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労働基準法とは?知らずに違反しないためのポイントを解説

労働基準法とは?知らずに違反しないためのポイントを解説

健全に会社運営をしていく上では、法令を遵守しなければなりません。また、従業員が安心して働ける環境が整備されていなければ、生産性や帰属意識の低下を招いてしまうでしょう。
そこで大切なのが「労働基準法」です。法令を遵守して従業員の労働環境を守るために、労働基準法について正しい知識を身に付けましょう。

目次
労働基準法とは?
賃金について
割増賃金について
労働時間について
雇用と解雇について
労働基準法以外の労働に関する法律
これって労働基準法違反!?気を付けたい事例
労働基準法に違反したらどうなる?
会社全体で労働基準法を意識しよう
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労働基準法とは?

労働基準法とは、労働者が仕事をする上での最低限の基準となる指針を定めた法律です。そのため、労働者ではなく、「社長」や「個人事業主」といった経営者の立場になると、労働基準法で定める「労働者」にはあてはまりません。
労働基準法の内容は、「賃金」「労働時間」「雇用と解雇」についてなど、多岐にわたります。また、そもそもの前提として「労働者を強制的に働かせてはならない」といったことにもふれられています。例えば、会社で義務教育中の児童を雇用することはできませんが、これは労働基準法第56条に「使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。」と定められているからです。
労働基準法が制定されたのは、1947年のことです。その後、随時改正が重ねられており、時代に応じて内容は変化しています。そのため、10年前は当たり前だったことが、現在では法律違反に該当してしまうこともあります。労働者を管理する立場の方は、常に最新の労働基準法の内容を意識しておく必要があるでしょう。

賃金について

賃金は、労働者にとって生活を支える基盤となるものです。そのため、会社による不当な賃金不払いといった不利益を被ることがないよう、労働基準法で5つの原則が定められています。

・直接払い

賃金は、労働者ご本人に直接払いをしなければいけません。例えば、配偶者の口座に給与を振り込んでほしいという要望があったり、親が代わりに賃金を受け取りに来たりしたときなどについても、認めないようにしましょう。

・通貨払い

労働の対価としての賃金は、通貨払いで対応しなければなりません。すなわち現金で支払われる必要があります。同額相当の自社製品を渡すなどの「現物支給」で、労働の対価を支払うことはできません。
ただし、労使協定を結べば銀行振込での支給もできます。現在では、利便性や経費削減などの観点から、振込みでの給与支給が一般的だといえるでしょう。なお、労働者が振込みでの支給に同意しなかった場合は、たとえ労使協定を結んでいたとしても、個別に現金での支払いに対応する必要があります。

・全額払い

賃金は、労働に応じて全額を支払わなければなりません。勝手に控除したり、一部を差し引いたりして支払うことはできません。例えば、会社の業績が悪かったことを理由にして、給与を一部カットするといったことは認められません。ただし、社会保険料や源泉所得税のように法令で定められた項目や、「社宅代」「社員旅行積立金」など、労働者との合意が取れている(=労使協定が結ばれている)ものは控除ができます。
なお、欠勤や遅刻に関しては、労働をしていないことになりますので、そもそも「労働の対価」になりません。欠勤控除や遅刻控除については、労働基準法の規定にはないため、控除しても控除しなくても会社側の判断となります。

・毎月払い

3ヵ月ごとや半年ごとなど、長期間に1度しか賃金が払われないようですと、労働者の生活が安定しません。そのため、1ヵ月のあいだに必ず1度以上は給与を支払わなければならないと、労働基準法で決められています。

・一定期日払い

給与は、一定期日払いで決められたサイクルに従って支払わなければなりません。「先月は末日」「今月は10日」など、給与の支払い日が一定でないと、労働者は月ごとの金銭計画が立てられません。

割増賃金について

割増賃金についての規定もチェックしておきましょう。2010年に労働基準法が改正され、割増賃金の規定が変更されました。これまでは、時間外労働・深夜労働は25%の割増賃金、休日労働は35%の割増賃金を支払う必要があると定められていました。改正労働法では、このうちの「時間外労働」に対して、「60時間を超えた場合の割増賃金を50%に引き上げる」もしくは「労使協定を結んだ上で引き上げ分についての有給休暇を付与する」こととなっています。
ちなみに、中小企業については法定割増賃金率の引き上げが猶予されていますが、2022年4月1日から割増賃金率の適用猶予が廃止される見込みです。

