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LLP(有限責任事業組合)とは?株式会社との違いやメリット・デメリットを解説

LLP(有限責任事業組合)とは?株式会社との違いやメリット・デメリットを解説

2005年から新たに定義された事業体がLLP(有限責任事業組合)です。LLPは法人ではないのですが、株式会社と任意組合の良いところを取り入れた特徴があります。
今回は、「法人格のない組合」という位置付けのLLPについて解説していきます。

目次
会社でも組合でもないLLP(有限責任事業組合)
LLP(有限責任事業組合)のメリット・デメリット
LLP(有限責任事業組合)の設立方法
事業がLLP(有限責任事業組合)に向いていれば設立を検討しよう
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会社でも組合でもないLLP(有限責任事業組合)

LLPとは、経済産業省により定義された「有限責任事業組合」という事業体を指します。「Limited Liability Partnership」を略してLLPと呼んでいます。2005年5月27日に「有限責任事業組合契約に関する法律」(「日本版LLP法」)が成立、同年の8月1日に施行されたことにより、LLPが設立できるようになりました。

LLPという事業体は、元々イギリスで生まれ、その後はアメリカなどにも広がり、2005年から日本でも制度が適用されました。民法上の任意組合と株式会社のそれぞれの良いところを取り入れ、会社でも組合でもない新しい事業体となっています。

LLP(有限責任事業組合)と株式会社の違い

LLPと株式会社には、大きな違いがあります。
株式会社で最も重要なのは「資金」です。資金を使って生産施設を作り、そこで生産された製品やサービスが利益を生んでいくことになります。そのため、「資金を出す人=出資者」の権限が大きくなり、出資者がどれだけお金を払ったかを示す「出資比率」によって、利益配分が変わります。
一方、LLPの場合は、資金ではなく「人」を中心に形づくられた組織です。ほかの人が持っていないアイディアや能力、技術、専門性などに大きな価値を置いています。そのため、設立時にわずかな出資しかしていなくても、出資比率ではなく自由な割合で利益配分をすることができるのです。利益配分や権限、ルールを独自に決定できる、内部自治によって運営するのがLLPなのです。

そのほか、株式会社とLLPとの違いは以下のようになります。

株式会社とLLPとの違い

LLP(有限責任事業組合)のメリット・デメリット

LLPには、ほかの法人と比べてメリットがありますが、デメリットもあります。それぞれ確認しておきましょう。

<LLPのメリット>

・設立時の費用が安い

株式会社を設立するときに必要な費用25万円程度と比べて、LLP設立にかかる費用は6万円となります。会社設立のための費用が安いことは大きなメリットです。

・会社設立までの期間が短い

株式会社を設立するには、およそ通常は数週間から1ヵ月程度が必要となりますが、LLPであれば数日~2週間程度で設立できます。

・決算公告義務がない

LLPでは、決算公告をする義務がございません。株式会社は、資本金を出資しているのは株主であって、経営者とは別です。そのため、決算書などを通じて、株主に会社の状況について知らせる義務があり、決算公告を行う必要があります。

・組合員の任期がない

LLPは組合員で構成され、取締役も存在しないので、任期を設定する必要がございません。株式会社の代表取締役や取締役などの任期は会社法により「原則2年間」と決まっています。

・スムーズな経営が可能

LLPには、株主がいないために株主総会を開く必要がなく、組合員同士で重要な事項を決めることになります。株式会社では、会社にとって重要事項を決めるときには、株主総会を開かなければなりません。

・内部自治を徹底できる

出資者である組合員自身がルールを設定できます。
まずは、柔軟な損益や権限の分配が可能になります。株式会社の場合、原則として出資比率に応じた損益の分配や議決権の分配が強制されますが(株主平等原則)、LLPの場合、出資者の間の損益や権限分配は、組合員同士の合意により、「出資者の能力や知的財産などを加味しながら、出資比率にかかわらず利益や権限を分配する」こともできます。
そして、内部組織に柔軟性があります。株式会社の場合、株主が経営者を監視する取締役や監査役の設置が強制されますが、LLPの場合、ガバナンスは、組合員の間で柔軟に決めることができます。株式会社のように取締役会に影響されず、出資者同士の合意だけで事業方針などを決めることができます。

・損益通算できる

LLPでは、法人税が課税されずに、出資者である組合員に対して所得税として直接課税されます。LLPに直接課税するのではなく、LLPへの出資者の利益配分額に対して、それぞれ課税されるというわけです。
そのため、LLPの事業で損失が出たときは、出資の価格を基礎として定められる一定の範囲内で、組合員が別の事業から生じた所得と通算することができ、全体の課税対象額を圧縮できます。

<LLPのデメリット>

・法人格ではない

LLPには、株式会社のように法人格がございません。それは「法人税がかからない」というメリットにもなりますが、多くの利益が見込める事業であれば、法人化することで節税効果が大きくなる場合があります。
また、法人格がないため、LLPの名前自体では契約できません。

・株式会社に組織変更できない

LLPの場合、株式会社に組織変更することができません。法人格がないために、いったんLLPを解散してから株式会社を設立する必要があります。

LLP(有限責任事業組合)の設立方法

LLPは「会社」でも「法人」でもなく、「組合」となります。そのため法人格はございませんが、設立するには登記手続が必要となります。ただし、株式会社を設立するのに比べて要する期間は短く、かかる費用も少ないことが特徴となります。
登記は、株式会社と同様に管轄の法務局に対して申請を行います。その際、組合員による組合契約書(株式会社における「定款」)を作成しておき、登記時に提出します。なお、同一市町村内で同一の事業を行うLLPと類似名称はつけられませんので、登記申請前に名称調査は行っておきましょう。

同時に、登記申請をする前に出資金を払い込んでおく必要があります。出資金額は2円からとなっており、現金だけでなく、現物資産(動産、不動産、有価証券など)による出資もできます。なお、登記にかかる費用は「登録免許税」の6万円のみ(専門家に設立依頼した場合には別途費用が発生)で済みます。
その後、申請内容に不備がなければ、申請してから約7~10日で登記が完了します。登記が完了した後は、LLPの登記簿謄本や印鑑証明書も取得できます。法人格がないといっても、税務関係や社会保険労務関係の届出は行う必要がありますので注意しましょう。

事業がLLP(有限責任事業組合)に向いていれば設立を検討しよう

LLPには、内部自治が徹底できることをはじめ、多くのメリットがありますが、法人格がないというデメリットも存在します。
事業に向いているかどうかを考えてから、LLPの設立を検討してみてください。

2018年9月時点の情報なので、最新の情報ではない可能性があります。

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監修:弁護士 佐藤大和
監修:弁護士佐藤大和

レイ法律事務所代表弁護士。厚生労働省「労働法教育支援」「過重労働解消」各検討委員。著書『知的財産の新常識』などほか6冊(ナツメ社)。企業や個人の危機管理、メディア・知財戦略を支援している。企業、エンタメ分野が得意。

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