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株主総会の目的や議決方法とは?開催準備に必要なものも解説します

株主総会の目的や議決方法とは?開催準備に必要なものも解説します

株主総会とは、株式会社において最上位に位置する意思決定機関のことです。株式会社の出資者である「株主」が集まって、役員の選任や定款の変更、合併・会社分割など、会社にとって重要な事柄について決める場であり、一部の例外を除いて、株式会社である以上は必ず開催しなくてはならないものです。
株式会社を設立するなら必ず押さえておきたい、株主総会の意味や種類、議決内容、議決方法、開催までの流れと必要な準備について解説します。

目次
株主総会を行う意味
株主総会の種類
株主総会で決めること
株主総会での決議は多数決で決まる
株主総会の決議の種類は3種類
株主総会開催までの流れと当日の進行
株主総会の基本を押さえ、しっかりと準備をしよう
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株主総会を行う意味

なぜ、株式会社は株主総会を開かなければいけないのか。それを理解してもらうために、まず「株主」について説明します。
株主とは、株式会社が発行した株式を持っている人のことで、言い換えれば株式会社に対する出資者であり、会社の実質的な所有者です。そして、お金を払った見返りとして、株主は「自益権」と「共益権」の2つの権利を持っています
自益権とは、株式会社から経済的な利益を受ける権利のことです。一方の共益権とは、株式会社の重要な意思決定に参加する権利を指します。この共益権の代表的なものが、株主総会での議決権です。
つまり株主総会とは、会社の実質的所有者である株主が「議決権の行使」という形で、みずからの権利を行使する場です。そのため、一定の要件を満たせば会議を開催しない書面決議(※)も認められていますが、基本的には開催が義務付けられている、というわけです。

取締役または株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき議決権を行使することができる株主の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなすことが認められています(会社法319条)。これを書面決議といいます。

株主総会の種類

株主総会は、招集(開催)する時期によって「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種類があります。

・定時株主総会 毎事業年度の終了後、一定の時期に定時株主総会を行い、株主を招集します。法律上、定時株主総会は開催が義務付けられています(会社法296条1項)。

・臨時株主総会 定時株主総会以外に、必要に応じて臨時株主総会を開催することができます。必要があれば、いつでも、何度でも招集できます(会社法296条2項)。

株主総会で決めること

株主総会では、会社にとっての重要事項が議題となります。その内容は多岐にわたりますが、大きくは次の3つに分けられます。

1 会社の根幹に関わる事項

定款の変更、新株発行、会社の解散、吸収合併契約や株式交換契約の承認などが、会社の根幹に関わる事項にあたります。会社の在り方を根本から変更したり、組織を大きく変更したりする場合は、株主総会での承認が必要だということです。

2 会社の役員に関する事項

取締役や監査役などの役員の選任・解任、役員の責任の一部免除などが、会社の役員に関する事項にあたります。株式会社は、所有と経営が制度上分離しており、会社の実質的所有者は出資者である株主、経営者である取締役は株主から経営を任されている関係です。そのため、株主総会では、取締役の選任・解任も行われることになります。

3 株主の利害に大きく関わる事項

剰余金の配当や株式譲渡制限会社における新株発行、役員の報酬額の決定などが、株主の利害に大きく関わる事項にあたります。もし、役員の報酬額を役員自身が無制限に決められるなら、実績に見合わない高額な報酬を設定することもできてしまいます。このような「お手盛り」を防ぐために、役員の報酬は株主総会の決定事項のひとつとなっています。

株主総会での決議は多数決で決まる

株主総会での決議のしかたは、基本的に多数決です。しかし、選挙のように、1人に対して1票(1議決権)が与えられる頭数多数決ではありません。
株主総会では「1株1議決権」が原則であり、株式を多く保有している人ほど多くの議決権を得られるしくみになっています。このような多数決のとり方は「資本多数決」と呼ばれます。国政などとは違い、出資額が大きい人には、大きい影響力が与えられるというわけです。

ただし、「単元株制度」を導入している株式会社では、少し事情が異なります。単元株とは、株式市場での売買や株主の権利を行使する際の最小単位のことで、実際に「100株=1単元」「1,000株=1単元」などと定めている会社は数多くあります。100株=1単元の場合は、100株に対して1議決権となります。

議決権の代理行使は可能

議決権は、株主ご本人が株主総会に出席して行使することが原則です。
ただし、多くの会社の株式を保有している株主は、株主総会の日程が被ったり、住まいが遠方であったり、入院中といった理由で、株主総会に足を運ぶことが難しい場合も考えられます。そのため、代理人を株主総会に出席させて議決権を行使することが認められています(会社法310条)。また、株主総会に出席しなくても直接意思を反映させられる、書面投票や電子投票の制度もあります(会社法311条、312条)。
ただし、自由な代理人指名を認めると株主総会が混乱するおそれがあるため、定款により代理人は株主に限る旨を定めておくことが一般的です。また、電子投票制度を採用するかどうかは、株式会社が任意で決定できます。

