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2025.02.18
ROA(総資産利益率)とは?計算方法や数値からわかること、高める方法を解説


大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。現在は、個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。
【保有資格】公認会計士、税理士、AFP
内山会計事務所
会社における収益性を測る財務指標の1つに「ROA(総資産利益率)」があります。ROAとは、自己資本と他人資産(借入金や社債など)を含めたすべての資本を、その会社でいかに効率的に運用できているかを表す指標です。
ここでは、ROAが会社にとってどのような意味を持つのかについて解説していきましょう。
ROA(総資産利益率)とは?
ROA(Return On Assets)「総資産利益率」とは、会社の経営効率を測るための重要な財務指標です。貸借対照表に記載されている総資産と、損益計算書の利益によって導き出される指標で、会社が保有する資産をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示します。
ROAが高いほど、少ない資産でより多くの利益を上げられている状態を意味しますが、業種や企業の成長段階によって評価基準は異なります。ROE(株主資本利益率)やROIC(投下資本利益率)など、ほかの収益性指標と併せて活用することで、より正確な経営分析が可能になります。
ROAとROEの違い
ROAとROE(Return On Equity:自己資本利益率)は、会社の収益性を測る重要な指標ですが、その評価基準が異なります。ROEは株主が投下した資本(自己資本)を基準とするのに対し、ROAは借入金なども含めた総資産を基準として利益率を算出します。
例えば、ROEが20%の場合、株主資本に対して20%の利益を生み出したことを意味し、ROAが10%の場合は、総資産に対して10%の利益を創出したことを示します。2つの指標に注目することで、会社の資本効率と財務状況をより正確に把握できます。
ROAとROICの違い
ROIC(Return On Invested Capital)は「投下資本利益率」と呼ばれ、会社が事業のために集めた資金(投下資本)に対する収益性を示す指標です。
ROAが買掛金なども含めた総資産全体の収益性を見るのに対し、ROICは本業の営業利益に焦点を当て、借入金と株主資本のみを基準に計算します。そのため、ROICは事業本来の収益力を評価でき、ROAは会社全体の資産活用の効率性を確認できます。
また、ROICは計算の基準となる投下資本が明確なため、数値の操作がしにくいという特徴もあります。
ROAから見る経営状態のチェックポイント
ROAは会社の経営効率を分析する重要な指標で、主に2つの観点から経営状態を把握できます。1つは資産をどれだけ効率的に活用できているか、もう1つは成長につながる投資が適切に行われているかです。ROAの数値から分かる2つの観点について、詳しく見ていきましょう。
資産の有効活用
ROAは、会社が保有する資産をどれだけ効率的に活用できているかを示します。同業他社と比較してROAが高い会社は、少ない資産で多くの利益を生み出せており、資産の有効活用ができていると評価できます。
例えば、工場の稼働率を上げたり、在庫回転率を改善したりすることで、保有資産に対する利益率を高めることが可能です。ただし、業種によって適正なROAの水準は異なるため、比較する際は注意が必要です。
企業の成長につながる投資の実施
ROAの推移を見ることで、会社の投資判断の効果を評価できます。設備や人材への投資は一時的にROAを低下させますが、その投資が功を奏せば、長期的にROAは改善していきます。反対に、ROAが継続的に高いケースでは、必要な投資が行われていない可能性もあるため、単年のROAだけでなく経年推移からも、会社の成長戦略の方向性を把握することが大切です。
ROAの計算式
ROAの算出には、以下のように2つの計算方法があります。
- 当期純利益と総資産をもとにした計算方法
- 売上高当期純利益率と総資産回転率をもとにした計算方法
どちらの求め方でも同じ結果が得られますが、目的に応じて使い分けることで、より詳細な経営分析が可能になります。
当期純利益と総資産をもとにした計算方法
ROAの基本的な計算式は以下のとおりです。
ROA(%)=当期純利益÷総資産×100
この計算式に賃借対照表と損益計算書をあてはめてみましょう。
総資産とは、自己資本だけでなく他人資本を含めたすべての資産のことを指します。
例えば、当期純利益が100万円、総資産が1,000万円の場合は以下のとおりです。
100万円÷1,000万円×100=10%
この計算方法は決算書から直接数値を取得できるため、簡単に会社の資産効率を把握できます。
売上高当期純利益率と総資産回転率をもとにした計算方法
ROAは以下のように分解して計算することもできます。
ROA=売上高当期純利益率×総資産回転率×100
=(当期純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×100
例えば、当期純利益100万円、売上高2,000万円、総資産1,000万円の場合、以下のようになります。
(100万円÷2,000万円)×(2,000万円÷1,000万円)×100=10%
この計算方法では、収益性(売上高当期純利益率)と効率性(総資産回転率)の両面から分析できます。
ROAの目安はどのくらい?
一般的に、ROAが5%以上であれば優良企業とされています。ただし、この目安は業種の違いや会社を取り巻く環境、総資本の規模などによって異なります。
設備投資や新規事業立ち上げのために借入した場合などでは総資産が大きくなり、ROAは低めになる傾向があります。一方で、総資産が少ない場合はROAが高くなりやすいという特徴があります。そのため、ROAの数値のみで企業を評価することはリスクを伴い、注意が必要です。
ROAを高めるには?
