マネー&ライフ
貯金の方法に悩む前に知っておきたいコツとテクニック

貯金をしたいけど、良い方法がわからず浪費してしまう――そういった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。毎月の生活は問題なくても、結婚や子育てなど、今後大きなライフイベントが起こったときはどうでしょう。また、いつケガや病気をするとも限りません。
コツを押さえておけば、貯金は難しいことではありません。ここでは、将来を見据えて効果的に貯金をするためのコツとテクニックについてご紹介します。
- 記事の目次
なかなか貯金できない理由とは?
金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成30年調査結果」によると、年間手取り収入における貯蓄割合がゼロの世帯が20代・30代ともに約15.0%という結果になっており、一定数の貯蓄ゼロ世帯がいることがわかります。2015年に発表された株式会社マネーフォワードの「家計簿に関するアンケート調査」では、貯金ができず悩んだ経験があると回答した人が45.3%と、半数近くが貯金に関して悩みを抱えているというデータも発表されました。「面倒」「浪費癖」「方法がわからない」といった理由が多く、貯金をしたくてもできない葛藤が伺えます。
20代、30代の若い世代は、今後の人生で結婚や出産、子育てといった大きなライフイベントが起きる可能性が高くなります。そういったライフイベントが起きる前に、貯金を始めておくといいでしょう。
貯金しておかないとライフイベントで苦労する?
大きなお金が必要なことは何となく理解できても、ライフイベントでどの程度の出費が発生するのか、具体的に知っている人は少ないでしょう。代表的なライフイベントでかかる平均的な費用をご紹介します。
結婚費用
結納から婚約、新婚旅行までにかかる費用総額の平均は約488万円です(ゼクシィ「結婚トレンド調査2018首都圏」より)。両親の援助やご祝儀でまかなえる部分も多いですが、結婚指輪や婚約指輪の購入、両家の顔合わせの食事会など、自分たちで用意する費用もあります。結婚式や披露宴をするか、新婚旅行をするかなどで変わるものの、多額の費用がかかる可能性は考えておいたほうがいいでしょう。
教育資金
文部科学省が2009年に発表した「家計負担の現状と教育投資の水準」によると、幼稚園から大学まですべて公立に進学した場合でも、子供1人あたり約940万円かかります。実際は私立の学校に入る場合もあるでしょうし、習い事をさせる場合もあるでしょう。そうなれば、さらにたくさんの費用が必要です。
住宅購入費
住宅金融支援機構が発表した「2018年度フラット35利用者調査報告」によると、2018年度の注文住宅の購入価格は、全国平均で約3,340万円でした。住宅購入費はマンションか、土地を購入して建てるかなどで変わりますが、いずれにしてもかなりの費用がかかるでしょう。
老後の生活費
総務省統計局が2018年に公表した「総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯の場合、1ヵ月あたり約24万円の老後の生活費がかかります。厚生労働省が2018年に公表した平均余命では、男性60歳時点でその後、平均して23.84年、女性60歳時点では29.04年生きるとされています。老齢年金を受け取れるとしても、蓄えが必要といえるでしょう。
介護費用
厚生労働省「平成29年度 介護給付費等実態調査の概況」によると、介護保険受給者1人あたりの費用額は、1ヵ月約17万円です。介護は自分だけでなく、家族が受けることになる可能性があるものです。介護保険の給付もありますが、要介護度で毎月の支給限度額が決められていますから、どのような介護を受けたいか、受けさせたいかによって、必要な費用は変わってきます。
貯金できるお金がない?まずは支出を考える
ライフイベントにかかる平均費用を見ると、貯金の必要性を感じる人は多いでしょう。しかし、日々の食費や交際費、家賃などを支払っていると、貯金できるお金がないと悩んでしまうかもしれません。
まずは支出を見える化して、見直すことから始めましょう。続いては、毎月の支出を減らすための方法を紹介します。
支出を減らすために固定費を見直す
