大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。現在は、個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。
【保有資格】公認会計士、税理士、AFP
内山会計事務所
業務内で行った移動の交通費や出張にかかる費用は「旅費交通費」や「交通費」として精算処理を行います。しかし、「何を基準に判断したらよいのか分からない」といった方も多いのではないでしょうか。
旅費交通費と交通費の違いをはじめ、仕訳例、精算業務を効率化するための方法について解説します。
旅費交通費の精算業務を効率化! 会社も社員もメリットの大きい法人カードの選び方
旅費交通費とは?
業務内で行った移動の交通費や出張にかかる費用のことです。旅費交通費は、電車や飛行機といった公共交通機関を使った移動の費用や宿泊費だけではありません。打ち合わせの際に出費した会議費や取引先に対する接待費など、出張時にかかるあらゆる費用が該当する可能性があります。また、出張手当を支給している会社の場合は、その手当も旅費交通費に該当します。
旅費交通費と交通費の違い
旅費交通費と似た言葉に「交通費」があり、両者は勘定科目としての定義に違いがあります。
旅費交通費は、出張や海外渡航など遠方への移動や宿泊・滞在が該当します。それに対し、交通費は電車やバスなど、普段の通勤や移動にかかる費用を指します。また、業務上必要な移動にかかった費用を「移動費」として、同じく交通費の勘定科目を用いて仕訳することもあります。
ここで言う「遠方への移動」の定義については、あらかじめ「旅費規程」を制定してそこに記述しておくことが一般的です。
旅費交通費と出張費の違い
出張費とは、出張を伴う費用の総称を指します。出張先に向かうための新幹線、飛行機などの交通費や、現地宿泊にかかるホテル代、出張先で移動の際に使うバス・タクシー代、取引先への接待費のほか、従業員に支給する出張手当も含まれます。出張費についても「旅費交通費」として会計処理がなされます。
旅費交通費と通勤費の違い
通勤費とは、通常の勤務地へ通勤するための費用のことです。勘定科目の観点では交通費に大別されますが、旅費交通費は所得税が全額非課税となる一方で、通勤費はその一部のみが非課税となります。そのため、旅費交通費と通勤費を分けて精算しているケースも少なくありません。
(出典)「国税庁|通勤手当の非課税限度額の引上げについて 」を参考
- ※別ウィンドウで「国税庁」のウェブサイトへ遷移します。
- ※上記ウェブサイトは予告なく変更、または削除される可能性があります。その場合は国税庁ホームページからご確認ください。
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旅費交通費になる費用の例
ここでは旅費交通費に該当する費用の例について、紹介します。これらの項目は、「旅費規程」を制定しておくことで経費として処理できるようになります。旅費規程がない場合は、日当などは個人の所得とみなされることがあります。
出張における交通費
出張における交通費に該当する項目として、主に以下の費用が挙げられます。なお、ここで言う「交通費」は、前述したとおり勘定科目における「交通費」ではありません。あくまでも出張の際に使用する移動手段に関連する費用のことを指します。
交通費に該当する費用
- 電車代
- バス代
- タクシー代
- 航空運賃
- 高速道路料金
- そのほか有料道路の通行料金
- レンタカー代
- ガソリン代
- 駐車場代、コインパーキング利用料
宿泊費
業務上必要な出張に伴う宿泊費のことで、主に以下の費用が該当します。よく朝食など飲食費が含まれているプランを用意している宿泊施設がありますが、その扱いは旅費規程により変わり、規程によっては経費として認められないことがあります。そのため、場合によっては飲食なしのプランを選択する必要があります。
宿泊費に該当する費用
- ホテルや旅館の宿泊費
- 長期滞在向けマンスリーマンションの家賃
ただし、たとえ旅費規程を定めていたとしても、宿泊費が社会通念上あまりにも高額であり妥当ではないとみなされた場合は、経費として認められず課税対象になることがあります。
出張中の飲食費
旅費規程には、出張に対して飲食に関連する費用の条項が定められていることがほとんどです。そのような場合は、条項に基づいて支払われた飲食費は旅費交通費の対象となります。挨拶用に持参するちょっとした手土産・茶菓などもここに該当します。
