウンド需要に応えるとなると、まず必要なのがクレジットカード決済への対応です。
日本以上に普及している、海外のクレジットカード決済
日本でもクレジットカード払いはかなり普及してきましたが、海外は日本の比ではありません。日本でいうところの屋台のような、街なかのワゴンショップでもクレジットカード払いができるのは当たり前という国もありますし、コーヒー1杯でもクレジットカードで支払うのは日常的な風景になってきているようです。
そうした環境に慣れた訪日外国人旅行者にとって、「クレジットカードが使えない」というのはわずらわしいものでしょう。インバウンドの需要に対応するには、クレジットカード決済が不可欠なのです。
クレジットカード決済でインバウンド需要に対応しよう
「クレジットカード決済はコストがかかるんじゃないの?」「手続きが難しそうで、よく分からない」といった疑問や不安は、よく聞かれるものです。しかし、クレジットカード決済によって、今後も増え続けるインバウンド需要に応えることができれば、メリットのほうが大きいはずです。
まずは、クレジットカード決済の疑問や不安を解消することから始めましょう。
「クレジットカード決済はコストがかかる」という思い込み
クレジットカード決済を導入するには、対応する機器類が必要です。これらは、機能やタイプによって価格もまちまち。しかし、スマートフォンやタブレットさえあれば、決済端末とPOSレジシステムが低予算で導入できますし、政府のキャッシュレス・消費者還元事業の制度を活用すれば、実質無料で機器をそろえることもできます。
コストを気にしてクレジットカード決済を導入しないのは、販売機会を見逃してしまうことになるのではないでしょうか。
必要な決済方法を見極めよう
ここ数年、日本では政府がキャッシュレス化を推進する政策をとっていることもあり、さまざまな決済方法が登場しました。Suicaなどの電子マネーはすでに普及しているといえますし、ほかにもおサイフケータイやバーコード決済、さらに仮想通貨で支払いができる店舗も現れています。
しかし、これらの決済方法すべてに対応しようとすると、それぞれに決済端末が必要になり、レジ作業が繁雑になってしまいます。クレジットカード以外の決済方法の需要を考えても、すべての決済方法に対応する必要はないでしょう。
お客さまのあらゆるニーズを満たす必要がある量販店のようなスタイルならばともかく、一般の店舗であれば、キャッシュレスの主流であるクレジットカード決済に対応しておけば十分でしょう。
ICカードと磁気カードの違い

現在発行されているクレジットカードには、実は2つの種類があります。1つはICチップを埋め込んだ、ICカードと呼ばれるタイプ。もう1つは古くから使われていた、クレジットカード裏面の磁気テープにデータを記録しておく磁気タイプです。
ICカードへの移行は世界的な流れであり、すでに普及度がほぼ100%、つまりほとんどすべてのクレジットカードのIC化が完了している国もあります。しかし、旧式の磁気タイプを採用しているカード会社もまだまだ多くあります。クレジットカード決済を導入するなら、これら両方のカードに対応できる決済端末を選ぶことが、賢い選択です。
クレジットカードが使えると思って入ったお店で、端末が対応していないために決済できなかったら、お客さまもガッカリしてしまいます。そのようなことにならないよう、準備しておきましょう。
クレジットカード決済にかかるコスト
クレジットカード決済に必要となるおもなコストには、導入するための初期費用と、決済ごとに発生する決済手数料の2つがあります。ここでは、各コストについて詳しくご紹介します。
初期費用
クレジットカード決済には、クレジットカード情報を読み取る決済端末(カードリーダー)が必須です。アナログ回線やネット回線と有線でつなぐ据置型は、機能によって6万~8万円前後と、価格にも幅があります。
一方、スマートフォンやタブレットを利用する新しいタイプのカードリーダーは、新規導入キャンペーンや、政府の補助金(軽減税率対策補助金など)を利用すれば、実質無料で導入できる場合もあります。検討の余地は大いにあるでしょう。
- 別ウィンドウで軽減税率対策補助金事務局のサイトへリンクします。
決済手数料
業種や規模によって差はありますが、一般的な小売店では、1回のクレジットカード決済額の4~5%が手数料となります。しかし、決済代行業者によっては、3.25%という低率で設定しているところもあります。
1回の決済手数料そのものは大した額ではなくても、積もり積もれば大きな金額になります。安く済ませることができれば、それに越したことはありません。決済代行会社を選ぶ際は、手数料をしっかり確認しましょう。
クレジットカード決済導入には決済代行会社を利用するのも◎
クレジットカード決済を導入する場合、各クレジットカード会社と個別に契約する方法と、決済代行会社を通じて契約する方法があります。しかし、前者は売上や入金などを個別に管理しなくてはならず、トラブルが起きた際にも各カード会社とやりとりする必要があります。
一方、決済代行会社を通じて複数のクレジットカード会社と一括契約すると、契約や管理の手間がかからなくなり、導入のハードルが下がるのでおすすめです。
決済代行会社によって、導入までのプロセスは異なる
加盟店契約までの流れは、決済代行会社によって多少異なります。基本的には、審査が行われて結果が出るまでに数日かかり、審査に通れば決済端末などの機器を設置して、クレジットカード決済が利用できるようになります。
一般的に、加盟店決済契約の問い合わせから、審査・機器類の設置が完了してカード決済が可能になるまで、1ヵ月~1ヵ月半ほどかかるといわれています。このプロセスは、決済代行会社によって異なり、よりスピーディーに運用を開始できるところもあります。
例えば「Square」では、アカウントを作成して必要な情報を登録すれば、最短でその日のうちに審査結果が通知されます。その後は決済端末を用意して接続し、アプリをダウンロードすれば、その時点からクレジットカード決済が利用できるようになります。決済代行会社を選ぶときは、利用開始までの期間にも注意してください。
クレジットカード決済導入は時代の流れ
インバウンド需要を逃さないためには、クレジットカード決済の対応は最初の一歩ともいえる方法です。クレジットカードが使えないというだけでお客さまを逃してしまうのは、実にもったいないことです。
また、国内におけるクレジットカード発行枚数も年々増加しており、日常的にクレジットカードが利用されるようになってきました。すでにクレジットカード決済は時代の流れであり、対応は必然といえます。
世界で発行されているクレジットカードは多種多様で、そのすべてに対応するのは難しいでしょう。何が必要かを見極めて、賢くクレジットカード決済を導入・運用してください。
今回の記事のまとめ
過去最高が更新されるインバウンド
- ・年々増加している訪日外国人にとって、クレジットカード決済は常識
クレジットカード決済でインバウンド需要に対応しよう
- ・クレジットカード決済の導入は、低コストで済む場合がある
- ・必要な決済方法を見極めて導入しよう
クレジットカード決済導入の注意点
- ・機器類の導入費は、国の補助金などを利用すれば実質無料になることもある
- ・格安の決済手数料を設定している決済代行会社もある
- ・導入からサービス開始までの日数や対応は、契約会社によって違う
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