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ブロックチェーンの活用事例を紹介!しくみや特徴、国内・海外の動向は?
ブロックチェーン技術を活用する企業やサービスが増えており、セキュリティ性の高さや決済プロセスの自動化が可能であるという特徴から、キャッシュレスサービスとの相性も良いとされています。ブロックチェーンのしくみや特徴とともに、導入事例や国内外の動向をチェックしていきましょう。
- 目次
- そもそもブロックチェーンとは?
- ブロックチェーンを何に使うのか
- ブロックチェーンの活用事例3選
- 海外のブロックチェーン動向
- 日本国内のブロックチェーン動向
- ブロックチェーンを活用したビジネスの構築を
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そもそもブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは、複数のコンピュータに、暗号技術を使いながら取引情報などのデータを同期して記録する手法のことを指します。ネットワーク上で複数のコンピュータが取引の記録を管理するため、不正な改ざんが事実上不可能であるという点が特徴です。取引記録をまとめた「ブロック」をチェーン(鎖)のようにつなぎ、情報が更新されていきます。日本語では「分散型台帳」とも呼ばれます。
複数のコンピュータで管理することから大規模なコンピュータを必要とせず、安全性が高いシステムを低コストで構築しやすいため、多くのシステムで利用されつつあります。
ブロックチェーンの歴史
ブロックチェーンは、2009年に発行された仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術として用いられ、世の中にその存在が広まっていきました。まだ登場から10年余りの歴史の浅い技術ですが、その安全性の高さとコストの低さから、さまざまな分野で活用されつつある手法と言えます。
ブロックチェーンの種類
ブロックチェーンは管理者の有無などによって大きく3種類にわかれます。
パブリック型とプライベート型の中間の特性を持つのがコンソーシアム型です。パブリック型とプライベート型は非常に対照的で、管理者がいるかいないか、ブロックチェーンネットワークの参加者が多いか少ないか、合意形成のしくみが厳格かそうでないか、などです。
ブロックチェーンを何に使うのか
このような特徴のあるブロックチェーンは、実際にどのように活用されているのでしょうか。
決済・証明・契約で使う
ブロックチェーン技術は、決済・証明・契約などでの活用が模索されています。不正改ざんに強いという特徴から、正確な記録を恒久的に残すためにブロックチェーン技術は有用なのです。
業務の効率化・自動化のために使う
ブロックチェーン上では「スマートコントラクト」という契約の自動化を実現できます。簡単に言えば、契約の取り決め後に条件が整うと、契約の履行や決済が自動で実行されるというもので、導入によって業務の一部を効率化・自動化できます。
例えば、ブロックチェーンと相性が良いと言われている貿易金融においては、契約に携わる関係者が非常に多く、決済完了までのプロセスに時間がかかっていました。しかし、スマートコントラクトを導入することにより、手続き時間の短縮が可能になりました。
実際に、NTTデータは2017年にシンガポールでの実証実験、2018年には日本国内での実証実験を実施し、2019年にはタイJSCCIBとの共同実証実験を実施。2020年中に「TradeWaltz」(トレードワルツ)というブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携プラットフォームのサービス開始を検討しています。そう遠くない将来、スマートコントラクトが身近になるかもしれません。
ブロックチェーンの活用事例3選
企業や金融機関などによるブロックチェーンの活用事例を3つ紹介します。
1.米Facebookが発行を計画している「Libra(リブラ)」
ブロックチェーン技術は「ステーブルコイン」でも活用されています。ステーブルコインとは、円やドルなどの裏付け資産を有するデジタル通貨のことです。法定通貨と連動しているため、ビットコインに代表される仮想通貨などと比較すると価格が極めて安定しており、価格が極端に乱高下することはありません。米Facebookが発行を計画している「Libra(リブラ)」もステーブルコインの1つです。
リブラは、銀行口座を持っていない人々でも金融サービスを利用できるように、ブロックチェーンのしくみを利用し、低コストでスピーディーな金融サービスの展開を目的としたグローバルなデジタル通貨です。しかしグローバル通貨という全く新しい通貨の金融システムに与える影響や、安全性などが問題視されている側面もあり、今後の展開に注目が集まっています。
2.三菱UFJフィナンシャルグループが社会実装に取り組む「coin(コイン)」
三菱UFJフィナンシャルグループが発行する「coin(コイン)」も、ブロックチェーンを利用した仮想通貨です。coin(コイン)は「1コイン=1円」で利用できるようになっており、サービス開始の初期はリクルートの「じゃらん」や「ホットペッパーグルメ」、「ホットペッパービューティー」などのWebサービスやサイトの加盟店などで使用できる見込みです。
今後は換金して銀行口座にお金を戻すことや、個人間の送金にも使えるようになる見通しとなっており、私達の生活に浸透していくのもそう遠くない未来かもしれません。
このように、ブロックチェーンを活用したステーブルコインの普及によって、送金や決済などのお金のやり取りを手軽なコストで、しかも極めて安全性が高い状態で行うことができるようになると言われています。
3. Mastercardの自動決済システム