家賃や保険料のほか、スマートフォンやインターネットの基本料金など、毎月発生する固定費があります。固定費は毎月一定の金額が出ていくものですから、一度見直すと節約効果が続きます。不必要なものがないか改めて確認してみてください。ほとんど通っていないジムの月会費や使っていないスマートフォンのオプションサービスなど、意外と無駄が見つかるかもしれません。
さらに、固定費の契約内容を見直してみましょう。電気やガスは自由化により、各社が特色あるプランを用意していますし、スマートフォンは格安SIMを利用することで、ぐっと費用が下げられます。月あたり数百円、数千円の差でも、年間では大きな金額を削減することができます。
変動費はあらかじめ予算を決めて無駄を省く
食費、衣服費、交際費といった、毎月の支出が変わる変動費は、あらかじめ予算を決めておき、その範囲内でやり繰りするようにします。また、単に欲しいものと必要なものに分けて考えることが重要です。必要なものは購入せざるをえませんが、単に欲しいものの場合はすぐに購入せず、使い道があるか、どのくらいの期間使えるかなどと考えてみることで、衝動買いを抑えられます。
変動費は節約しすぎるとストレスが溜まってしまいますから、無理のない範囲で無駄を省きましょう。
単身世帯の平均値を確認してみる
節約して貯金するといっても、どのくらいを目安にすれば良いかわからない人もいるでしょう。そういった場合は、平均的な家計を参考にすることをおすすめします。
総務省が発表した2019年の「家計調査報告(家計収支編)」によると、単身世帯の消費支出は1ヵ月平均16万3,781円となっています。これは、日本の単身世帯全体の平均で、平均年齢は59.0歳です。住宅ローンが終了している人が多く、住居費の支払いが少ないなどの点はありますが、それ以外は参考になるでしょう。
例えば、食費は月に4万4,263円、光熱水道費(電気、ガス、水道などの費用)は1万1,652円です。この金額を超えている場合は、収まるように契約内容や使い方を見直してみてください。
無理なく貯金する方法は
貯金をすると決めたものの、あまりに極端な節約はストレスが溜まり、あきらめてしまう原因になります。貯金は継続して行うことが大切ですから、無理なく続けることが重要です。ここからは、無理なく貯金するためのテクニックをご紹介します。
貯金は目標設定が重要
目標なく貯金をするのは、貯金が趣味の人は楽しめるかもしれませんが、ゴールのないマラソンのようなもの。いつまで続けたら良いかがわからず、多くの人は疲れてしまいます。そこで、何かを買うため、するために必要な金額を目標に貯金をして、モチベーションを保ちましょう。
ただし、目標達成したからといって使いきってしまっていては、いつまで経ってもお金が貯まりません。目標を短期、中期、長期に分けて定め、貯金することをおすすめします。以下は、期間ごとの貯金目標の例です。
- 短期目標(1~3年)
目標貯金額:30万~50万円程度
使い道例:旅行、引越し、家具・家電購入 - 中期目標(3~10年)
目標貯金額:300万~500万円程度
使い道例:結婚費用、車の購入や住宅の頭金 - 長期目標(10年以上)
目標貯金額:800万~1,000万円程度
使い道例:老後の生活費用、子供の大学進学費用
具体的な期間と金額を定めることで、毎月どの程度貯金すればいいのか、そのためにどの程度節約すればいいのか分かるようになります。無理のない範囲で貯金の工夫ができるようになるでしょう。
浪費してしまう人は強制貯金する
手元にお金があるとついつい浪費して貯金ができない人は、積立預金がおすすめです。積立預金とは、指定日に指定した金額を自動的に別口座へ預け入れるもので、多くの金融機関で利用することができます。
使うより先に強制的に貯金をすることで、貯金する分が手元に残らないことがありませんし、意識せずに貯められるようになります。目標に合わせて、無理のない金額を設定してください。
財形貯蓄制度を利用する
会社の福利厚生に財形貯蓄制度がある場合は、利用してみてもいいでしょう。給料から設定した金額が天引きされて、自動的に貯金が貯まります。
財形貯蓄制度には「一般財形預金」「財形住宅預金」「財形年金預金」の3種類があります。一般財形預金は用途が限定されていませんが、財形住宅預金は住宅購入やリフォーム、財形年金預金は将来的な年金と、使い道が決められています。