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基礎知識2021.02.24

アパレル業界のセルフレジで採用されたRFIDとは。その仕組みとバーコードやQRコードとの違いを解説

アパレル業界のセルフレジで採用されたRFIDとは。その仕組みとバーコードやQRコードとの違いを解説

アパレル業界でセルフレジとして取り入れられたことから大きな話題を集めたのがRFIDです。従来の商品ごとにバーコードを読み取る方式とは異なり、複数の製品をまとめて認識できるため、その利便性に注目が集まりました。このRFID、近年さまざまな企業やサービスで導入され始めています。本記事では、RFID導入のしくみとその特徴によって実現できること、メリット・デメリットなどを活用事例も踏まえながら解説します。

目次

実は交通系ICカードでおなじみ。RFIDとは?

RFID(Radio Frequency IDentification)は電波(電磁波)を用いた非接触の自動認識システムで、誘導電磁界や電波などを使って非接触でデータのやり取りを行うことができます。

RFIDの基本原理は、軍事用途として第二次大戦時の1930年代には存在し、商用としては1980年代半ばに日本や欧米で導入が始まった、比較的古い技術です。しかし製品化のコストが高く近年まで普及しませんでした。

しかし、技術革新により小型化や高性能化、低コスト化が進み、本格的な利用と普及が始まってきています。身近なところでは交通系ICカードや高速道路のETC、車のスマートキーにも使われています。

RFIDのしくみ

すでに日々の生活の中でも使われ、実は身近な技術となっているRFIDですが、そのしくみを解説しましょう。RFIDは「RFタグ」「リーダライタ」の2つで構成されています。

RFタグ

製品名や価格、サイズ、製造者情報、製造年月日などの情報が入力されたタグで、形状もカード型、コイン型、シール型、リストバンド型、スティック型などさまざまです。

RFタグ
RFタグ

リーダライタ

RFタグをかざしてスキャンし、情報を読み取るほか、情報を書き込むことができる機器のこと。読み取り、書き込みのしかたはゲートタイプや手持ちタイプなどさまざまですが、実際のサービスでは読み取り専用のリーダとしてのみ利用されているケースも多いようです。

リーダライタ
リーダライタ

RFIDで注目すべき2つの特徴

アパレル業界のセルフレジへの採用で話題となったRFIDですが、もともとは小売り、流通、製造、医療の分野で多く利用されています。なかでも多く使われているのが在庫管理の現場です。

RFIDは、通信距離が長く一度に大量の読み取りができるため、在庫の棚卸しの時間を大幅に削減できます。また自動注文システムなどと連動させることもでき、効率よく欠品を防止します。

特徴1:複数のRFタグを一括認識できる

例えば小売りでは、商品の在庫管理にRFIDを採用していれば、一括で複数のタグの読み取りができます。個々にかざす手間が省けるため、大幅な時間短縮ができます。多様な薬や医療物資を扱う医療現場でも、この一括読み取りという特徴が有効です。人為的な確認漏れが発生しないため、貴重な医療製品を高い精度で在庫管理できるようになります。

特徴2:データの書き換えができる

RFIDなら、チップにより異なりますが10万回や10億回などという書き換えができます。例えば交通系ICカードでは使用する度に残額が変わるので、頻繁に情報の書き換えが必要になります。

バーコード、QRコードとの違いから分かるRFID

非接触でデータをやり取りする技術は、RFID以外にもいろいろあります。身近なものでは「バーコード」「QRコード」などです。RFIDとの違いはどのような点でしょうか。

横にスライドしてください

通信距離 データ量 書き換えの可否
RFID パッシブ型のHF帯(短波帯)では最大数10センチメートル、UHF帯は(極超短波)では最大6メートル、アクティブでは最大10メートル 数千字
バーコード 数センチメートル 20文字程度 不可
QRコード 数センチメートル 7,089字 不可

