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顧問弁護士とは?顧問弁護士と契約するメリットについて

顧問弁護士とは?顧問弁護士と契約するメリットについて

社長や役員として会社を経営する立場になると、「顧問弁護士」を雇うという選択肢が出てきます。
今回は、顧問弁護士の業務内容と、顧問弁護士と契約を結ぶことのメリットについてご紹介します。

目次
顧問弁護士とはかかりつけの法律専門家
顧問弁護士の業務について
顧問弁護士のメリットとは?
顧問弁護士のデメリットは少ない
顧問弁護士はどうやって見つけるのか
顧問弁護士の導入を検討しよう
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顧問弁護士とはかかりつけの法律専門家

顧問弁護士とは、かかりつけの法律専門家といえます。体調が優れないときに診察してもらう、かかりつけの医者を決めている人はいるでしょう。同様に、法律的な問題について相談できる弁護士がいたらいかがでしょうか。会社を経営する立場にあれば、経営判断をする中で法律的な裏付けを必要とする場面は多くなります。そのようなときに、いつでも相談できる顧問弁護士がいれば、心強いものです。

一方で、「弁護士なら必要なときに探して相談すればいい」と考える人がいるかもしれません。しかし、初めて弁護士に依頼する場合は、適した弁護士を探して費用を交渉するなど、時間がかかります。その点、顧問弁護士であれば、常日頃からコミュニケーションを図ることができ、スピーディーに適切な対処法を提示してくれるでしょう。顧問弁護士は、法律上の問題を未然に防いだり、解決したりしてくれるたいへん心強い存在なのです。

また、顧問弁護士と契約するのは、規模の大きな企業という印象があるかもしれませんが、法律的な問題は企業の規模に関わらず発生します。中小企業や個人事業主であっても、顧問弁護士と契約を結ぶ方は多くいます。

顧問弁護士の業務について

顧問弁護士と契約する場合は、顧問料を月額または年額、タイムチャージなどで支払うことになります。原則としては、この顧問料に相当する範囲で法律相談や法的なトラブルへの対応を行ってくれることになります。また、法的トラブルの内容によっては、別途費用がかかることもあります。次に、顧問弁護士の業務について具体的に確認していきましょう。

契約書のチェックや作成

企業を経営する上では、契約を締結する場面が多くあります。そのときに顧問弁護士がいれば、自社のリスクヘッジを踏まえた契約書となるよう相談することができますし、場合によっては、電話やメールで相談することもできます。

新規事業をチェック

顧問弁護士がいると、新規事業の立ち上げ時にも、違法性などについて事前に相談することができます。法律的な問題点があれば、事前にその問題点を改善した上で新規事業を立ち上げることができます。また、改善できないということであれば、その事業自体をあきらめることで問題の発生を防ぐことができます。

内容証明郵便の手続き

意外と知られていない顧問弁護士の業務に、債権回収のサポートがあります。取引先の支払いが滞った場合に、顧問弁護士が取引先に対して内容証明郵便の手続きを行うというものです。内容証明郵便とは、「誰が、誰に、いつ、どのような内容」の郵便を送付したのかということを、郵便局が証明する特別な郵便です。この郵便を受け取った側は、「受け取った覚えはない」といった言い逃れができませんし、後日訴訟になった際には受け取ったことを示す証拠となります。
内容証明郵便自体には支払いを強制するような法的効力はございません。ただ、その内容証明郵便自体の特殊性と、弁護士の名義で郵便が送付されてくることで、受け取り側に対し「訴訟も辞さない」といった覚悟を感じさせることができるため、支払いに応じなければならないというプレッシャーを与える効果があります。

仮に内容証明郵便を送っても支払いがなかった場合には、顧問弁護士が債務者に対し、訴訟を提起することもできます。訴訟については、多くの場合顧問弁護士の顧問料とは別途、会社側が費用を支払うことになります。

従業員との労働トラブル対応

従業員との労働トラブルが発生した場合にも、顧問弁護士が対応してくれることがあります。例えば、従業員が職務中にケガをした場合や長時間労働が慢性化している場合など、労使間のトラブルについて調査や交渉を行ってくれます。労働トラブルの場合には、社会保険労務士などの顧問弁護士とは別の専門家にも相談するべきケースもあります。

顧問弁護士のメリットとは?

