旅行の出発準備
2023.11.07
海外旅行の必需品であるパスポート。航空券やツアーを予約するときにも必要となるため、海外旅行に行くことになったら、最初に確認するもののひとつに挙げられます。ただし、これまで海外旅行の経験がある方ほど、すでにパスポートを取得している安心感からか、有効期限の確認を怠ってしまうことも少なくありません。
ここでは、パスポートの所持と併せて確認しておきたい有効期限や残存有効期間のほか、有効期限が切れてしまったときの対処法について解説します。
パスポートは、各国の政府および外務省が発行し、海外へ渡航する方の国籍や身分を証明することのできる国際公文書です。
日本の場合、18歳未満は5年、18歳以上は5年もしくは10年の有効期限が設けられており、パスポートの発行日から5年後か10年後の同日に有効期間が満了を迎えます。
なお、パスポートの有効期限までの残りの期間は「残存有効期間」といいます。
例えば、2020年4月1日(水)に発行された5年のパスポートであれば、有効期限は2025年の4月1日(火)となり、2025年1月1日(水)時点での残存有効期間は3ヵ月となります。
海外旅行へ行く際、滞在期間がパスポートの有効期限内であれば大丈夫と思われがちですが、実は残存有効期間も重要になる場合もあります。それは、入国時に一定以上の残存有効期間がなければ入国自体ができない国もあるからです。
日本人の海外旅行先で人気の国を例に挙げると、日本のパスポートで観光目的の入国の際に必要な残存有効期間は次のようになっています。
国・地域 | 残存有効期間 |
---|---|
アメリカ | 帰国時まで有効なもの(ただし、入国時90日以上が望ましい) |
カナダ | カナダ滞在日数+1日以上 |
シンガポール | 入国時6ヵ月以上 |
香港 | 1ヵ月以内の滞在の場合は入国時1ヵ月+滞在日数以上 1ヵ月以上の滞在の場合は入国時3ヵ月以上 |
フランス、ドイツ、オランダなど | シェンゲン領域を最後に離れる日から3ヵ月以上必要 (査証欄の余白が必要なページ数が国によって異なる) |
本内容は2023年7月現在の情報です。
必要な残存有効期間は国によってまちまちですが、観光目的であれば概ね3~6ヵ月以上となります。
ただし、国際情勢などで必要な残存有効期間が変更になることもありますので、自身のパスポートの有効期限の確認はもちろん、渡航予定の国で必要な残存有効期間の最新情報もチェックすることをおすすめします。正しい情報は、渡航予定の国の観光協会、大使館、総領事館に問い合わせるか、ウェブサイトなどでのチェックが確実です。
なお、フランスのほか、ドイツ、オランダ、スイス、スウェーデンなどの27ヵ国は、ヨーロッパの国家間で出入国審査なしでの越境を許可するという「シェンゲン協定」を結んでいます。
これら、シェンゲン協定の加盟国では、通常、出国時に3ヵ月以上の残存有効期間が必要となり、ビザ免除が認められる短期滞在期間は原則「あらゆる180日の期間内で最大90日まで」と定められています。このため、シェンゲン協定加盟国に計2ヵ国滞在する場合、最初の到着空港での入国となり、その国の規則が適用されます。
例えば、フランスの場合、1ヵ月の滞在であれば4ヵ月以上の残存有効期間が必要となる点に注意が必要です。なお、シェンゲン協定加盟国内では、最初の到着地で入国審査があり、最後の出国地で出国審査が行われます。
飛行機を乗り継ぐトランジットで他国を経由する際、その国の入国審査を受ける場合は、経由する国の残存有効期間も必要となります。
例えば、シンガポール経由でオーストラリアへ行く場合、オーストラリアは帰国時までの残存有効期間があれば入国できますが、シンガポールは6ヵ月以上が必要となるので、残存有効期間が6ヵ月未満のパスポートでは、シンガポールで搭乗を拒否されて、オーストラリアへ渡航できない可能性があります。
航空券やツアーの申し込み時の残存有効期間でカウントしてしまわず、必ず出入国の日を基準にして数えましょう。国によっては、パスポートの残存有効期間と併せて、未使用の査証欄のページ数が決まっていることもあるので、それぞれ確認が必要です。
パスポートは、有効期限が切れていたら効力がなくなり、海外旅行をすることができません。
最近では、ホテルや航空券がネット上で簡単に予約ができることから、ツアーなどに参加せずとも個人で手配をする旅行者も増えています。その場合、予約時のパスポートの有無など申し込み先によって異なりますが、有効期限や残存有効期間を確認する機会がないまま手続きに進むケースも多いようです。「有効期限切れに気付かず出国日を迎えてしまった」というトラブルが起きる原因にもなるので、くれぐれも注意してください。
有効期限を過ぎたパスポートでは出国審査を通過できないので、出発の日に期限切れに気付いた場合は、残念ながらその旅行はキャンセルするしかありません。
パスポートの有効期限内でも、残存有効期間が渡航先の指定日数に満たなかった時も同様です。
