株式会社unerry(ウネリー)

人流ビッグデータと連携するビーコンアプリ「Stap」。リアル購買行動マーケティングが手軽に実践可能に

Bluetooth

ユーザー向けサービス連携

公開:2023/7/12

 

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リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank(ビーコンバンク)」を運営するunerry(ウネリー)。リアル購買行動マーケティングに人流ビッグデータを活用し、さまざまなサービスを提供する同社は、ビーコンアプリ「Stap(スタップ)powered by Beacon Bank」を開発し、「stera market(ステラマーケット)」に提供しています。「stera terminal(ステラターミナル)」のビーコン機能を活用した初のアプリであり、「Beacon Bank」のプラットフォームと連携させることで、決済端末をそのままビーコンとして利用することができます。

 

「stera terminalは、これまでビーコン端末がなくては実現が難しかったリアル購買行動マーケティングの世界観を、一気に変える可能性を秘めています。ここから新しい未来を一緒に作っていきたいです」。そう語るのは、同社のBeacon Bank事業部でフロントチームリーダーを務める星雄大さんです。「stera market」に参加するまでの経緯や、アプリ開発にまつわる秘話、そして、「stera」を通じて目指す未来について語っていただきました。

 

目次

 

プロフィール

株式会社unerry/ウネリー Beacon Bank事業部 星 雄大(ほし ゆうた)

株式会社unerry/ウネリー Beacon Bank事業部 星 雄大(ほし ゆうた)

 

リクルート、ITベンチャーを経て、2019年にunerry参画。セールス・カスタマーサクセス領域のフロントチームリーダーを務める。人流ビッグデータを活用した大手小売・メーカーのDX支援を手掛けると同時に、決済事業者、イベント、プラットフォーマーなどとの共同商品開発や協業の推進を担当。

分析から集客・販促、CRMまで可能にするアプリ

unerry社が開発したビーコンアプリ「Stap powered by Beacon Bank」(以降、Stap)は、2022年1月、オールインワン端末「stera terminal」の加盟店向けアプリとしてリリースされました。

 

人流ビッグデータを保有する自社プラットフォーム「Beacon Bank」と連携させることにより、決済端末である「stera terminal」をそのままビーコンとして利用することができる画期的なアプリです。「より手軽にビーコンを活用したリアル購買行動マーケティングに取り組んでいただける」と星さんは話します。

 

星さん:当社は、月間400億件超、約1.5億IDの人流データを保有する「Beacon Bank」というリアル行動データプラットフォームを運営しております。ビーコンやGPS、IoTセンサー技術を組み合わせ、リアル社会の「人」や「場所」を網羅的にデータ化し、リアル購買行動マーケティングに活用できるソリューションを提供しています。

 

現在、サービスとしては、主に3つのソリューションを提供しています。1つ目は「分析・可視化」に役立つサービスで、店舗の商圏やお客さまの属性、趣味・嗜好性などを分析するソリューションとなっています。2つ目は、「集客」に役立つサービスです。位置情報を活用してターゲティングの精度を高め、GoogleやFacebookなどの広告配信プラットフォームを通じ、お客さまの行動変容を促すソリューションです。そして、3つ目が、「CRM」に役立つサービスです。スマホアプリやLINE公式アカウント、CDPをはじめとした統合マーケティングなどにリアル行動データを活用する「One to One」のコミュニケーションで、お客さまへのアプローチを最適化、高度化していくソリューションとなっています。

 

これらのソリューションにおいて施策の成功確度を高めるためには、ビーコン導入が必要となる場合も多く、これまでは機器の手配から設置まで含め、非常に大掛かりなプロジェクトとなっていたそうです。しかし、オールインワン端末「stera terminal」と連携するビーコンアプリ「Stap」によって、ビーコンを活用したリアル購買行動マーケティングを手軽に実践できるようになりました。

 

星さん:もともと決済端末である「stera terminal」は、すでにそこにあるわけです。追加でハードを導入することなく、人流データを活用した各種施策が実施可能となります。また、遠隔操作で起動ができ、アプリのロゴをタップするだけで、ビーコンの各種パラメーターが自動採番され、そのままビーコンとしての機能を利用することができます。