ROAの数値を高めるには、主に3つの方法があります。
- 売上高当期純利益率を上げる
- 総資産を減らし適正化する
- 総資産回転率を上げる
これらの施策を組み合わせることで、より効果的にROAを高めることができます。会社の状況に応じて、最適な改善方法を選択することが重要です。
売上高当期純利益率を上げる
収益性の向上は、ROA改善の基本です。具体的には、取扱商品の見直しや商品の付加価値向上による販売価格の適正化、広告費の効率化、仕入れコストの削減などが有効です。
例えば、売上数の多い商品に注力して品ぞろえを最適化したり、原価管理を徹底して利益率を改善したりすることで、売上高当期純利益率を上げることができます。
総資産を減らし適正化する
総資産の適正化は、ROAを直接的に改善する効果があります。有効な例として、不要な在庫の削減、遊休資産の売却、売掛金の回収促進、投資の見直しなどが挙げられます。ただし、将来の成長に必要な資産まで削減しないよう注意が必要です。例えば、保有する土地や設備を見直し、使用頻度の低い資産を処分することで、効率的な資産運用が可能になります。
総資産回転率を上げる
総資産回転率の向上は、資産の効率的な活用を示します。具体的には、既存資産での売上増加、在庫回転率の改善、債権回収の効率化などが有効です。売上高20万円・総資産5万円の企業の総資産回転率は4回転ですが、同じ総資産でより多くの売上を上げれば、回転率が向上したということになるでしょう。また、設備稼働率の向上なども効果的な施策です。
ROAを見る際の注意点
ROAは会社の収益性を測る重要な指標ですが、その数値を正しく解釈するには注意が必要です。特に業種による違いと財務の安全性の2つの観点が重要で、ROAが高い企業でも、業界の特性や財務状況によっては必ずしも優良企業とは限らないのです。2つの観点について、詳しく見ていきましょう。
ROAは業種によって異なる
ROAの水準は業種ごとに大きく異なります。経済産業省の「企業活動基本調査確報2023年調査(2022年度実績)」によると、情報通信業は5.94%と高めである一方、電気・ガス業は0.54%と低くなっています。これは業種によって必要な資産規模が異なるためです。
例えば、製造業や運送業、飲食サービス業などは車両や工場、店舗といった大規模な設備投資が必要なため相対的にROAが低くなりやすく、一方でIT企業など少ない資産で事業を展開できる業種はROAが高くなる傾向があります。そのため、ROAを評価する際には業界の水準を確認し、同業種間での比較が基本となります。
(出典)政府統計の総合窓口(e-Stat)「2023年企業活動基本調査確報ー2022年度実績ー 」(経済産業省)を参考
- ※別ウィンドウで「政府統計の総合窓口(e-Stat)」のウェブサイトへ遷移します。
安全性も分析する
ROAは収益性を示す重要な指標ですが、これだけでは会社の財務健全性を正確に判断できません。例えば、借入金による設備投資で一時的に利益が増加し、ROAが改善したように見えても、過剰な債務を抱えていては長期的な経営の安定性が損なわれる可能性があります。
そのため、「自己資本に対する借入金の比率」や「流動資産に対する流動負債の比率」など、複数の安全性指標と併せて分析することが重要です。ROAと安全性指標を組み合わせることで、より実態に即した企業評価が可能になります。
会計ソフトの利用でROA算出を正確に!
ROAを正確に算出するためには、貸借対照表と損益計算書を正しく作成する必要があります。これらの決算書類作成を効率的に進めるには、会計ソフトの活用が有効です。経費精算システムを会計ソフトと連携させたり、法人カードの利用データを経費精算システムに取り込んだりすることで、より正確でスムーズな決算書作成が可能になります。これにより、ROAをはじめとする経営指標の信頼性が高まり、的確な経営判断へとつなげられます。
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ROAを把握して経営判断に役立てよう!
ROAは会社の資産効率を測る重要な指標ですが、その数値の高低だけで優劣を判断することはできません。業種による違いを理解し、ROEなどほかの経営指標と組み合わせて総合的に分析することが重要です。また、売上高利益率の向上や総資産の適正化など、ROAを改善するための具体的な施策を実行することで、経営効率を高めることができます。
正確なROA分析を通じて、より効率的な会社運営を目指していきましょう。
よくある質問
Q1.ROAとは何を示すもの?
ROA(総資産利益率)は、会社が保有する総資産(自己資本と他人資本の合計)をどれだけ効率的に活用して利益を生み出しているかを示す指標です。貸借対照表に記載されている総資産と、損益計算書にある利益から算出され、会社の経営効率を評価する重要な指標となっています。
詳しくは以下をご覧ください。
Q2.ROAから経営状態を見るポイントは?
主に2つのポイントがあります。1つは会社が資産を効率的に活用できているかどうか、もう1つは成長につながる投資が適切に行われているかどうかです。ただし、業種によって適正なROAの水準は異なるため、同業他社との比較や経年での推移を見ることが重要です。
詳しくは以下をご覧ください。
Q3.ROAを高めるためには?
ROAを高めるには3つの方法があります。1つ目は売上高当期純利益率を向上させること、2つ目は不要な資産の売却や在庫の適正化で総資産を減らすこと、3つ目は総資産回転率を上げて資産の効率的な活用を図ることです。これらを組み合わせることで、効果的な改善が期待できます。
詳しくは以下をご覧ください。
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