基礎知識
キャッシュレス払いのポイント還元、お店はどう処理すればいい?

キャッシュレスでの支払いに対して、利用者に一定額をポイント還元する「キャッシュレス・ポイント還元事業」。参加することで集客も見込めますが、お店側はどのように対応すればいいのでしょうか。改めてポイントをまとめてみました。
目次
まだ間に合う!キャッシュレス・ポイント還元事業とは?
すでにキャッシュレス・ポイント還元事業に参加している中小・小規模の事業者は多いかもしれませんが、まず概略を説明しましょう。
この事業は、8%から10%への消費税率引き上げに伴う消費の冷え込み、特に中小・小規模の事業者の売上減を抑えることと、政府が推進している「キャッシュレス決済」の普及を後押しすることが目的。
その内容は、この事業に加盟登録した店舗でキャッシュレス決済すると、購買価格の2%または5%を消費者にポイントで還元するというもの。消費者にとっては5%還元の場合には増税分以上の還元も得られることになり、集客効果が期待できます。
この事業の加盟店になるためにはキャッシュレス決済端末が必要となりますが、補助金およびキャッシュレス決済事業者の負担により加盟店は無償で導入することができます。また、事業期間中は加盟店手数料率が実質2.17%以下になります。
キャッシュレス・ポイント還元事業は2020年6月30日(火)まで。申請期限については契約しているキャッシュレス決済事業者へご確認ください。

事業の内容と対象となる店舗の要件は?
前項で簡単に説明しましたが、店舗側から見たこの事業の要点をまとめておきましょう。
<キャッシュレス・ポイント還元事業の要点>
(1)中小・小規模事業者でのキャッシュレス決済は消費者にポイントを還元(還元率は購買価格の2%または5%)
(2)キャッシュレス決済端末を無償で導入が可能
(3)期間中は加盟店決済手数料を3.25%以下とし、さらにその3分の1を国が補助する
それぞれの項目について簡単に説明します。
(1)中小・小規模事業者でのキャッシュレス決済は消費者にポイントを還元
「中小・小規模」の定義は、業種ごとに異なります。例えば、一般的な小売業では「資本金の額または出資の総額が5,000万円以下の会社、または常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主」とされています。
キャッシュレス決済は電子的に繰り返し利用できる決済手段で、クレジットカードや電子マネー、デビットカード、QR・バーコード決済も含まれます。Apple Payのようなモバイル決済も、キャッシュレス決済のひとつ。
これらの定義には特例事項や除外条件などもありますから、経済産業省の資料で確認するようにしてください。
- 別ウィンドウでキャッシュレス・ポイント還元事業のPDFが開きます。
キャッシュレス・ポイント還元事業で定義された中小・小規模事業者では、5%のポイント還元が実施されます。
しかし、ガソリンスタンドやコンビニなど、フランチャイズ方式をとっている店舗の中には、大企業の看板を上げつつも、実際の経営実態は小規模事業者に該当するケースは多いもの。そうした事業者に対しては、2%のポイント還元が設定されます。
(2)キャッシュレス決済端末を無償で導入可能
キャッシュレス決済端末は、高価なものでは10万円以上することもあり、店舗で導入するにはハードルが高く感じられていました。しかし、この事業では国からの補助金およびキャッシュレス決済事業者の負担により、キャッシュレス決済端末を無償で導入することができます。
(3)期間中は加盟店手数料が3.25%以下、さらに3分の1を国が補助
手数料の負担を気にして、クレジットカード決済の導入を避けている店舗は多いもの。しかし、この事業に参加すると、期間限定とはいえ手数料が3.25%以下に抑えられ、さらにその3分の1を国が補助してくれるため、実質2.17%以下で利用できます。
購買機会を逃さないキャッシュレスの強みや、現金管理がいらない便利さを実感するには最適でしょう。
ポイント還元の流れ
キャッシュレス・ポイント還元事業は、キャッシュレス決済についてのみ2%または5%のポイント還元を行うことから、事務的な作業はキャッシュレス決済事業者(カード会社や電子マネーの発行元)が中心となります。
この制度の加盟店である店舗側は、決済時に特別な操作をする必要はありません。期間中にお客さまがキャッシュレスで支払った分の還元ポイントは、決済事業者からお客さまへきちんと還元されますので、心配は無用です。
■ポイント還元のしくみ

