経理
純資産とは?求め方や貸借対照表の分析について
安定した会社経営のためには、良い財政状態を維持していく必要があります。会社の資産状況を把握するときは、あらゆる資産を総合した「総資産」ではなく、返済義務のない負債を差し引いた純然たる資産である「純資産」に着目することが大切です。
ここでは、純資産について解説するとともに、貸借対照表から読み解く方法についてご紹介します。
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純資産は返済義務がない資産
純資産は、返済義務がない純然たる会社の資産で、「自己資本」とも呼ばれます。
金融機関が融資判断をするときに、特に注目されるのが純資産の項目です。貸したお金を返済する能力が企業にあるかどうかを判断するため、債務に対する純資産が不足していると、お金を回収できない可能性があるからです。当然ながら、純資産がマイナスの会社はすでに健全な経営状態とは言い難く、債務超過で倒産するリスクが高いと判断されることになります。
貸借対照表の見方
純資産は、企業の財政状態を表す貸借対照表で確認することができます。
貸借対照表には、会社が集めたお金を表す「資産」、いずれ返済する義務がある「負債」、そして資産から負債を差し引いて残る「純資産」が記されます。資産は、負債と純資産を合わせた金額と必ず一致しますので、「資産=負債+純資産」の式が成り立ちます。
純資産の内訳は?
純資産は、会社の設立や増資の際に株主が出資した「株主資本」と、「評価・換算差額金」「新株予約権」に大別されます。それぞれ確認していきましょう。
株主資本
株主からの出資金である株主資本は、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」「自己株式」に分かれます。
・資本金
資本金とは、会社を運営するために株式と引き換えに集めたお金のことです。設立や増資の際、事業がスムーズに進むよう株主が出資した金額を、会社法に基づいて「資本金」という項目に組み入れます。
ただし、株主から払い込まれた全額を、資本金に計上する必要はございません。会社法第445条にて、会社に払い込まれた金額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないことができると規定されています。従って、株主が払い込んだ金額のうち2分の1以上であれば、資本金を自由に設定することができるのです。資本金に計上しなかった残りの額は、資本準備金として計上することになります。
例えば、株主からの払込みが2,000万円だとしたら、1,000万円までは資本準備金として計上でき、資本金は1,000万円になります。
・資本剰余金
資本剰余金は、「資本準備金」と「その他資本剰余金」で構成されます。
資本金は株主が払い込んだ金額の2分の1以上で計上され、残りの額は資本準備金に回ります。また、その他資本剰余金は、資本準備金の取り崩し額が計上されるほか、自社株式を譲渡したときの差損益などが計上されます。
資本準備金の取り崩しについては、例えば、株主からの払込みが2,000万円で、全額を資本金として計上した場合を考えてみましょう。500万円の赤字を出したときに、資本金もその分減って、1,500万円になります。これは会社として信頼を失うことにつながります。そこで、払込み2,000万円のうち1,000万円を資本金として残りを資本準備金としておくと、500万円の赤字分を、資本準備金でまかなうことができ、資本金は減額することになりません。そのとき、資本準備金から取り崩したお金が、その他資本剰余金として計上されるのです。
・利益剰余金
利益剰余金は、「利益準備金」と「その他利益剰余金」で構成されます。利益準備金は、会社が出した利益を、配分に備えて積み立てたお金です。また、その他利益剰余金は、設立以来の利益を繰り越したものや、任意積立金などを指します。
・自己株式
自己株式とは、自社で保有している自社の株式のことです。英語で「Treasury stock」になることから、直訳して「金庫株」と呼ばれることもあります。
評価・換算差額金
評価・換算差額金は、株などの有価証券を購入したときの価値と、現時点での価値における差額を示します。
新株予約権
新株予約権とは、あらかじめ決められた価格で、株式を取得できる権利のことです。新株予約権を行使する際は、会社が新しい株式を発行する、あるいは会社の自己株式を移行することになります。
純資産と負債の割合で会社の実情をつかむ
会社の総資産が多いからといって、財務体質が良いと考えるのは早計です。純資産と負債との割合を比較して、負債に依存しすぎていないかどうかを把握して、会社の財務についての安全性を判断していきましょう。
2018年9月時点の情報なので、最新の情報ではない可能性があります。
港区の会社設立支援、税理士法人。Big4出身の公認会計士、税理士、元上場企業経理部長、大手ベンチャーキャピタル出身者などで構成され、スタートアップ支援に力を入れる。
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