顧問弁護士ならではのメリットについてご紹介します。このメリットを把握することで、なぜ多くの経営者が、顧問弁護士と契約するのかが理解できるでしょう。

面倒な手続きなしで相談できる

顧問弁護士は、面倒な手続きなしで、すぐに相談することができます。経費を抑えるために、法律的な問題が発生したら弁護士に相談すればいいと思われる経営者の方も多いですが、そもそも法律的な問題であるかが不明確な場合も多いですし、法律的な問題であるとしても、弁護士に相談する度に手続きが必要になります。具体的には、以下の手続きが必要になります。

  1. 発生した法律的な問題に詳しい法律事務所を探す
  2. 見つけた法律事務所に相談概要を伝える
  3. 相談を受けてくれるかどうか確認する
  4. 相談費用を確認する
  5. 相談できる日程を調整する
  6. 具体的な相談をする

以上のように、実際の相談を行い、依頼をするまでに相当の時間がかかるため、早急に対処すれば悪化を防げたはずの問題が、すべてが後手に回り、解決困難な状況になってしまうことがあります。また、解決困難な状況になることで弁護士費用が高額になる場合もあります。
一方、顧問弁護士の場合は、契約時の手続きさえ済ましておけば、その後は面倒な手続きは発生しません。その結果、初期の段階で早急に対処することができ、弁護士費用も高額になることを防ぐことができます。

些細なことから相談できる

顧問弁護士に相談する場合は、相談事項ごとに費用が発生するわけではないので、些細なことでも気軽に相談することができます。
顧問弁護士がいない場合は、法律的な問題が生じたときに、経営者が些細な問題だと決めつけてしまうこともあるでしょう。このとき、法律に対して知識がない経営者が、問題の重要性を見誤ったがために、問題が深刻化してしまうリスクがあります。しかし、些細なことでも気軽に相談できる顧問弁護士がいれば、そのようなリスクを回避することができます。

自社の状況を理解してくれる

顧問弁護士は、自社のことを理解してくれる存在になります。問題が発生してから初めて依頼する弁護士ですと、自社の状況や相談者の立場を説明するために、手間と時間がかかります。また、弁護士側も、相談者の説明が十分でなければ、問題の背景を把握できません。これまでに起きている諸問題の経緯などを把握できていないため、適切な判断に至るまでに時間を要することがあります。また、相談した弁護士が自社の問題に対応していなかったり、その業界に詳しくなかったり、相性が合わない弁護士だったりした場合には、もう一度弁護士を探さないといけません。

しかし、顧問弁護士の場合は、日頃のコミュニケーションにより、すでに自社や業界の状況や相談者の立場をよく知っているため、最小限の説明でも問題発生の背景を理解しやすい状況にあります。また、過去の相談の経緯も知っているため、初めて相談される弁護士では思いつかない問題の原因や波及範囲にまで気付く可能性が高くなります。

優先的に対応してくれる

顧問弁護士は、顧問契約を締結している企業のために、優先的に素早く対応してくれます。これが、初めて相談する弁護士の場合は、ほかの案件を抱えているために、すぐに相談できないということもありえます。
顧問弁護士であれば、自社のことを優先的に考えてくれることになりますので、その点は大きなメリットでしょう。

経営に専念できる環境を作れる

経営者や役員の本来の仕事は、事業を発展させることにあります。しかし、専門外の法律的な問題にも対応していると、経営に向けるべき労力を割かれてしまうことになります。
そこで、法務部門を設立して法務担当者を採用するという選択肢もありますが、中小企業にとっては、大きな負担となってしまう可能性があります。なぜならば、中小企業においては、法務需要が常時発生しているわけではないからです。しかしながら、顧問弁護士と契約することで、新たな法務部門の設立などよりも、費用を抑えることができます。その結果、経営者は、より経営に専念できる環境を作ることができます。しかも、法律顧問料は経費として処理できるために節税にもなります。
顧問弁護士と契約する費用まで惜しんでしまうと、些細な法的問題の解決に時間や労力を割かなくてはならなくなるケースもあります。また、問題が大きくなってしまってから、その収拾のために多大なコストを負担することにもなりかねません。

トラブルの発生を未然に防げる

トラブルの発生を未然に防げることも顧問弁護士のメリットです。顧問弁護士との契約をしていない場合は、トラブルが発生してしまってから慌てて、法律的な問題に詳しい弁護士を探して相談することになりますが、顧問弁護士は日頃からさまざまな相談をできますので、トラブルが発生しないようにアドバイスや対応をしてくれます。
例えば、契約内容や交渉内容を事前にチェックしてもらうことで、トラブルになりそうな点をケアしながら、契約書を交わしたり交渉に臨んだりすることができます。また、トラブルが発生してしまった場合にも、当事者は冷静な判断ができなくなる場合がありますが、第三者であり専門家でもある顧問弁護士は、状況を分析して合理的な解決方法をアドバイスすることができるでしょう。

