税務
源泉徴収義務者とは?個人事業主が支払うケース・支払わないケース


岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学卒業。税理士としてのキャリアは20年以上。税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、会計・税務を軸に複数の会社取締役・監査役にも従事。
【保有資格】CFP® 、税理士
税理士法人みらいサクセスパートナーズ
源泉徴収とは、個人事業主に対して報酬を支払う際に、あらかじめ所得税などを差し引いて支払い、代わりに納税するしくみのことです。会社勤めの経験がある人は、毎月の給与から税金が天引きされた覚えがあるのではないでしょうか。
このしくみは、会社員に限ったことではありません。個人事業主は、源泉徴収をする側、される側のどちらか、または両方になる場合があります。ここでは、源泉徴収の基礎知識と、個人事業主が源泉徴収義務者になる場合などについて解説します。
- 目次
- 源泉徴収とは
- 源泉徴収の対象となる報酬とは
- 源泉徴収義務者とは
- 個人事業主が源泉徴収義務者になるケース・ならないケース
- 個人事業主の源泉徴収のしくみ
- 源泉徴収される金額の計算方法
- 確定申告で払いすぎた源泉所得税を戻してもらう
- 個人事業主にも法人カードがおすすめ
- 個人事業主におすすめ!三井住友カード ビジネスオーナーズ
- まずは、対象業務かどうかをチェックしよう
- よくある質問
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源泉徴収とは
年間の所得に対してかかる「所得税」は、所得を得た人自身が、年間の所得と税額を計算して申告・納付する「申告納税制度」を原則としています。しかし、特定の所得に関しては、所得を得る側ではなく、給与や報酬などを支払う法人や個人が納税します。所定の方法に基づいて計算した所得税額を支払い金額から差し引き、差し引いた分を代わりに納付するしくみです。これが「源泉徴収制度」です。
なお、2013年1月1日(火)から2037年12月31日(木)までの所得のうち、源泉徴収の対象となる所得については、所得税と合わせて復興特別所得税も納付することになっています。
源泉徴収の流れを図で示すと、以下のようになります。

源泉徴収の対象となる報酬とは
ここでは、個人が受け取る報酬や料金で、源泉徴収対象となる例をご紹介します。
- 原稿料やデザインの報酬など
- 弁護士、税理士、司法書士などの、特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニス選手、モデル、外交員などに支払う報酬または料金
- 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ホテル、旅館などで行われる宴会などにおいて、接客業を行うホステスなどに支払う報酬や料金
- プロスポーツ選手の契約金など
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
上記に加え、場合によっては利子や配当金、公的年金などが源泉徴収の対象となる場合もあります。
源泉徴収義務者とは
「源泉徴収義務者」とは、源泉徴収の対象となる、所得の支払いをする事業主のことです。会社や個人が人を雇用して給与を支払う場合や、デザインの報酬、税理士報酬といった、源泉徴収の対象となる所得については、必ず源泉徴収を行わなくてはなりません。
個人事業主が源泉徴収義務者になるケース・ならないケース
個人事業主は、仕事の契約先に「源泉徴収してもらうもの」と思いがちですが、源泉徴収義務者になるケースがあります。従業員を雇用して給与を支払ったり、源泉徴収対象となる報酬を支払ったりしている個人事業主も、源泉徴収義務者になります。
ただし、雇用しているのが常時2人以下で、お手伝いさんやメイドさんにあたる税法上の「家事使用人」のみの場合は、その限りではありません。

源泉徴収義務者になるケース・ならないケースの具体例は、次のとおりです。下記のうち、どれか1つがあてはまれば対象となります。
源泉徴収義務者になるケース
- 個人経営から法人経営へ移行した(いわゆる法人成り)
- 正社員、アルバイト、パートタイムなど、雇用形態を問わず従業員を雇用して給与を支払っている
- 青色事業専従者に給与を支払っている
源泉徴収義務者にならないケース
- 雇用しているのが常時2人以下の家事使用人のみ
- デザイナーなどに業務を外注しているが、従業員を雇用していない
個人事業主の源泉徴収のしくみ
個人事業主の源泉徴収の流れをまとめると、以下のようになります。

