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法人カードの業務活用術
2025.02.18
エクイティファイナンスとは?デットファイナンスとの違いやメリット、有効活用の方法も解説


大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。現在は、個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。
【保有資格】公認会計士、税理士、AFP
内山会計事務所
手持ち資金で起業した会社が大きくなってきたとき、ビジネスをさらに飛躍させるために必要となるのは資金です。その資金の調達のしかたを大きく分けると、主に金融機関から借り入れる方法(デットファイナンス)と、投資家に新規に株式を発行する形で資金調達をする方法(エクイティファイナンス)の2つがあります。
ここでは、エクイティファイナンスにフォーカスして、どのように資金を調達すればいいのかを探っていきましょう。
エクイティファイナンスとは?
エクイティファイナンスとは、企業が新株を発行して、事業のために資金を調達することを意味します。「エクイティ」(株式資本、自己資本)を増加させる資金調達方法のため、このような呼び名になっています。エクイティファイナンスで資金を調達することで、貸借対照表の資本が増加します。
エクイティファイナンスとデットファイナンスとの違い
企業が資金調達する方法には、金融機関などから資金を借り入れるデットファイナンスという方法もあります。
デットファイナンスはエクイティファイナンスとは異なり、いわゆる借金です。そのため、返済義務と返済期限があり、借入金額に応じて利息も必要になります。エクイティファイナンスで資金を調達すると会社の資本が増加するのに対して、デットファイナンスで資金を調達すると会社の負債が増加するといった違いがあります。
エクイティファイナンスの種類
新株を発行して増資をする方法は、大きく分けると下記の4種類があります。
公募(時価発行増資)
時価で新株を発行し、資金調達をする方法を公募と呼びます。そのため、公募は時価発行増資とも呼ばれます。
額面ではなく時価で新株を発行するということは、自社の株価が高ければ高いほど、少ない発行株で多額の資金を調達できますので、大きなメリットとなります。
株主割当増資
株主割当増資は新株を発行する際に、その割り当てを受ける権利を、既存株主に保有株数に応じて与える増資方法です。株主は、割り当てられた新株の申し込みや払込みをする義務は特になく、割り当てられた新株の数すべてを申し込む必要もありません。
既存の株主から申し込みがなければ、その権利は失効するだけです。なお、株主割当による新株は、通常は時価より低い金額で発行されます。
第三者割当増資
第三者割当増資は、株主であるかどうかを問わず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて増資する方法です。この増資方法は、取引先や業務提携先などと関係を安定させたいときや、自社の株価が低くて通常の増資ができないときによく使われます。
転換社債型新株予約権付社債
一定の価格で発行する企業の株式に転換できる権利がついた社債(転換社債)を発行する方法です。英語では「Convertible Bond(CB)」と呼ばれています。転換社債型新株予約権付社債は、株式に転換できるというメリットがありますので、普通社債と比べると利回りは低くなります。
なお、株式への転換は、あらかじめ価格(転換価格)が決められていますので、株価がその価格以上に値上がりしたときには、大きな利益を得られる可能性があります。また、株式に転換しなければ、普通社債と同じように毎年一定の利払いがあり、満期には額面金額が償還されます。
エクイティファイナンスで資金調達するメリット
エクイティファイナンスには、主に以下のメリットがあります。
返済義務がない
資金調達の手段としてエクイティファイナンスを選ぶ最大の利点は、返済義務がないことです。株式発行による資金調達では、調達した資金を返済する必要がありません。そのため、企業はキャッシュフローに余裕を持てるだけでなく、事業拡大や研究開発などの長期的な投資に資金を充てることができるでしょう。
また、返済のための資金を確保する必要がないことで、財務的なストレスが軽減され、経営の自由度が高まります。特に、成長段階にある企業や収益が不安定な企業にとって、この特徴は非常に魅力的でしょう。
財務体質の強化につながる
企業にとって、財務体質の強化は重要な経営課題の一つです。株式による資金調達を行うと、自己資本が増加し、財務体質が強化されます。負債が増えることなく資金を調達できるため、自己資本比率が向上し、財務の安定性が高まります。このことは、金融機関からの信用力獲得につながるほか、将来の資金調達の選択肢の拡大にも役立つでしょう。また、自己資本比率の向上は企業の将来性を示す指標にもなることから、新たなビジネスチャンスの獲得にも役立ちます。
信用力の向上
企業の持続的な成長には、社会からの信用が欠かせません。株式市場を通じた資金調達は、企業の事業計画や成長戦略に対する市場の評価を反映します。資金調達を成功裏に完了させることで、取引先や金融機関からの信用力が高まるだけでなく、事業展開もスムーズになるでしょう。また、上場企業の場合、株式の流動性が向上し、企業の認知度が上がることで、ビジネスチャンスの拡大にもつながります。