会社の信頼度が高まる

顧問弁護士がいるということで、法律的なチェックが行き届いている会社だと信頼されやすくなります。また、その企業が法律の遵守にしっかりとコストを掛けていることが明確になります。
自社のホームページなどに顧問弁護士(法律事務所)名を掲載することで、顧問弁護士の存在を対外的に示し、トラブルを事前に抑止することもできます。

顧問弁護士のデメリットは少ない

ここまで顧問弁護士のメリットを多く挙げてきましたが、デメリットはあるのでしょうか。デメリットのひとつとしては、何も相談事がなかった月も含めて、顧問料を支払う必要があるということです。顧問弁護士の相場は、月額3万円から10万円程度と幅があります。
ただし、具体的な相談や問題が発生しなかったとしても、日頃から気軽にコミュニケーションをとることができ、自社のことや経営者のことをよく知っている法律の専門家が存在していることを考えれば、必ずしも顧問料がデメリットであるとはいえないでしょう。また、顧問料は経費に計上をすることができます。そのため、顧問料の会社に対する負担もそれほど大きくありません。

顧問弁護士はどうやって見つけるのか

それでは、顧問弁護士はどのように探せばいいのでしょうか。顧問弁護士には、自社の業務に詳しいことはもちろん、自社の社風や経営者との相性も重要になってきますので、じっくりと選ぶ必要があります。

できれば紹介が好ましい

顧問弁護士は、できれば信頼できる人に紹介してもらうことが安心です。例えば同業者であれば、すでにその業界に詳しい弁護士を紹介してくれる可能性が高くなります。あるいは、信頼できる顧問税理士や社労士に紹介してもらってもいいでしょう。

インターネットで調べる

弁護士をインターネットで調べる方法もあります。その際は、法律事務所のウェブサイトをチェックしていくことになります。注意点としては、地域でしぼっておくこと、得意分野や過去の実績を確認すること、そして費用を確認することがあります。また、その法律事務所の取扱分野の幅も確認することが大事になります。できるだけ、自社にとって必要な分野を取り扱っている法律事務所がいいでしょう。必ず実際に面談をして、信頼できそうかどうか、相性は良さそうかなど、弁護士の人となりまで確認しておきましょう。なお、たとえ弁護士歴が長くても、自社が求めている分野について取り扱ったことがなければ、新人弁護士と知識面が変わらないということもあります。弁護士歴や年齢だけではなく、過去の実績も大事にしましょう。

依頼した弁護士の中から決める

法的な問題が発生して、依頼したことのある弁護士の中から、顧問弁護士をお願いする方法があります。弁護士の仕事ぶりや人柄を見て、安心して任せられると思えたら、顧問弁護士としての契約を提案します。実際に、法的な問題に対応してもらうことで、お互いを知ることができますので、顧問契約をした後もお互いに齟齬が生まれにくい方法といえます。

複数の顧問弁護士と契約する

顧問契約するのは、1人の弁護士である必要はございません。弁護士はそれぞれ得意領域が違いますので、複数の弁護士あるいは法律事務所と契約することを検討してもいいでしょう。
例えば、A弁護士は労働分野が得意であるため、労働分野はA弁護士だけど、M&AなどについてはB弁護士とすることができます。実際に複数の弁護士あるいは法律事務所と顧問契約をしている会社は少なくありません。また、同じ内容をセカンドオピニオンのように確認することもできます。複数の弁護士あるいは法律事務所と契約をする場合、相談する頻度によって顧問料を変えることもできます。

顧問弁護士の導入を検討しよう

法律的な問題が大きくなってから対応していては、解決するために多大な時間と労力、そしてコストがかかります。場合によっては、会社の信頼を失うという大きなダメージを負う可能性が高くなります。
そのような事態を防ぐためにも、顧問弁護士を導入することを検討してみてください。

2018年9月時点の情報なので、最新の情報ではない可能性があります。

監修:弁護士 佐藤大和
監修:弁護士佐藤大和

レイ法律事務所代表弁護士。厚生労働省「労働法教育支援」「過重労働解消」各検討委員。著書『知的財産の新常識』などほか6冊(ナツメ社)。企業や個人の危機管理、メディア・知財戦略を支援している。企業、エンタメ分野が得意。

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