 

例えば商業施設の場合、各店舗のオーナーさんや店長さんにビーコン設置の許可を取ったり、電源を抜かないように周知したりすることが必要ですし、トラブルなどが起きた際の対応も大変です。しかし、「Stap」アプリを利用すれば、導入コストはもちろん、そうした煩雑な手間も省くことができる。非常に画期的なアプリを生み出すことができたと感じます。

 

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データ活用の推進で「便利で快適な暮らし」の実現を目指す

「Beacon Bank」を利用しているお客さまの業界は、実に幅広く、多岐にわたっています。

 

星さん:当社のお客さまの多くに共通しているのは“リアルな場”を持っている点ですね。スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどの小売業チェーンをはじめ、自治体やまちづくり団体、商業施設、百貨店、さらには、エンターテインメント施設や、イベント会場などでもご活用いただいております。

 

お客さまご自身では、店舗内の決済データは収集できても、店舗や棚前への来訪、購買きっかけとなる行動データを取ることは難しいものです。しかし、ビーコンと人流ビッグデータを活用すれば、店内外の行動を分析できます。当社が提供する3つのソリューションによって、集客の課題や潜在ニーズを捉え、顧客のインサイトを理解できることはもちろん、SNSを活用した位置情報によるターゲティングでデジタル広告を打つなど、集客を促す具体的な施策を実行できます。さらに、一度来店してもらうだけでなく、繰り返し接点を持ち、多様なアプリと位置情報の組み合わせを上手に使いながらお客さまとコミュニケーションしていくこともできるのです。

 

「stera terminal」と「Stap」アプリの連携によって、これらのソリューションをより多くのお客さまにご利用いただけるしくみを作ることができました。大型商業施設や小売流通・外食のチェーンなどをはじめ、大規模店舗の運営や多店舗展開をされているお客さまにマーケティング活動の中心としてご利用いただければと思っています。ワンタップで端末がビーコン化し、約1.5億IDを保有する人流ビッグデータのプラットフォームと接続が可能となるので、顧客分析や集客施策などをクイックに展開することが可能です。

 

当社は、「心地よい未来を、データとつくる。」というミッションを掲げており、人流ビッグデータ活用の推進によって、社会の利便性を高め、顧客体験をアップデートしていくことを目指しています。今後、さらに多くのお客さまにご利用いただくことで、その先にいるカスタマーの皆さまの暮らしをより便利で快適なものに変えていけると考えています。

 

「Stap」アプリを入れると、決済端末「stera terminal」がビーコンになり機器設置不要

人流データと決済データのシナジーで、新たな価値の創出へ

unerry社が「stera market」にアプリをリリースした背景は、自社が保有する人流ビッグデータと、三井住友カードが保有する決済データの掛け合わせに可能性を感じたことがきっかけになったそうです。

 

星さん:もともと取引のあった三井住友銀行さんから、三井住友カードさんのデータ活用に積極的に取り組んでいく姿勢についてお話を伺ったことが始まりでした。我々は、人流ビッグデータを持っていますが、三井住友カードさんが保有するような決済データは持っていないので、それがつながったらもっと強いリアル行動購買マーケティングを実現できると考えたのです。

 

我々が保有する「店舗に来た」「アプリの通知やデジタル広告を見た」という顧客の行動データと、三井住友カードさんの「商品を買った」という決済データを結びつけることで、「来て、見て、買った」というファネルをしっかりと“見える化”できます。よりリアルに現状を理解し、効果改善の新たな施策を打つためのソリューションを生み出すことができる、と考えました。双方のデータを掛け合わせるシナジーによって、新たな価値を創造できると考え、協業を進めさせていただくことにしたのです。

 

「stera market」にアプリをリリースすることになったのは、三井住友カードさんとやりとりする中で、商業施設を運営する共通のクライアントがいることがわかったためです。新たな施設に「stera terminal」を導入する予定があり、かつ、他の施設と同様にビーコンを活用したいというニーズがあったのです。端末のリプレイス時期が決まっていたため、そこに間に合わせるため、急ピッチで開発を進めることになりました。