飲食費に該当する費用
- 会議費
- 接待費
- 交際費
なお、旅費規程が制定されていないにもかかわらず精算された飲食費については、経費として認められず個人の所得とみなされることがあります。
日当(出張手当)
出張の際、旅費規程に基づき、多くの場合定額で支払われる出張手当については、旅費交通費として計上します。
ただし、たとえ旅費規程を定めていたとしても、日当が社会通念上あまりにも高額であり妥当ではないとみなされた場合は、経費として認められず課税対象になることがあります。
海外出張に関わる費用
海外出張に関わる費用も、旅費交通費として処理します。該当する主な費用としては、以下が挙げられます。
海外出張関連の費用
- ビザ取得費
- 空港使用料
- パスポート交付手数料
- レンタカー代
- 駐車場代
旅費規程に勘定科目として「海外出張費」などが単独で設定されていて海外出張手当が定額で支払われている場合には、旅費交通費で処理することになります。
なお、海外出張に伴う費用に関して、出張旅費、宿泊費、日当は原則として海外で使用した分は課税仕入れとみなされない点に注意しましょう。消費税は国内で支払った金額に対して課税されることから、国内分は課税、海外分は非課税、と分けて処理する必要があります。
転勤費用
転勤費用に該当する項目として、主に以下の費用が挙げられます。
転勤に関する費用
- 転勤旅費
- 赴任手当
- 帰省旅費
- 荷造運送費
上記以外に、別途規程で定めることによって赴任に帯同する家族の交通費や宿泊費も含めることができます。転勤先で賃貸する住宅の内見・決定のために転勤先へ出向いた場合も同様です。
ただし、単身赴任中の社員が帰省するときの旅費、いわゆる「帰省旅費」を支給した場合は、経費としては認められず個人の所得として課税対象となる点に注意しましょう。
旅費交通費にならない費用の例
移動に関する費用はすべて旅費交通費または交通費として仕訳するのか、と言うと、そうとも言い切れません。例えば以下のような場合は、それぞれ勘定科目が変わります。
同じ移動に関する費用でも異なる仕訳
- 接待の際に取引先に提供したタクシー代:交際費
- 社員研修の際にチャーターしたバス代:研修費
- 全従業員を対象とした社員旅行:福利厚生費または研修費
- 懇親会参加のための移動費:会議費または交際費
- 展示会出展のための移動費:広告宣伝費
原則として、日常の業務と強く結びついている移動費用は旅費交通費または交通費として、結びつきがそれほど強くない移動費用は別の勘定科目として処理される、と考えましょう。
交通費になる費用
前述したとおり、交通費に該当する費用は、「日常的な業務で使用する移動に関する費用」です。自宅から勤務地までの電車やバスの通勤定期券のほか、取引先を訪問する際に利用する公共交通機関の費用、タクシー代、有料道路の通行料金などが含まれます。
旅費交通費の仕訳の例
会社によっては旅費交通費と交通費を区分して会計処理を行うケースもありますが、ここでは旅費交通費としてまとめて処理するものと仮定し、仕訳例をいくつか取り上げてみました。
従業員が出張する際、会社の旅費規程に則り3日分の3,000円を出張手当として現金で支給した例です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
旅費交通費 | 3,000円 | 現金 | 3,000円 |
従業員の通勤にかかる定期券代として、2万円を普通預金より支払った例です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
旅費交通費 | 20,000円 | 普通預金 | 20,000円 |
従業員の出張に伴い、仮払金2万5,000円を現金で支給した例です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仮払金 | 25,000円 | 現金 | 25,000円 |
旅費交通費は非課税
旅費交通費は基本的に会社の経費とみなされるため、非課税です。ただし、その内容が社会通念に照らしてあまりにも高額になった場合は、課税対象となることがあります。
課税対象となる場合の例
- 新幹線での移動の際、普通車ではなくグリーン車を利用した
- 飛行機での移動の際、エコノミークラスではなくファーストクラスを利用した
- ほかに安価に宿泊できる施設があるのに、1泊5万円のホテルを利用した
旅費交通費の精算を効率化するには?