株主総会の決議の種類は3種類

株主総会の決議は多数決によりますが、決議に必要な「定足数」と「決議要件」は常に同じではありません。ちなみに、定足数とは、決議に必要な最小限の人数を指します。
決議方法には「普通決議」「特別決議」「特殊決議」の3種類があり、決議事項によってどの方法にするかは決まっています。基本的には普通決議で行いますが、特に重要な事項については、より決議要件のきびしい特別決議や特殊決議が必要になるというわけです。なお、役員などの株式会社に対する損害賠償責任を免除する場合(会社法424条)など、株主全員の同意が必要とされる事項もありますが、この場合には、必ずしも株主総会を開く必要はありません。
それぞれの決議方法の詳細と、代表的な決議事項について紹介します。

(1)普通決議 普通決議による代表的な事項としては、役員の選任・解任、役員報酬の決定、資本金額の増加、剰余金の配当・処分などがあります。

定足数…議決権を行使することができる株主の議決権の、過半数を有する株主が出席
決議要件…出席した当該株主の議決権の過半数が賛成

定足数については、定款に定めることで軽減や排除などの変更ができますが、役員の選任・解任の決議などでは定足数を株主の議決権の3分の1未満とすることはできないという制約があります。

(2)特別決議 特別決議による代表的な事項としては、定款の変更、事業譲渡、解散、会社の分割や合併、資本金額の減少、株式併合、役員などの責任の一部免除、特定の株主からの自己株式取得などがあります。

定足数…株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の、過半数を有する株主が出席
決議要件…出席株主の議決権の3分の2以上が賛成

定足数については、定款で3分の1まで軽減ができます。決議要件については、定款で加重することができます。

(3)特殊決議 そのほか、発行しているすべての株式を譲渡制限株式とする定款変更を行う場合と、株主ごとに異なる定めを設けられる「属人的株式」を設定する場合には、特別決議よりも厳重な要件が要求される特殊決議が求められる場合もあります。

発行しているすべての株式を譲渡制限株式とする定款変更を行う場合、議決権を行使できる株主の半数(頭数)以上が賛成し、かつ当該株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要になります

株主ごとに異なる定めを設けられる「属人的株式」を設定する場合の決議要件は、議決権を行使できる株主の半数(頭数)以上が賛成し、かつ総株主の議決権の4分の3以上が賛成となります。

株主総会開催までの流れと当日の進行

最後に、株主総会開催までの流れと当日の進行についても、簡単に紹介しておきます。

株主総会の流れ

1.取締役会を開き、株主招集を議決 取締役会設置会社の場合、取締役会を開いて、株主総会の開催日時や場所、議題を決定します。

2.株主へ書面で招集通知を送る 株主総会の招集通知は、株主に出席と準備の機会を与えるために、発送しなければならない期限(株式譲渡制限がない会社の場合開催日の2週間前、譲渡制限がある会社の場合1週間前)があります。もっとも、議決権を行使できる株主全員の同意があるときは、招集手続を省略したり、期間を短縮したりすることもできます。

3.総会の準備 書面投票制度・電子投票制度を利用した株主から寄せられた株主議決権行使書の集計、議案に対する株主の反応を予測して、想定問答集の作成、会場の確保・設営をします。

4.当日の議事進行 議長による開会宣言、決算報告、監査報告、議案事項の陳述、質疑応答、議決、閉会宣言を行います。

5.議事録の作成と保存 会社法により株主総会の議事録を作成しなければなりません。また、株主総会の日から本店に10年間保存することも定められています(会社法318条)。

株主総会の基本を押さえ、しっかりと準備をしよう

株主総会は、株式会社にとって最高位の意思決定機関であり、避けては通れないものです。議題は役員の選任や配当金の分配、事業譲渡や会社の合併・解散の是非などで、会社運営に大きな影響をもたらす事柄ばかりになります。
基本的に1株式1票の資本的多数決によって決議は決められ、議題によって「何人以上が賛成すれば成立するのか」が決まっています。
株主総会での失敗は、会社にとって大きなマイナスです。その点を踏まえて、しっかり準備してから臨みましょう。

2019年9月時点の情報なので、最新の情報ではない可能性があります。

監修:弁護士 佐藤義幸
監修:弁護士佐藤義幸

山口県出身。京都大学法学部、NYU School of Law(LL.M.)卒。スタートアップ企業の法務・知財戦略支援、ベンチャー投資、IPO・M&AによるExit支援など、多くのベンチャー関連業務に携わる。
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