契約によっては、渡航先のホテルやオプショナルツアー、航空券などの実費負担やキャンセル料も発生します。
予約時に旅行会社を介している場合、パスポートの有効期限や残存有効期間を確認のうえ、足りない場合は事前に教えてもらうことができます。
また、ツアー申し込みの段階でパスポートの有効期限が切れていても、発給の申請中であること、もしくはすぐに申請することを伝えれば、手続きを進められるようです。その際、次の点に注意してください。
・氏名のスペル 航空券や海外ツアーでは、予約時とチェックイン時にパスポートの氏名を照合して本人確認をするため、スペルが1文字でも異なると、便の搭乗やツアーの参加ができません。
・パスポート情報 航空券の予約やツアーの予約完了時にパスポート番号などが必要となることがあります。申し込み時にパスポートが未取得だった場合や更新の場合、それぞれ取得後すぐに情報を伝えるようにしましょう。
・パスポート取得のタイミング 出発当日までにパスポートが取得できなかったときは、予約は取り消しとなります。その際、キャンセル料が発生する可能性があります。
パスポートの有効期限や残存有効期間がギリギリでも条件を満たす場合は、原則として渡航はできます。とはいえ、事故やトラブルなどに巻き込まれて滞在日数が延びてしまうと帰国できないリスクも出てくるので、有効期限も残存有効期間も、ある程度ゆとりを持った日数で出国日を迎えるのが望ましいでしょう。
では、ギリギリのパスポートで渡航し、何らかの事情で滞在中に有効期限が切れてしまったら、どうしたらいいのでしょうか?
・滞在先でパスポートが切れた場合 海外滞在中にパスポートの有効期限が切れてしまったときは、その国にある日本大使館や総領事館でパスポートを発給してもらいます。
必要書類は日本国内で発給するときと同じですが、戸籍謄本(全部事項証明書)のように日本の役所でしか発行できない書類もあるため、日本にいる家族にお願いして送ってもらったり、役所から渡航先へ送ってもらう手配をしたりしなければなりません。原本が到着するまでにある程度の日数を要し、そこから申請して発給されるまでにも一定期間が必要となるので、スケジュール次第では滞在日数が大幅に延びてしまう場合もあります。
また、ビザやビザ免除プログラムの申請が必要な国では、その引き継ぎ手配も必要になります。
慣れない環境下、言葉も通じにくい中でこれらの手続きを進めるのは難しいこともあるかもしれません。パスポートの有効期限にはゆとりを持って旅立つようにしましょう。
心待ちにしていた海外旅行が、有効期限切れや残存有効期間の不足などで、出発直前にキャンセルとなってしまうことを防ぐためにも、パスポートの早めの確認は必須です。有効期限が短くなっていて更新が必要な場合は、手続きを進めましょう。
すでに有効期限が切れていたときは、更新の手続きはできません。すぐに必要書類を用意して、住民票や住所のある都道府県のパスポート申請窓口で発給申請を行いましょう。この場合の手続きや必要書類は、新規発給を行うときと同じです。
18歳以上なら、有効期限を5年と10年から選ぶことができますので、希望年数の一般旅券発給申請書で申請をしてください。申請から受領までには土日・祝日を除いて1週間程度かかるので、早めの手続きが安心です。
「本人確認書類の原本」は、マイナンバーカードや運転免許証などなら1点、健康保険証や写真の貼ってある会社の身分証明書などは、指定書類の中から2点必要になりますので注意しましょう。
また、窓口で過去の取得の有無を確認されることもあるため、有効期限が切れたパスポートも用意しておくことをおすすめします。
パスポートは、残存有効期間が1年未満になったら更新できるようになります。ほかにも、査証欄に余白がなくなった方も更新の申請対象となります。更新に必要な書類と注意点は以下のとおりです。
・残存有効期間は切り捨てになる(有効期限が変わる) パスポートの更新には新規の取得と同様の手続きが必要で、残存有効期間も引き継がれずに切り捨てとなります。新しいパスポートの有効期限は、更新の手続きをして新しく発行された日から5年または10年となります。
・パスポート番号が変わる パスポートの真正性や信頼性を維持するためとして、パスポートごとに固有の番号を使用することが国連の専門機関の国際標準で強く推奨されています。そのため、更新をするとパスポート番号も新しく付与されます。航空券やツアーを以前のパスポート番号で予約していた場合は、変更の届け出を忘れずに行いましょう。
・電子渡航認証など、ビザ免除プログラムの再申請が必要になる 国によってビザを免除するプログラムがありますが、アメリカで2年、オーストラリアでは1年など年単位の期限が設けられています。期限を迎える前に更新の手続きをしてパスポート情報が変わった場合は、このビザ免除プログラムも無効となるため、新しいパスポートで申請し直す必要があります。ビザ免除プログラムの新しい期限は再申請の日をもとに設定されますが、手数料なども新たに負担しなければなりません。