旅費交通費の精算には仮払いの処理や申請における書類が多く、煩雑になりがちです。そこで、効率よく旅費交通費の精算をする方法を3つご紹介します。
経費精算システムの導入
精算をする際の手間を簡略化するために、経理精算システムを導入するのもひとつの手です。最近では交通系ICカードや領収書の読み取り・データ化機能を搭載してより簡単に精算が行えるシステムもあり、それらを活用すれば旅費交通費だけでなくさまざまな経費を効率よく精算できます。
そうすることによって、これまで手作業処理により度々起きていたヒューマンエラーの軽減をさせ、同時に電子帳簿保存法への対応へと繋げることもできます。
経費精算・経理業務のアウトソーシング
少人数の会社であれば、経費精算・経理業務のアウトソーシングサービスを利用するのもよいでしょう。経費精算・経理業務のクラウドサービスも人気です。人手不足に悩む企業にとっては、システムの維持管理を外部の専門スタッフに委託することで社内での人的リソースをほかの業務に回せるなど有効活用できるというメリットもあります。
法人カードの活用
経費精算業務の効率化には、法人カードの活用も有効な手段です。法人カードは部署ごとや従業員ごとに追加カードを発行できるため、必要に応じてカードを付与することで、柔軟な運用ができます。
出張にかかる旅費交通費をできる限り法人カードで決済すれば、仮払金や立替え払いなどの経費処理が省略できます。そうすれば従業員に金銭的な負担をかけなくて済む点も大きなメリットです。
旅費交通費の精算におすすめの三井住友カードの法人カード
三井住友カードの法人カードを導入すれば、仮払いや立替の精算が不要になり、旅費交通費の精算が容易なります。それによって、キャッシュレス化による小口現金の管理業務の削減、経費精算システムとの連携による入力業務の削減など、経理部門の業務を効率化することができます。
さらに、三井住友カードでは「マンスリークリア方式」を採用しており、締め日翌日には利用枠がクリアされるため、予実管理が簡単なメリットがあります。
以下では経費精算業務の効率化に役立つ三井住友コーポレートカードをご紹介します。
3分で分かる!法人カードの選び方をわかりやすく解説
大企業におすすめ!三井住友コーポレートカード
カード使用者の多い大企業向けの法人カードです。出張費や交際費などを「会社全体」「部事業所別」「個人別」の3段階に分類し、経費予算管理を簡素化できます。また、ゴールドカードには、旅行傷害保険や買い物保険が付帯されており、全国の主要空港ラウンジをご利用いただけます。
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旅費交通費は広範囲にわたる経費。忘れずに仕訳処理を
旅費交通費と交通費は一見似ていますが、勘定科目としては明確に分けられています。会社によっては旅費交通費と交通費を混ぜて精算しているケースも多く見受けられますが、正しい仕訳とは言えません。旅費規程を策定し、適切な仕訳を実施しましょう。それに伴い、経費精算システムの導入や法人カードの活用を検討してはいかがでしょうか。
よくある質問
Q1.旅費交通費に該当する費用は?
電車や飛行機といった公共交通機関を使った移動の費用や宿泊費など、業務内で行った移動の交通費や出張にかかる費用を指します。そのほか、打ち合わせの際に出費した会議費や取引先に対する接待費など、出張時にかかるあらゆる費用が該当する可能性があります。
詳しくは以下をご覧ください。
Q2.旅費交通費になる費用は何ですか?
「出張における交通費」「宿泊費」「出張中の飲食費」「日当・出張手当」などが該当します。これらの項目は、あらかじめ「旅費規程」を制定しておくことで経費として処理できるようになりますが、それがない場合、日当などは個人の所得とみなされることがあります。
詳しくは以下をご覧ください。
Q3.旅費交通費は課税対象なの?
旅費交通費は基本的に経費とみなされるため、非課税です。ただし、「移動に飛行機のファーストクラスを利用した」「必要以上に豪華なホテルに宿泊した」など、社会通念に照らしてあまりにも高額になった場合は、課税対象となることがあります。
詳しくは以下をご覧ください。
- ※2023年12月時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。
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