株主からのサポートが期待できる
資金調達を通じて新たな株主を迎えることで、事業展開におけるさまざまなサポートが期待できます。
特に、事業会社や機関投資家が株主となった場合、その経営ノウハウや業界ネットワークを活用できる可能性があるでしょう。また、株主との関係強化によって長期的な視点での経営が可能となるほか、安定した事業運営につながります。さらに、株主が増えることで企業のPR効果が得られ、ブランド価値の向上も期待できるでしょう。
エクイティファイナンスで資金調達するデメリット
資金調達において多くのメリットを持つエクイティファイナンスですが、次のようなデメリットも存在します。
経営の自由度が下がるリスクがある
エクイティファイナンスを通じて新たな株主を迎えた際に、経営の自由度が制限されてしまう点に気をつけなくてはなりません。特に、大口株主が加わった場合、経営方針や重要な意思決定に対して、従来よりも多くの調整や合意形成が必要になります。また、株主総会での承認事項が増えることで、機動的な経営判断が難しくなることもあるでしょう。
コストがかかる
エクイティファイナンスによる資金調達は、コストが高いことも難点です。株式発行の対価として投資家に配当金を支払う必要があり、これは借入金の利息よりも一般的に高額になります。配当金は税引き後の利益から支払われるため、借入金利子のような節税効果も得られません。また、資本金の増加により、中小企業向けの税制優遇措置の対象外となる場合には、法人税率の軽減や赤字の際に利用できる繰越控除などの恩恵を受けられなくなる可能性があります。
株主の信頼を失うリスクがある
調達した資金の使途や事業計画の進捗状況について、株主からの厳しい監視の目にさらされます。計画どおりの成果を上げられない場合や、資金使途に疑問を持たれた場合、株主の信頼を大きく損なう恐れがあるでしょう。
信頼を失うと、株価の下落や株主総会での議案否決リスクの増加、投資家からの評判低下、将来の資金調達の困難化などの問題が生じかねません。特に、業績予想の下方修正や配当政策の変更などが発生した際には、株主から厳しい批判を受ける可能性が高く、最悪の場合、株主代表訴訟などの法的リスクにも発展する恐れがある点に注意が必要です。
資金調達まで期間がかかる
エクイティファイナンスのデメリットの1つに、資金調達までに長い期間を要する点が挙げられます。一般的にエクイティファイナンスは手続きが複雑であるほか、株式発行には株式総会の決議や法的手続きなど多くのステップが必要です。特に、第三者割当増資の場合は、割当先との交渉や適切性の確認に時間を要するでしょう。また、市場環境や経済情勢の影響を受けやすく、予定どおりのタイミングで調達できない可能性もあり、機動的な資金調達という観点では課題となることがあります。
エクイティファイナンスによる資金調達を有効活用するには?
エクイティファイナンスは、株式発行する会社側にとってはメリットが多くても、既存株主には株式価値希薄という負担がかかる資金調達法となります。そのため、エクイティファイナンスを乱発することなく、会社の成長や収益の改善につながるときにだけ実行するようにしましょう。
エクイティファイナンスで資金調達する手順
エクイティファイナンスによる資金調達の主な手順は以下のとおりです。
- 新株発行に関する決議を行う
- 株主総会を開催する
- 出資者を募る
- 出資金の払込を受ける
- 登記申請など各種届出を行う
ただし、企業の状況や発行方法によって手順や必要な手続きが異なるほか、法律や規制の遵守、既存株主への配慮、市場動向の分析など、多くの要素を考慮しなくてはなりません。エクイティファイナンスでの資金調達にあたっては、十分な準備期間を設けた上で、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めるようにしましょう。
資金の管理には法人カードがおすすめ
エクイティファイナンスで資金調達ができれば、資金の管理は効率的に行いたいものです。資金の動きが素早く可視化され、管理がしやすくなり、また、経理関連業務の効率化にも効果がある法人カードの導入をおすすめします。
資金管理におすすめの三井住友カードの法人カード
三井住友カードの法人カードは、資金管理に役立つツールです。法人カードを導入することで、会社の支出を一元管理できます。カード明細には取引先名や金額が記録されるため、経費の追跡が簡単になります。
また、経費精算システムとの連携で法人カードの利用明細を自動で取込むことが可能です。自動取込みのため経費精算申請時の『利用日相違』『金額相違』『支払先相違』を防止できます。
さらに、三井住友カードの法人カードは「マンスリークリア方式」を採用しています。マンスリークリア方式とは、引き落とし日を迎えていなくても、締日の翌日に利用限度枠がクリアされる方式です。
引き落とし日までの利用限度枠不足を気にする必要がないというメリットがあります。
そのほかにもビジネスに役立つサポートが充実している三井住友コーポレートカード、三井住友パーチェシングカードをご紹介しましょう。
大企業におすすめ!三井住友コーポレートカード
カード使用者が多い大企業向けの法人カードです。出張費や交際費などを「会社全体」「部事業所別」「個人別」の3段階に分類し、経費予算管理を簡素化できます。また、旅行傷害保険が付帯されており、ゴールドカードでは全国の主要空港ラウンジをご利用いただけます。
ガバナンス強化で管理業務の効率化と経費削減が実現!