なお、更新の手続きを終えた旧パスポートは、有効期限前であっても無効になります。破棄してしまう方もいるようですが、パスポートは国の所有物です。国に返納するよう義務付けられているので、更新後に旧パスポートが不要な場合はパスポートセンターなどへ提出してください。
ただし、ビザの申請などで過去のパスポート番号が必要となることもあるので、古いパスポートを手元で保管しておいたほうがいいケースもあります。その場合、返却希望の旨をパスポートの申請窓口で申し出れば、返納の義務を果たしたとする「VOID」の押印や、穴開け処理をして返却してもらえます。
これまでのパスポート更新は紙による申請で、申請時と受取時の2回にわたって窓口に出向く必要がありました。しかし、2023年3月27日(月)からは、パスポートの一部の申請がオンラインでも可能になりました。
オンライン申請を行うことによって原則として受取時の1回のみ窓口に行けばいいことになります。
具体的には、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
オンラインでの手続きに必要なものは以下のとおりです。
オンライン申請では、マイナポータルアプリとマイナンバーカードが必要です。まだマイナンバーカードを取得できていない方やマイナポータルアプリをインストールしていない方は、手続き前に準備を進めておく必要があります。
以下の条件に該当する場合は、一部の府県でのみオンライン申請を受け付けしています。お住まいの地域によっては、オンライン申請の対象となりませんので注意が必要です。
ご自身がお住まいの地域でオンライン申請の対応をしているかどうかは、各都道府県のホームページで確認しましょう。
オンライン申請の導入に伴い、パスポート手数料(更新料金)のオンライン納付も可能になりました。オンライン申請のあとに審査が行われ、審査を通過したあとはクレジットカード情報のオンライン登録に進む流れです。
なお、パスポート手数料のクレジットカードによるオンライン納付は、準備ができた都道府県から順次開始されます。事前に各都道府県のパスポート申請窓口で確認しておきましょう。
パスポートのオンライン申請でクレジットカードでの納付が可能になったこともあり、海外旅行向けにクレジットカードを1枚持っておくと便利です。
海外旅行にクレジットカードを持っていくと、キャッシュレス決済でスマートに支払いができるだけでなく、現地通貨で決済したり、キャッシングしたりすることもできます。また、海外旅行での傷害保険が付帯されているカードもあり、海外旅行関連で利用できるサービスがたくさんあります。
ここでは、三井住友カードのおすすめのクレジットカードをご紹介します。
年会費が永年無料で、高校生を除く満18歳以上の方が利用できます。券面にカード番号・有効期限・セキュリティコードが表記されていないナンバーレスのカードのため、初めての方でも安心・安全です。
クレジットカード情報はVpassアプリをダウンロードすれば簡単に確認できますので、ネットショップでのお買い物もスムーズです。従来のクレジットカードとはまったく違う、先進性を備えたクレジットカード体験が待っています。
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なお、海外ではホテルのチェックインやレンタカーを借りるときなどに、デポジット(保証金)を求められる場合があります。クレジットカードの番号を控えるために券面のコピーが必要となる施設がありますが、券面にカード番号の記載がない三井住友カード(NL)や三井住友カード ゴールド(NL)については、「Vpassアプリ」からカード番号をいつでも提示できるように準備しておきましょう。
ただし、施設によってはナンバーレスカードが受付できない可能性がありますので、ご注意ください。
三井住友カードのハイステータスカードのひとつである「三井住友カード プラチナプリファード」。従来の三井住友カード(NL)、三井住友カード ゴールド(NL)に加え、三井住友カード プラチナプリファードでもナンバーレスカードをご選択いただけます。券面には、カード番号・有効期限・セキュリティコードが表記されない、安心・安全のナンバーレスのカードです。
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詳しくは以下をご覧ください。
パスポートの有効期限と残存有効期間
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詳しくは以下をご覧ください。
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パスポートの発給と更新の方法
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2023年11月時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。