加盟店舗は何をすればいい?
キャッシュレス・ポイント還元事業に参加するには、以下のような手順で手続きなどを進めていきます。
1. キャッシュレス決済の種類を決めて導入する
2. 決済事業者経由で、還元事業への参加申請をする
3. 登録審査が済むと、登録完了・還元開始の通知が届き、定められた日からポイント還元がスタート
それぞれのプロセスについて、もう少し詳しくご紹介しましょう。
キャッシュレス決済の種類の決定と導入
まだキャッシュレス決済を導入していないのなら、自身の店舗ではどの決済方法を有効にすればいいのかを選ぶところからスタートします。
キャッシュレス決済はそれぞれ特徴が異なるため、しっかり検討してから導入しましょう。
・クレジットカード
キャッシュレス決済の9割を占めるのがクレジットカード決済です。「手数料が3~5%かかる」「決済端末が必要」などの理由で小規模な店舗からは嫌われることが多いようですが、近年では安価な決済システムも登場しています。
利用者が多く、販売機会を逃しにくいのが大きなメリットです。
・電子マネー
決済スピードは最速クラスで、ストレスなく支払いができる方法が電子マネーです。ただし、電子マネー対応の決済端末と、それを接続できるレジシステムが必要ですから、その分のコストがかかります。
・QR・バーコード決済
QR・バーコード決済は、店舗側が提示したコードをお客さまがスマホアプリで読み込む「ユーザースキャン方式」と、お客さまがスマホに表示したコードを店舗側がスキャナで読み込む「ストアスキャン方式」の2種類があります。
ユーザースキャン方式では、お客さまが支払い金額を入力し、「支払う」ボタンを押すまでを確認するだけでいいので、店舗側の作業負荷は最小になります。
ただし、現状では多くの決済事業者がそれぞれ独自規格のコードを使っているため、混乱の元になっているという面も。
・モバイル決済
「モバイル決済」という言葉はさまざまな意味で使われていますが、ここではスマホを店舗の決済端末にかざして支払いを完了させる方法を指します。
おサイフケータイやApple Payが代表格で、クレジットカードや電子マネーを連携させて支払うことができます。手軽でスピーディーではありますが、電子マネーと同様に、対応する決済端末が必要です。
還元事業への申請は決済事業者経由で
何らかのキャッシュレス決済を導入したら、今回の還元事業への登録申請を決済事業者に提出しましょう。すでに導入済みの場合は、その会社経由で申請できるため、問い合わせてください。
登録申請をするとその内容が審査され、しばらくして結果とともにポイント還元の開始日時が通知されます。店頭ポスターなどは、その日時を過ぎてから掲示するようにしましょう。
なお、キャッシュレス決済を導入すると、この事業の期間中は加盟店手数料が3.25%以下になります。しかし、2020年6月末の実施期間が過ぎた後に手数料がいくらになるのかは、決済方法や業種・業態によって変わってきますので、その点は決済業者に事前にご確認ください(※)。
- 別ウィンドウでキャッシュレス・ポイント還元事業のサイトへリンクします。
- 三井住友カードの場合はこちら
低コストで導入できるPOSレジシステム「Square(スクエア)」

クレジットカードでの決済ができるようにするための、安価なシステムについてもお伝えしましょう。アメリカで大人気を博したPOSレジシステム「Square(スクエア)」です。
これは、タブレットやスマートフォンにダウンロードする無料のPOSレジアプリとクレジットカードリーダーで構成される、POSレジシステム。アプリは売上管理から分析、在庫管理、お客さまとのコミュニケーション機能などを備え、店舗の運営から経営戦略にまで役立てることができます。
また、カードリーダーはタブレットやスマートフォンと接続させモバイル決済端末として使うこともでき、レストランやカフェのテーブルで精算を済ませるのも簡単。洗練されたシンプルなデザインですから、レジ周りをすっきりと演出することができます。
これからキャッシュレスを導入するなら、ぜひ選択肢に入れておきたいアイテムです。
今回の記事のまとめ
キャッシュレス・ポイント還元事業とは?
- ・中小・小規模事業者への保護策
- ・エントリーは2020年4月まで可能
キャッシュレス・ポイント還元事業の内容は?
- ・キャッシュレス決済が対象
- ・ポイント還元率は2%または5%
- ・期間中、政府の補助も含めて手数料が実質2.17%以下に
店舗側がやることは?
- ・キャッシュレス決済を導入する
- ・決済事業者を通じて、事業への参加を申請する
- ・日々の営業中は特に意識することはない
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