三井住友コーポレートカード
(一般)
年会費:1会員目 1,375円(税込)
以降1会員につき440円(税込)
【上限】 33,000円(税込)
限度額:ご入会時にご相談
国際ブランド:
お申し込み対象:法人専用
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三井住友コーポレートカード
(一般)

- 年会費
- 国際ブランド
- 限度額
お申し込み対象
- 1会員目1,375円(税込)
以降1会員につき440円(税込)
【上限】 33,000円(税込) - ご入会時にご相談
- 法人専用
おすすめポイント
利用額限度額を適切に
管理・設定が可能な
マンスリークリア方式
経費精算システムへの
利用明細データ
連携が可能!
各種手続きが
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三井住友コーポレートカード
(ゴールド)
年会費:1会員目 11,000円(税込)※
以降1会員につき2,200円(税込)
【上限】 33,000円(税込)
限度額:ご入会時にご相談
国際ブランド:
お申し込み対象:法人専用
※
個別決済方式の場合、1社あたり33,000円(税込)、61名以上追加会員ごとに550円(税込)がかかります。
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三井住友コーポレートカード
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オンライン決済におすすめ!三井住友パーチェシングカード
企業における仕入れやシステム利用料の支払いなど、企業の購買活動専用の法人カードで、特定の加盟店での決済に限定した利用ができます。
なお、三井住友パーチェシングカードは、プラスチックカードが発行されないため、紛失・盗難のリスクもありません。
広告費やクラウド利用料など購買専用の不発行型カード!

三井住友パーチェシング
カード
年会費:1会員目 1,375円(税込)
以降1会員につき440円(税込)
【上限】 33,000円(税込)
限度額:カードごとに設定
国際ブランド:
お申し込み対象:法人専用
広告費やクラウド利用料など
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三井住友
パーチェシングカード

- 年会費
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- 限度額
お申し込み対象
- 1会員目1,375円(税込)
以降1会員につき440円(税込)
【上限】 33,000円(税込) - カードごとに設定
- 法人専用
おすすめポイント
利用額限度額を適切に
管理・設定が可能な
マンスリークリア方式
カード単位や
契約単位で
利用先を限定可能
部署名義や
支払い科費目名義など
任意の名義で発行可能
エクイティファイナンスで事業を拡大しよう
エクイティファイナンスは、返済義務がなく、財務体質の強化や信用力の向上につながる有効な資金調達手段です。一方で、株主への配当負担や経営の自由度の制限、資金調達までの期間など、考慮すべき課題もあります。そのため、活用にあたっては事業計画を綿密に立てて資金使途を明確にし、既存株主への十分な説明を行うことが欠かせません。
特に、成長フェーズにある企業にとって、エクイティファイナンスは中長期的な投資や事業拡大を実現する重要な手段といえます。専門家のアドバイスを得ながら慎重に進めることはもちろん、市場環境や企業の状況を見極めながら最適な調達方法を選択し、企業価値の向上につなげていきましょう。
よくある質問
Q1.エクイティファイナンスとデットファイナンスの主な違いは?
エクイティファイナンスは株式発行による資金調達で返済義務がなく、自己資本が増加します。一方、デットファイナンスは借入金による調達で、返済義務と期限があり利息の支払いが必要です。また、負債として計上される点も大きな違いです。
詳しくは以下をご覧ください。
Q2.エクイティファイナンスの種類にはどのようなものがありますか?
主な種類として、時価で新株を発行する公募(時価発行増資)、既存株主に割当権を与える株主割当増資、特定の第三者に新株を引き受けてもらう第三者割当増資、そして株式に転換できる権利付きの転換社債型新株予約権付社債があります。
詳しくは以下をご覧ください。
Q3.エクイティファイナンスのメリットとデメリットは?
メリットは返済義務がなく、財務体質が強化され、信用力が向上する点です。また、株主からのサポートが期待できることもメリットでしょう。一方、デメリットとしては株主への配当負担、経営の自由度の制限、資金調達までに時間がかかることなどが挙げられます。株主の信頼を失うリスクもあるため、導入の際は、両面を慎重に検討する必要があります。
詳しくは以下をご覧ください。
- ※2025年2月時点の情報のため、最新の情報ではない可能性があります。
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