VISA 三井住友VISAカード

制作発表

左から、花組・柚香光、演出家・稲葉太地氏、演出家・植田景子氏、三井住友カード代表取締役社長・大西幸彦、宝塚歌劇団理事長・小川友次氏、花組・明日海りお、華優希。

 宝塚歌劇花組公演 三井住友VISAカード シアター『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』『シャルム!』の制作発表が7月4日、東京都内のホテルで行われました。

『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』は、植田景子が手掛けるオリジナル作品。自然界の掟に背いた罪で、闇と孤独の中に閉じ込められた「青い薔薇の精」を主人公に、現実と異次元の世界が交差する幻想的なミュージカル。『シャルム!』は、フランス語で魅力や色香、魔法、呪文を意味する表題を掲げた、稲葉太地作・演出のレビュー。
 類い希なる魅力、不断の努力で宝塚歌劇を牽引し、一時代を築いたトップスター・明日海りおの退団公演となります。

 会見の冒頭、まず明日海が全身ブルーの衣裳をまとって登場。一瞬で耽美な世界へと引き込み、トップ娘役として大劇場お披露目となる華優希、柚香光とともに劇中歌を3曲歌唱。芝居仕立てで、匂い立つような作品世界を披露しました。

 続く会見では、小川友次理事長が「100周年から105周年まで、トップオブトップとして宝塚を牽引してくれた。“宝塚の神様”が彼女を与えてくれた」と感謝。「記憶だけでなく記録にも残る、宝塚史上最強で群を抜いたトップ」と称賛の言葉を贈りました。

『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』について植田は、「明日海率いる花組のオリジナル作品として、1人ひとりが力や魅力を存分に発揮でき、出演者とお客様が幸せな時間を過ごせる公演に」と話し、「特にラストシーンが、皆様の心に一生の宝物として残るような作品になること、心をお届けすることをめざしたい」と抱負を述べました。
『シャルム!』の見どころについて聞かれた稲葉は「変幻していく明日海」とコメント。「宝塚らしいレビュー、スーツでの男役の踊り、軍服姿の中詰、黒エンビ、最後の花組全員の場面までご期待いただけたら」と多彩な場面の一端を語ると、明日海もうれしそうな笑顔を浮かべました。

 明日海はまず、今作で卒業することを改めて報告。「みんなと会話するのもあと少しなんだな、何より大好きな宝塚の舞台に終わりがある、大好きな男役でなくなるんだと、寂しさやしんみりした気持ちに流されそうになる」といまの気持ちを吐露。そんななかで、初舞台公演の作・演出家だった植田、演出助手だった稲葉が今作の担当ということに「家に帰ってきたような安心感がある」という。
「いろいろな気持ちが渦巻くとは思いますが、より良い舞台ができるよう、組の全員が胸を張って、誇りを持って元気に初日を迎えられるように、必死に心を込めてお稽古したい」と抱負。そして「いつも応援してくださるファンの皆様、お客様の心を常に忘れないように取り組んでいきたい」とあふれる気持ちを抑え、言葉を詰まらせながらも笑顔で話しました。

 最後の役が「薔薇の精」と聞いた当初は、「衝撃で、妖精さん……羽根とかつけるのかなぁ…と、ちょっとドキドキしました」とニッコリ。ただ、植田の世界観を聞くうちに理解を深め、「私にしかできないものをやりたい。お客様の目だけでなく、心に残る深いものを」と気合い十分。「見た目はお衣裳や照明の先生方がうまいことしてくださるので」と笑わせながらも、「私は中身の部分、お芝居を大切にしたい」と強い眼差しで語りました。
 一方のショーは「男役としてリーゼントにしたり、黒エンビを着たり、思いっきり舞台でかっこつけるのも最後になってしまうかもしれませんし……」と寂しげな表情。「稲葉先生のショーは、宝塚らしさに加えて先生のオリジナリティがあり、メンバーの良さを大切にしてバラエティに富んだ構成にしてくださるので、受け取るだけでなく自分からも発信していきたい」。

 華は、「自由な心を持つ女性を、強い心を持って明日海さんとしっかりと心を通わせながら、丁寧に演じたい。お芝居、ショーとも、明日海さんがご卒業される日まで精一杯ついて学ばせていただき、頑張っていきたい」と初々しく挨拶。柚香も、「たくさんの方の思いがぎゅっと集まった公演になると、この制作発表の場でも感じます」と話し始め、「私も誠意を持って、精一杯自分のすべきことを務め、尊敬する明日海さんに最後までついていきたい」と語りました。

 明日海の魅力を聞かれ、華は「舞台人としても人としてもすべてが尊敬させていただけるところしかなくて、言い尽くせない」としつつも、「隣にいさせていただける時間の一瞬一瞬を大切にしたい」とコメント。柚香が、思いがあふれた様子で逡巡していると、「特にありませんでいいよ」と明日海がユーモアたっぷりに助け船。
 それに対して柚香は、「本当にたくさんあるのですが、一番尊敬してやまないのが、元々持っていらっしゃる麗しさを常に磨き続け、どんなに辛いときも、どんな極限の状態でも、磨き続けることを決してやめない、戦い続けることができる精神力が、造形美だけではない明日海さんの輝き、美しさ、人を引き付けるものすべての元になっている」と一気に熱弁。
「そういうところを一番お慕いしております」と締めくくった直後に、我に返り「恥ずかしくなってきた。汗かいてきちゃった…」と照れ笑い。そんな様子に明日海も微笑を浮かべ、花組のチームワークの良さがにじみ出た、温かな会見となりました。

 また明日海は、2012年12月25日から三井住友カード、VJAグループのイメージキャラクターを務めてきたことで「たくさんのことを学ばせていただいた」と言う。「看板の撮影があるたびに、カードフェイスを持つポーズの角度がだんだんわかってくる自分が面白かった」と茶目っ気たっぷりにコメント。「月に一度、ホームページで改めて自分の思いと向き合い、お客様にお届けすることで、とても前向きになれて自分を客観的に見ることもできましたし、言ったんだからやらなきゃと気合いを入れる機会にもなりました。皆様に応援していただいたお陰で無事にここまでできたと、感謝の気持ちでいっぱいです」と話しました。

 大好きな宝塚でのファイナルステージも、「もっともっと進化して、唸るような舞台に。花組を10ランクくらいアップさせたい」と意気込む。常に真摯に理想を追求し続ける明日海が率いる花組公演。さまざまな思いが詰まった、かけがえのない公演となるに違いありません。宝塚大劇場公演は、2019年8月23日~9月30日まで、東京宝塚劇場公演は10月18日~11月24日まで。