三井住友カードにパルテノン神殿が使われていた理由
2020.10.07
三井住友カードにパルテノン神殿が使われていた理由
2020.10.07
三井住友カード株式会社は、日本のカード会社として初めてVISAカードを発行しました。以前発行されていたカードには、古代ギリシャのパルテノン神殿が描かれていました。「どうして日本のクレジットカードなのにパルテノン神殿なの?」と不思議に思う人もいるのではないでしょうか。
今回は、このデザインに注目し、「なぜ、パルテノン神殿が使われていたのか」という疑問にお答えします。
パルテノン神殿デザインに切替わったのは1990年
カードデザインにパルテノン神殿が描かれるようになったのは1990年のことでした。他社のVISAカードとの差別化や、高いステータスをイメージさせるため、どのような場面にもなじみ、シンプルかつ高級感のあるデザインとして採用したのです。以降、「パルテノン神殿といえば三井住友カード」というイメージを根付かせるため、入会申込書やウェブサイトにも同じデザインを採用していました。
なお、デザインの切替えと同時に、カード券面右上にVJAグループ(旧ビザ・ジャパングループ)のVISAカードであることを証明する「V」マークも追加されていました。
なお、現在でも一部のカードにはパルテノン神殿が描かれています。
パルテノン神殿が高い価値を持つ秘密
では、なぜパルテノン神殿が高級感を覚えさせるのでしょうか。パルテノン神殿は、ギリシャの首都・アテネの世界遺産で、「アクロポリス」と呼ばれる小高い丘の上に建つ神殿です。古代ギリシャ時代に、ペルシア戦争の勝利を記念して、ギリシャ神話の女神アテナを祀るために建てられました。
パルテノン神殿は、その歴史だけでなく純粋な建造物としても非常に高い価値を持っています。例えば、「黄金比」です。黄金比は、1:1.618という比率のことで、人間が最も美しいと感じる比率といわれています。パルテノン神殿は各所に黄金比が用いられており、美しい外観と建築物としての安定感を兼ね備えているのです。有名な建築物としては、エジプトのピラミッドもこの黄金比を用いて建てられています。
また、パルテノン神殿は古代ギリシャの代表的な建築様式「ドーリア式」の最高傑作といわれています。
実は、パルテノン神殿の柱は地面から垂直に立っているわけではなく、ドーリア式の特徴のひとつである「エンタシス」と呼ばれる建築技法が使われています。この建築方法を用いた柱は、遠くから見てもまっすぐ見えるよう、中央に膨らみを持たせたり、下から上にかけて少しずつ細くしたりといった細やかな工夫が施されています。
このエンタシスの技法は、日本の飛鳥時代に建立された世界最古の木造建築・法隆寺の円柱にも使われています。日本との共通点を知ると、クレジットカードのデザインがより身近に感じられるのではないでしょうか。
パルテノン神殿が選ばれた理由
パルテノン神殿のデザインは、ブランド戦略を決定する際に三井住友カード株式会社の社内公募によって決まりました。多数の候補の中から、パルテノン神殿が採用された理由は何でしょうか。
パルテノン神殿の知名度が高い
パルテノン神殿は著名な建造物であり、観光地としても人気の場所です。世界的によく知られている建造物を使うことで、「パルテノン神殿といえば三井住友カード」というイメージを定着させ、さらなる認知度アップを図る狙いがありました。
プラスのイメージが強い
パルテノン神殿は、近代国家の象徴として現存する建造物です。伝統や歴史、女神を祀っているという正統性、建造物としての芸術性の高さや文化的価値など、プラスのイメージが強いというのも選ばれた理由のひとつです。
高いステータスイメージを与えられる
クレジットカードを財布から出したときに、高いステータスをイメージさせるカードを持ちたいという人も多いでしょう。そのため、パルテノン神殿の高級感がカードデザインとして選ばれました。また、見た目のステータスだけでなく、カード機能や付加価値サービスの質の高さを感じさせる効果もありますので、会員増加につながると考えました。
三井住友カードの人気は、高いステータス性に裏打ちされています。パルテノン神殿のデザインは、そうしたステータス性をより高める役割も果たしていたといえるでしょう。
三井住友カードデザイン一新
三井住友カードは、2020年2月3日(月)より、弊社が発行するカード(除く提携カード)のデザインを一新しました。
こちらもあわせてご覧ください
こちらもあわせてご覧ください
2020年10月時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。
今回の記事のまとめ
パルテノン神殿のデザインのカードが生まれたのは1990年
三井住友カードのデザインにパルテノン神殿が使われていた理由