開発・配信の基盤が強固でセキュア。スムーズに開発できた

unerry社にとって、決済端末とのコラボレーションは初の試みでしたが、「非常に開発しやすかった」と星さんは話します。

 

星さん:「stera terminal」は決済端末であり、我々にとってはそうしたハードに向けた開発を行うこと自体が初の試みではありました。しかし、OSがAndroidなので、非常に開発しやすかったですね。日頃からAndroidアプリの開発を手掛けているので、技術的なハードルがなく、決済端末であることを意識することなくスムーズに進めることができました。開発・配信の基盤も強固かつセキュアなため、非常に取り組みやすかったと思います。

 

また、UIが非常にわかりやすくていいですね。Bluetoothをオンにして、アプリのロゴをタップすれば起動するしくみなので、説明書を見なくても操作できる点もいいですね。「Stap」アプリでは、本部などの運営サイドが各店舗の端末を自動的に起動できる仕様を目指し、誰でも対応できるようにできるだけシンプルな操作手順にしています。

 

開発過程においても、サンプルソースやドキュメントが豊富に用意されていたため、必要な情報がすでに充実している状態でした。決済端末との連携部分は通常のAndroidには無い部分ですが、開発メンバーからは「不明な点を問い合わせる機会もほぼなく、非常にわかりやすかった」という話を聞いています。

 

さらに、アプリの運用においても、開発・配信の基盤がセキュアかつ強固であることに大きなメリットを感じています。アプリの運用はリリースしたら終わりではなく、機能追加やバグ修正などのアップデートが必ず発生します。これまで他の案件で開発を手掛けてきた中では、管理画面からさまざまな対応が必要になったり、端末の設定を1台1台修正することが必要になったりするケースもありました。しかし、「stera terminal」は配信基盤がしっかりとしているので、そうした対応も一切必要ありません。改修やモデルチェンジがしやすく、非常に心強いですね。

 

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開発時のサポート体制からリリース後の運用体制まで充実

開発の際には、三井住友カードの担当者と密に連携を取り、「毎週のように打ち合わせを行ない、伴走してもらうことができた」と星さん。

 

星さん: 当社では、今後のアプリ機能拡張や後続の開発を見据え、開発当初からドキュメント類の整理やノウハウを残すことも目指していました。ビーコンアプリは、ほかのアプリと比べて機能実感が薄く、利用メリットが伝わりにくいものです。ですから、エンドユーザーにとってどのような嬉しいメリットがあるのかをしっかり伝える説明資料や提案マニュアルをきちんと整備し、価値を感じてもらうための準備にも注力していました。

 

そうした中で、三井住友カードさんには、毎週のようにお時間をいただき、当社のアプリを「stera market」に出すにあたっての細かな点の擦り合わせだけでなく、「どのような点に価値を感じてもらいやすいのか」という点も相談させていただきました。ドキュメント整備や資料作成についても伴走してもらえて、とても助かりましたね。

 

加えて言えば、運用がしっかりしている点も素晴らしいと思います。端末に修正が入る際には、必ず事前のご案内があり、検証用モジュールも提供していただけます。開発サイドが更新版に対応するためのアップデートをした上で、問題がないかどうかを検証してからリリースできる体制が整備されています。安心して外に出せるしくみがあるので、ここについても非常に助かっています。

「stera market」に参加したことで、提案の幅が広がった

「stera market」に「Stap」アプリをリリースしたことで、お客さまへの提案の幅が広がると同時に、タッチポイントも増えたそうです。

 

星さんは、「stera market」に参加するメリットについてこう話します。

 

星さん:決済端末とビーコンは、“リアルな場”という共通点があります。つまり、我々のソリューションが活きるお客さまが非常に多くいるプラットフォームが「stera market」なのです。外食チェーンや小売チェーンのお客さまへのアプローチ、ご提案の幅を広げていけるので、参加したことには大きな意義があったと思いますね。

 

そもそも「stera terminal」は決済端末なので、まずは決済の高度化、効率化が目的で導入されるのが当然だと思いますが、そこにアプリを利用できる「stera market」という付加価値があり、当社の「Stap」アプリを使えば、決済だけでなく、マーケティングというプラスαの取り組みができるわけです。

 