労働時間について

労働時間や休日について、労働基準法で定められていますので、確認しておきましょう。

労働時間の原則

労働時間の原則として、「1週間に40時間、1日に8時間まで」という規定があります。つまり、この労働時間を超えた場合は、時間外労働になりますので、残業代あるいは割増賃金を支払う義務があります。
ただし、病院や旅館など、定められた一部の業種では、常時雇用する従業員が10名以下の事業所の場合、1週間の所定労働時間が44時間まで認められます。

変則的な労働時間

特定の会社や業種の中には、労働時間を一定にすることが難しいところもあります。そこで、以下のような変則的な労働時間についても認められています。

・変形労働時間制

変形労働時間制とは、月・年単位で労働時間を計算する制度です。平均して1週あたりの労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、自由に労働時間を決められます。例えば、ある時期に1週間50時間働いていても、1ヵ月あるいは1年などの期間を通して、平均して法定労働時間(1週間40時間)を超えていなければ、残業代や割増賃金は支払う義務は生じません。あまり使われませんが、1週間単位の変形労働時間制もあります。

・フレックスタイム制

フレックスタイム制は、労働者が始業時間と就業時間を決めることができる制度です。フレックスタイム制を取り入れるためには、まず、労働者と会社が労働時間における労使協定を結ぶ必要があります。1ヵ月以内の一定期間において、1週あたりの平均労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、所定労働時間を定めます。そのうえで、労働者が始業時間や就業時間を自由に決められるというものです。
また、会社側から、11時から16時までは必ず会社にいるコアタイムを設定することはできます。

・事業場外みなし労働時間制

事業場外みなし労働時間制は、あらかじめ定めた労働時間分を「働いたとみなす」制度です。外勤がほとんどで労働時間の管理ができない場合などに採用されます。

・裁量労働制(専門業務型、企画業務型)

裁量労働制は、会社の指示によって働くのではなく、労働者が自分の裁量で仕事を行う業種などで採用されます。専門業務型は、研究者やデザイナーなどが該当します。企画業務型は、経営状態・経営環境などについて、調査および分析を行い、経営に関する計画を策定する業務を行う者などです。

休日について

休日については、「毎週1日以上」もしくは「4週間で4日以上」と定められています。そのため、週休1日であっても、労働基準法には違反しません。つまり、週6日勤務で1日の所定労働時間が9時から16時30分まで(休憩1時間)だと、6時間30分×6日=39時間となるため、週休1日でも成立するのです。

残業・休日労働について

いくら労働基準法で定められているといっても、1日の業務が必ず8時間で完了するとは限りません。そこで行われるのが、時間外労働や休日労働です。
しかし、会社が労働者に対して無理矢理これらの仕事を強制することはできません。時間外労働や休日労働を行うためには、必ず労使協定を締結する必要があります。この協定は、労働基準法第36条に定められていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。

雇用と解雇について

労働者を解雇するときは、30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金の支払いをしなければいけません。ただし、正当な理由のない解雇については、予告などの手順を踏んだとしても裁判所で認められないケースがあります。ご本人の能力不足などを理由に解雇を検討している場合でも、いきなり解雇を言い渡すようなことがあってはいけません。まずは、配置転換や再教育といった対策をとることが求められます。

一方、有期契約の場合は、やむをえない理由がある場合を除いて、契約期間の途中で労働者を解雇することはできません。契約期間の満了とともに雇用契約が終了することになりますが、契約が3回以上更新されていたり、1年以上勤務していたりするならば、契約更新しないことを30日前までに伝える必要があります。
また、労働者を不当に拘束しないように契約期間の上限が定められており、契約期間の上限は、原則として3年、専門的労働者については5年です。