バーコードとの違い
バーコードもRFIDも、専用リーダにより読み取りを行います。バーコードは、1枚ずつしか読み取ることができないのに対し、RFIDは一度に複数のRFタグをスキャンできます。また、バーコードはスキャナとの間に障害物があるとデータを読み込むことができません。
RFIDとバーコードの最大の違いは通信距離です。バーコードの通信距離は数センチメートルしかないため、リーダ機器を近くまで接近させないと情報を読み取れません。一方、RFIDの通信距離は、アクティブタグ型であれば最大10メートルにもおよびます。そのため通信距離内にあるRFタグはすべて読み取ることができ、読み取り時間を大幅に削減できます。またバーコードは、コードを物理的に表示する必要がありますが、RFIDはその必要がありません。

さらにRFIDとバーコードのもう1つの違いとして、データの書き換えができる点があります。バーコードは読み取り専用であり、RFIDのようにデータの書き換えができず、データ容量も限定的です。

QRコードとの違い
黒色のドットが縦方向および横方向に配置され、二次元バーコードとも呼ばれるQRコードですが、バーコード同様、1枚ずつしか読み取ることができません。また、QRコードも通信距離が短く、読み取り用のリーダ機器をある程度の距離まで近づける必要があり、またコードを表示して読み取る必要があります。一方、QRコードは一般的なRFIDよりも扱えるデータ容量が大きいことが特徴です。そして、バーコードと同様に読み取り専用であり、データの書き換えはできません。

RFIDのメリット

RFIDの大きなメリットは、なんといっても業務を効率化できることです。バーコードのように商品1つひとつを読み取る必要がないため、通信距離内であれば瞬時に複数読み取ることができます。棚卸しも人手が要らず、人件費と時間的なコストの削減が期待できるでしょう。

またRFタグが読み取りやすく、汚れに強く、データの書き換えができる点もメリットです。データの書き換えができることで、交通系ICカードやETCなどの双方向通信機能が実現できるのです。

RFIDのデメリット

一方でデメリットは、導入コストがかかることです。導入には、RFタグやリーダライタに加え管理用ソフトウェアなどが必要になります。またRFタグの製造コストはバーコードやQRコードの製造コストよりも高く、RFタグの製造数が少ない場合は、コストが割高になる可能性もあります。

RFIDを活用する、一歩進んだ導入事例

RFIDの導入事例は、多岐にわたっています。それは、在庫管理での利点を超える、データの活用ができるからです。例として、某回転寿司チェーンでの採用事例を紹介しましょう。

RFIDを採用した回転寿司チェーンでは、「会計」「顧客の消費パターンの分析」「食材廃棄管理」を行うため、寿司をのせる皿のすべてにRFタグを装着しRFIDで管理をしています。会計を迅速に行えるほか、皿に装着されたRFタグをセンサーが読み取り「どの客がいつ何をどれだけ食べたか」を正確に把握、商品の最適化と仕入れコスト削減を実現しています。

さらに従来は職人の勘に頼っていた食材廃棄を「皿が350メートル以上まわったら自動廃棄する」というルールに切替えたことで廃棄率を5%削減できました。回転寿司チェーン業界は、原価率が総じて高いことで知られていますが、RFIDの導入により廃棄量が減ったため、原価率の低減が実現できたのです。

このように、この回転寿司チェーンでは、多くのRFタグと一括で通信できるというRFIDの機能を活用し、経営効率の改善を果たしています。在庫や販売管理の領域を超えて、RFIDの機能がさらに活用できることを示す好例と言えるでしょう。

RFIDの課題と将来性

RFIDは、導入および運用コストの高さが最大の課題です。設備投資に加えRFタグの製造にも相応のコストが必要です。技術革新に伴いコストは低下してきてはいるものの、2020年時点でRFタグの製造には1枚あたり最低でも10円程度かかるとされています。これは、バーコードやQRコードに比べると大きなハンディキャップでしょう。RFIDをさらに普及させるには、RFタグの製造コストを1枚あたり1円程度に下げる必要があるとされています。

しかしRFIDを使った無人コンビニの実証実験が始まるなど、RFIDの普及は加速しています。遠距離通信ができて、一括で情報のやり取りができるというほかのコードにはないRFIDの機能が、在庫や販売を無人で行うという目的に適しているからでしょう。さらなる活用のアイデアが生まれれば、RFIDは、より多く採用される技術となることでしょう。

  • QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
  • 本記事は2021年2月現在の情報です。

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