人流データの活用は、コロナ禍の中で混雑状況の把握などに利用されるようになりましたが、マーケティングに使うノウハウまでは浸透していないと感じます。しかし、多くのユーザーが利用しているプラットフォームにアプリを提供したことで、「分析にも使えるのか」「顧客理解にはこう使えるのか」「集客にまで使えるのか」などの声をたくさんいただくようになりました。それがきっかけになり、ニーズにつながっていくことを実感しています。

 

現在、「stera terminal」を経由したお問い合わせも増えています。三井住友カードさんが展示会に出展する際には、当社のアプリもご紹介いただいておりますし、当社がリテール業界向けの展示会に出展する際にも、「stera terminal」のコーナーを設けています。通りがかったお客さまから「決済端末なのにそんなことができるの?」という声をいただくこともあれば、「この端末を導入しているけど、ビーコンとしても使えるとは知らなかった」という声をいただくこともあります。「stera market」に参加したことで、タッチポイントは確実に増えていますね。

 

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三井住友カードと協業していくことに大きな価値がある

unerry社は、2022年7月に上場を果たし、大きく躍進を続けています。そうした中でも、「三井住友カードとの協業には、大きな価値を感じている」と星さんは話します。

 

星さん:当社は、恐らく人流ビッグデータを主な生業とする企業としては、世界初の上場企業ではないかと思います。しかし、それでも自社でできることやアプローチできる幅には限界があると考えています。コロナ禍を経て、「混雑」を中心とした人流データの認知度が徐々に高まってきたとはいえ、まだまだ多くの企業との協業や共創の活動をしていくことが重要なため、「stera market」という場を提供していただけることには、非常に高い価値を感じています。

「stera terminal」1台ですべて完結できる未来を一緒に創っていく

今後のunerry社の目標について、星さんは「三井住友カードと共に、『stera terminal』1台ですべてを完結できるような未来を創造していきたい」と話します。

 

星さん:また、ただアプリを開発したのみでは意味がないと考えているので、三井住友カードさんとは、お客さまのマーケティング活動をどう捉えていくのか、アプリを入れていただいたお客さまがどう活用の幅を広げていくのかなどを日々ディスカッションしています。協業していくからには共同の商品や事業を作っていき、ビジネスを拡大していくことが大事なので、相互の知恵を持ち寄ってさまざまな議論を重ねながら、新しい価値の創造に向かっていきます。

 

これからの時代、リアル行動データはビジネスのさまざまな施策を実施する際の起点になると考えています。家でテレビ見る時も、外出先で音楽を聴いている時も、買い物をする時にも、常にそこにはスマホや人流データが密接に関わっています。さまざまなデータを組み合わせ、行動のきっかけを分析し、位置情報を用いることでマーケティングは進化していきますし、今後はそれが一般的になるでしょう。当社のデータやプラットフォームを当たり前のように使っていただくことで、企業のマーケティング活動も、カスタマーの顧客体験もより良いものとしていくことを目指しています。そのタッグを組む相手として、三井住友カードさんに出会うことができ、非常に良かったと思っています。

 

「stera terminal」は、飲食やアパレル、小売など、多様な業界のお客さまが利用しているので、お客さまと当社が提供するビーコンアプリとの接点を持ちつつ、一緒にどんな業界の未来をつくっていけるのかを模索していきたいと考えています。実際、「stera terminal」なら、決済から広告配信、分析、One to Oneのコミュニケーション、さらには新たな顧客体験まで、すべてワンストップでできるプラットフォームを作っていける。究極的には、これ1台ですべて完結できるような未来を、三井住友カードさんと一緒に創っていきたいですね。

 

最後に、「stera market」への参加を考えている開発会社の方々に向けたメッセージをいただきました。

 

星さん:「stera market」はプラットフォームとして非常に優れていることを実感しています。決済端末として強固な基盤がありますし、我々のように新しい未来にチャレンジしていきたい企業はもちろん、一気に自社サービスの価値を広めていこうというビジョンを持っているソリューション事業者、アプリベンダーの皆さんにもお勧めできますね。「stera market」という場を活用し、協業していくことには、大きなチャンスがあるのではないかと思います。

stera アプリ開発の始め方

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