契約プロセスを自動化し、契約内容の改ざんを防止できるブロックチェーン技術は、大手クレジットカードブランドも導入に動いています。
例えば、Mastercardはすでに2017年の時点で、決済システムにブロックチェーンを導入することを決定しています。ブロックチェーン上で決済処理をすることで仲介者が不要となるため、手数料やコストを削減でき、国際間送金なども迅速に低コストで実現できるとされています。
海外のブロックチェーン動向
国際決済銀行(BIS)のレポートによれば、各国の中央銀行のうち約8割が、中央銀行デジタル通貨の取り組みをしているか、もしくは近く始めると回答しています。
中央銀行デジタル通貨とは
中央銀行デジタル通貨とは、その名のとおり中央銀行が発行する電子上の通貨となります。ビットコインなどの仮想通貨とは違って、「中央銀行が発行している法定通貨」であり、仮想通貨のように価値が急激に変化することがほとんどありません。
中央銀行デジタル通貨に各国が取り組む理由はさまざまですが、国際決済銀行(BIS)の調査によると、「決済効率の向上」「決済の安全性」「安全な金融システムへのアクセス」などが主に挙げられており、先進国が「決済の安全性」を重視する一方で、発展途上国は「決済効率の向上」と「決済の安全性」を念頭に活動に取り組む傾向にあることがわかっています。
先進国ではまだまだ導入に時間がかかりそうですが、もし中央銀行デジタル通貨が新しい通貨の形となった場合、国境を超えた国際決済が高速で安価に行えるようになります。もしかしたら、海外旅行において、外貨両替所に行く必要もなくなるかもしれません。加えて、すべての取引がデータとして履歴に残るため、二重支払いのリスクや不正取引が起きる可能性も軽減されます。
人民元のデジタル化が進む理由
このうち中国人民銀行は、「デジタル人民元」を発行する計画を進めています。「デジタル人民元」は、スマートフォンの電源さえ入っていれば、オフラインでも相手のデジタルのお財布に送金できるようになっており、昨今日本でも流行したQRコード決済のグレードアップ版だと言えます。国家の裏付けがある法定通貨なので、いつでも現金と交換でき、現金の輸送コストも削減できます。加えて、どのような取引を行ったかもすべて追えるようになるため、賄賂や脱税、資金洗浄などへの抑止力となります。
カンボジアも2020年内にデジタル通貨をローンチ予定?
中国だけでなく、カンボジア中央銀行でも2019年から実運用に向けたテストを開始しており、2020年中に独自のデジタル通貨「バコン」をローンチする計画です。
この「バコン」の特徴は、「すべての取引が無料でできるようになる」という点であり、少額の決済から高額な金額のやり取りまで完全に無料でできるようになります。バコンはすべてのシステムをブロックチェーン化しているため、そもそもコストがかからないのです。
世界銀行の2017年の統計データによると、カンボジア国民の15歳以上のうち銀行口座を開設しているのは22%程度となっている一方で、スマートフォンの普及率は150%となっています。こういった背景から、カンボジア政府はバコンの導入を意欲的に行っています。
エストニアが世界で初めて国家としてKSIを導入
デジタル先進国として名高いエストニアは、国家戦略として「e-Governance」を1997年に推進し始め、2012年に世界で初めてKSI(Keyless Signatures Infrastructure)を生産システムに導入しました。
KSI導入の背景は2007年4月に受けた大規模なサイバー攻撃に端を発します。インターネットのインフラが麻痺し、行政の一部が麻痺するなど、大きな被害を受けたため、セキュリティ強化が急務となり、KSIシステムを導入することとなったのです。2020年現在、エストニアでは「結婚」「離婚」「不動産売買」以外の行政サービスはすべてオンラインで行えるようになっています。
エストニアがKSIシステムを導入したとき、まだまだ知名度は低かったのですが、ビットコインなど仮想通貨の影響で徐々に知れ渡るようになったブロックチェーン技術と似ていたこともあり、今ではKSIもブロックチェーン技術の一つだと認識されています。
しかし、エストニア政府が公開している記事や資料にはよく「KSI blockchain ≠ Bitcoin」という風に記載されています。ブロックチェーンとは異なる技術だと認識しているのです。
日本国内のブロックチェーン動向
日本国内においても、三菱UFJフィナンシャルグループのcoin(コイン)のほか、福岡県飯塚市が地域行政システムでブロックチェーン技術を活用するなど、導入が進んでいる印象です。自治体も行政のペーパーレス化を推進したいものの、これまでのオンラインサービスではセキュリティの関係上導入について懸念の声が上がっていました。しかし、ブロックチェーンの特性を活用し、電子データの信頼性を確保することにより行政サービスのデジタル化を進められるものと思われます。
製造業では特に重要なサプライチェーンや権利証明の分野でも導入の実証実験が進み、民間調査会社の矢野経済研究所は、国内におけるブロックチェーン活用サービス市場規模が2018年度(実績)の80億円から2022年度(予測)には1,200億円規模まで膨らむと予想しています。
ブロックチェーンを活用したビジネスの構築を
国が推進するキャッシュレス化において、ブロックチェーン技術は必要不可欠です。行政サービスでの導入も進み、ブロックチェーン技術は私達の身近でも今後一層浸透していくでしょう。
関連サービスの市場規模も拡大が見込まれる中、この波に乗り遅れず、企業はブロックチェーンを活用した新しいビジネスの構築に積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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