源泉徴収義務者に該当する人は、法人であれ個人であれ、必ず源泉徴収を行って納税しなくてはなりません。
従って、源泉徴収の対象となる仕事を受けている個人事業主が源泉徴収義務者でもある場合、自身の受け取る報酬に関しては取引先が納税を、自身が支払う報酬に関しては自分自身で納税を行うことになります。
源泉徴収される金額の計算方法
ここでは、原稿料やデザイン報酬など、一般的な源泉徴収税額の計算方法を紹介します。
支払う報酬金額が100万円以下の場合
支払う報酬金額が100万円以下の場合、源泉徴収税額の計算方法は以下です。
源泉徴収税額=報酬額×10.21%
例えば個人事業主が原稿料として10万円の報酬を得た場合は、以下のようになります。
- 取引先が納税する源泉徴収税額:10万円×10.21%=1万210円
- 個人事業主の手取り金額:10万円-1万210円=8万9,790円
個人事業主は報酬の手取り金額として8万9,790円を受け取り、報酬を支払った取引先は1万210円を税務署に納めます。
支払う報酬金額が100万円を超える場合
支払う報酬金額が100万円を超える場合の源泉徴収税額の計算方法は、以下のとおりです。
源泉徴収税額=(報酬額-100万円)×20.42%+10万2,100円
税率は、復興特別所得税が加算された2013~2037年までのものです。
例えば個人事業主が120万円の報酬を得た場合は、以下のようになります。
- 取引先が納税する源泉徴収税額:(120万円-100万円)×20.42%+10万2,100円=14万2,940円
- 個人事業主の手取り金額:120万円-14万2,940円=105万7,060円
個人事業主は報酬の手取り金額として105万7,060円を受け取り、報酬を支払った取引先は14万2,940円を税務署に納めます。
ちなみに、源泉徴収の対象となる金額は、原則として、報酬・料金として支払った全額をさし、税込の金額が対象です。請求書などに報酬・料金などの金額、消費税などの額が区分されたケースでは、消費税などの額を除いた報酬・料金などの金額のみを源泉徴収の対象とすることもできます。
また、源泉徴収される金額は条件によって異なり、変更が加えられることもあります。国税庁のサイトの「パンフレット・手引」より、「源泉徴収税額表関係」にある「源泉徴収税額表」を確認しましょう。ホステスなどの源泉徴収税額の計算方式は異なりますので、国税庁ホームページをご参照ください。
パンフレット・手引
No.2807 ホステス等に支払う報酬・料金
別ウィンドウで「国税庁」のウェブサイトへ遷移します。
■こちらも合わせてご覧ください
個人事業主の所得が源泉徴収された場合に役立つ会計処理のポイント
支払調書には源泉徴収税額が記載されている
正しい税額を知るには源泉徴収票の確認が有効ですが、支払いを受けた報酬が給与所得でない場合、源泉徴収票は発行されません。その代わり個人事業主の場合、事業者から送られてくる支払調書に記載されている源泉徴収税額を確認しましょう。
ただし、支払調書の発行は義務ではないので、必ずもらえるとは限りません。支払調書を発行してもらうか、金額を教えてもらうか相談してもよいでしょう。
確定申告で払いすぎた源泉所得税を戻してもらう
源泉徴収は、支払うべき所得税を前もって支払うものです。そのため、徴収された時点では、必要経費や所得控除、税率などは考慮されていません。つまり、源泉徴収されたままでは、納税額が多すぎることもあります。
多く納めすぎた税金は、確定申告によって還付を受けることができます。所得税の確定申告期間は2月16日から3月15日(3月15日が土日の場合は翌月曜日にずれる)までですが、還付申告の場合は、その年の翌年1月1日から5年間にわたって申告することができます。
個人事業主にも法人カードがおすすめ
個人事業主の経費の支払いには、法人カードを利用するのがおすすめです。すべての経費をクレジットカード払いにすれば、経費の管理も簡単になります。さらに、カード払いにすれば、ポイントも貯まってお得です。
クラウド型の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードの設定をすると、自動で履歴を取得して帳簿に反映してくれるものも多いです。会計ソフトと連動すれば、事務処理の手間を大幅に削減できます。
また、カードの支払いは、購入した日から1~2ヵ月先になるので、支払いまで余裕が生まれ、計画的な事業運営に役立ちます。
個人事業主におすすめ!三井住友カード ビジネスオーナーズ
個人事業主の法人カードには、「三井住友カード ビジネスオーナーズ」がおすすめです。

三井住友カード ビジネスオーナーズは、個人口座・屋号付個人口座から自動で引き落しができるため、事務処理を効率化することができます(法人代表者の方であれば、法人口座からの引き落しも可能です)。また、支払いをカードにまとめることで、出張接待費などさまざまな支払いの手数料も削減できます。経費の支払いでVポイントも貯まってお得です。
また、三井住友カード ビジネスオーナーズ ゴールドは、空港のラウンジを無料で利用できるので、出張が多い方にも便利です。
まずは、対象業務かどうかをチェックしよう
個人事業主になりたてのころは、自分が源泉徴収義務者なのか、また、請求書を作成する際に源泉所得税を差し引くべきなのか、分からない人が多いでしょう。まずは、個人事業主として行っている業務に対する報酬、および個人事業主として支払っている報酬が、「源泉徴収の対象になる報酬」か、確認することが大切です。
個人事業主として行っている業務に対する報酬が対象であれば、請求額から源泉徴収税額を差し引いて請求書を作成することもあります。同様に、支払っている報酬が対象であれば、源泉徴収税額を差し引いた額を支払い、取引先の代わりに納税義務を果たしましょう。
また、源泉徴収されたまま確定申告をしないと、税金を支払いすぎたままになってしまうこともあります。きちんと申告し、払いすぎた分は還付を受けるようにしましょう。
よくある質問
Q1.源泉徴収とは?
特定の所得に関しては、所得を得る側ではなく、給与や報酬などを支払う法人や個人が納税します。所定の方法に基づいて計算した所得税額を支払い金額から差し引き、差し引いた分を代わりに納付するしくみです。これが「源泉徴収制度」です。
詳しくは以下をご覧ください。
源泉徴収とは
Q2.源泉徴収義務者とは?
「源泉徴収義務者」とは、源泉徴収の対象となる、所得の支払いをする事業主のことです。デザインの報酬、税理士報酬といった、源泉徴収の対象となる所得については、源泉徴収を行う必要があります。
詳しくは以下をご覧ください。
源泉徴収義務者とは
Q3.個人事業主が源泉徴収義務者になるケース、ならないケースは?
従業員を雇用して給与を支払ったり、源泉徴収対象となる報酬を支払ったりしている個人事業主は、源泉徴収義務者になります。ただし、雇用しているのが常時2人以下で、お手伝いさんやメイドさんにあたる税法上の「家事使用人」のみの場合は、その限りではありません。
詳しくは以下をご覧ください。
個人事業主が源泉徴収義務者になるケース・ならないケース
2022年11月時点の情報なので、最新の情報ではない可能性があります。
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