労働基準法以外の労働に関する法律

労働基準法以外にも、労働に関する法律はいくつか存在しています。これらを合わせて「労働法」と呼ぶことがあります。それぞれ確認しておきましょう。

・最低賃金法

最低賃金法とは、都道府県別に定められた最低賃金に関する法律です。毎月決まって支給される賃金を所定労働時間で割った際に、最低賃金を下回らないようにしましょう。

・労働安全衛生法

労働安全衛生法とは、事業場を安全に管理するための法律です。定期的な健康診断の実施などについても定められています。

・労働者災害補償保険法

労働者災害補償保険法とは、いわゆる「労災保険」について定めた法律です。労働者を1人でも雇用している事業所であれば、労災保険に加入しなければなりません。

・労働契約法

労働契約法は、労働契約の締結や変更、終了などについて定めた法律です。さまざまな労働の形ができていく中で、雇用側と労働側が適切な関係を結べるように制定されました。

これって労働基準法違反!?気を付けたい事例

これまでの会社の慣習や思い込みによっては、労働基準法に違反している事柄が潜んでいるかもしれません。該当しないかチェックしてみましょう。

・昼休みに電話が鳴ったら対応してほしい

昼休みは、「労働時間」ではございません。仕事の電話を取らせることは、労働基準法違反に該当する可能性があります。さらに、「電話が来るかもしれないから待機して」という場合の待機時間は、「手待ち時間」と呼ばれ「労働時間」とみなされるため、休憩時間は別途、設ける必要があります。

・始業前に事務所を掃除してほしい

全員参加の朝礼や使用者が命じて行わせる掃除は、業務の一環とみなされます。始業前に行った場合は、早朝残業の割増賃金が発生する可能性があります。当然、労働者に対して、始業前の掃除を無給で強制することもできません。始業前に業務命令として掃除を指示するのであればその時間分の賃金を支払う必要があります。

・忙しいからランチは30分で済ませてほしい

6時間を超える労働を行う労働者には45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を与えなければいけません。いくら仕事が忙しいからといって、休憩時間を短縮させることは違法です。

・36協定を結んでいるので長時間残業をさせていい

労働者に時間外労働をさせるためには、36協定を締結する必要があります。しかし、いくら協定を結んだからといって、いくらでも残業や休日出勤をさせていいということではございません。一般の労働者の場合、36協定の内容によりますが、1ヵ月45時間、1年360時間などの上限が定められています。
ただし、臨時的な理由がある場合は、年の半分を超えない範囲で上限の超過が認められます。とはいえ、「1年のうち10ヵ月45時間を超える残業をさせる」といったことは認められません。

・みなし残業代を支払っているので残業代は払わなくていい

みなし残業代は、あくまでも「一定時間の残業代をあらかじめ給与に含む」という制度です。そのため、規定の時間を超えた残業分については、残業代を支払う必要があります。なお、残業が少なかった月のみなし残業代は、残業が多かった月に振り替えるといったこともできません。

労働基準法に違反したらどうなる?

労働基準法の違反は、従業員から労働基準監督署への報告があったり、労働基準監督官による事業所への立入検査が行われたりすることから発覚します。このような違反が見つかった場合は、労働基準監督署からの是正勧告が行われます。これに従わない場合は、捜査・送検が行われるケースもあります。
部下に対して不当な長時間労働を強いた上司がいた場合、捜査対象は「上司個人」となります。しかし、そのようなことが会社で、当たり前に行われていたり、会社の指示によって上司が労働を強いていたりする場合は、会社自体に罰則が科せられる可能性もあります。
例えば、労働基準法では、労働者の意思に反して労働を強制させた場合は、「1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金」が科せられます。また、「男女で賃金に格差をつける」「年次有給休暇を取らせない」といった問題については、「6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金」と定められています。

労働基準法に違反することで起こる問題は、懲役や罰金といった刑罰だけではございません。従業員からの信頼を失うことになりますし、取引先や顧客からもきびしい批判を受けることになるでしょう。
厚生労働省では、各都道府県の労働局からの報告をもとに、労働基準法に違反した会社をインターネット上で公開しています。会社名や所在地だけでなく、どのような法令違反を犯したのかも見られるようになっているため、今後の取引や新入社員採用などにおいて大きなデメリットになると考えられます。

会社全体で労働基準法を意識しよう

労働基準法を遵守するためには、経営者が把握することはもちろん、従業員に対しても「何が良くて、何が悪いのか」「残業や賃金、休憩についてどのように考えるべきなのか」を伝えていかなければいけません。
常に最新の法律と現場の状況を照らし合わせて、会社全体の意識を高めていきましょう。

2018年9月時点の情報なので、最新の情報ではない可能性があります。

監修:弁護士 佐藤義幸
監修:弁護士佐藤義幸

山口県出身。京都大学法学部、NYU School of Law(LL.M.)卒。スタートアップ企業の法務・知財戦略支援、ベンチャー投資、IPO・M&AによるExit支援など、多くのベンチャー関連業務に携わる。
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