岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学卒業。税理士としてのキャリアは20年以上。税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、会計・税務を軸に複数の会社取締役・監査役にも従事。
【保有資格】CFP® 、税理士
税理士法人みらいサクセスパートナーズ
収入印紙とは、税金や手数料、収納金を徴収するために国が発行する証票です。領収書や契約書、手形などの「課税文書」とよばれる文書には、収入印紙を貼付する必要があります。
貼付する収入印紙の金額は、その文書に記載されている金額によって異なるため、収入印紙の取り決めについてはよく理解しておかなければなりません。ここでは、領収書に収入印紙が必要・不要となるケースや購入方法、注意点について解説し、併せて経理業務の効率化につながる三井住友カードの法人カードをご紹介します。
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収入印紙とは?
収入印紙とは、税金や手数料、収納金を徴収するために国が発行する証票です。
領収書や契約書など印紙税法に定められた課税文書を作成する際は、印紙税を納める必要があります。収入印紙はその印紙税を納めるためのもので、身近な例として金融機関が発行する通帳や証書、不動産の売買契約書などが挙げられます。
なお、収入印紙を貼付する義務があるのは、課税文書を作成する側です。領収書の例でいうと、領収書を発行する売り手側が印紙税を納めることとなります。
切手や収入証紙との違い
収入印紙は切手や収入証紙と似ていますが、その用途はまったく異なるものです。
切手は郵便サービスを利用する際に料金を前払いするためのもので、支払い先は郵便局です。また、収入証紙は「税金や手数料を納めるためのもの」という点では収入印紙と一緒ですが、納付先は地方自治体となります。
印紙税の対象となる文書
領収書のように印紙税の対象となる文書を課税文書とよび、印紙税法により20種類の文書が定められています。その一例を下記で確認しておきましょう。
課税文書の例
- 不動産売買契約書
- 金銭借用証書
- 土地賃貸借契約書
- 工事請負契約書
- 約束手形、為替手形
- 広告契約書
- 会社設立時の定款
- 業務委託契約書
- 保険証券
- 配当金領収証
ただし、上記に当てはまる文書でも、すべてが課税文書となるわけではありません。収入印紙が必要・不要となるケースについて、以下で詳しく解説します。
領収書に収入印紙が必要・不要なケースは?
領収書は課税文書の一種ですが、収入印紙の貼付が必要となるのは基本的に受取り金額が5万円以上のものです。受取り金額が5万円未満の領収書は課税文書に該当しないため、収入印紙を貼付する必要はありません。
また、受取り金額が5万円以上であっても「電子データで発行した領収書」や、「クレジットカード・デビットカードでの決済に対する領収書」、「営利目的ではない領収書」などは課税文書に該当しません。
このとおり、領収書に貼付する収入印紙の取り扱いは、金額や支払い方法によって異なります。物品の仕入れや備品の購入などの支払いで取引先に手間をかけないためには、法人カードによる支払いがおすすめです。
法人カードによる支払いは決済がスムーズになるだけでなく、先方にとっては収入印紙を貼付する手間が省けるメリットがあります。
領収書に貼付する収入印紙の金額
受取り金額が5万円以上の領収書は基本的に課税文書となりますが、貼付する収入印紙の金額は領収書に記載された金額によって異なります。
領収書に記載された受取り金額 | 印紙税額 |
---|---|
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 600円 |
300万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1千万円以下 | 2,000円 |
1千万円超2千万円以下 | 4,000円 |
2千万円超3千万円以下 | 6,000円 |
3千万円超5千万円以下 | 1万円 |
5千万円超1億円以下 | 2万円 |
1億円超2億円以下 | 4万円 |
2億円超3億円以下 | 6万円 |
3億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 15万円 |
10億円超 | 20万円 |
受取り金額の記載のないもの | 200円 |
出典:国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで 」を加工して作成
- ※別ウィンドウで「国税庁」のウェブサイトへ遷移します。
- ※上記ウェブサイトは予告なく変更、または削除される可能性があります。その場合は国税庁ホームページからご確認ください。
- ※別ウィンドウで「国税庁」のウェブサイトへ遷移します。
なお、領収書に「税込金額」など消費税の金額が分かるように記載されている場合、印紙税の対象となるのは売上の税抜金額です。従って、貼付する収入印紙の金額を確認するときは、消費税を差し引いた税抜金額で判断しましょう。
収入印紙の購入方法
契約書や領収書を取り扱う事業者に欠かせない収入印紙は、どこで購入できるのでしょうか。ここからは、収入印紙を購入できる場所や収入印紙の種類について確認していきましょう。
収入印紙を購入できる場所
収入印紙は主に次の場所で購入できます。
収入印紙を取り扱っている場所は「印紙」と記載された看板が掲げられていますので、目印にするとよいでしょう。
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収入印紙の種類
収入印紙の券種は31種類あり、詳細は以下のとおりです。
- 1円、2円、5円
- 10円、20円、30円、40円、50円、60円、80円
- 100円、120円、200円、300円、400円、500円、600円
- 1,000円、2,000円、3,000円、4,000円、5,000円、6,000円、8,000円
- 1万円、2万円、3万円、4万円、5万円、6万円
- 10万円
一般的に郵便局や法務局では全種類の収入印紙を取り扱っていることが多いものの、コンビニエンスストアや個人商店などでは一部の券種のみしか取り扱っていないことがあります。収入印紙を購入する際は、事前に取り扱い券種を確認しておくとよいでしょう。
収入印紙は交換できる?
収入印紙を使わなくなった場合、郵便局でほかの券種の収入印紙に交換してもらうことができます。
例えば、「契約書に貼付する予定で5万円の収入印紙を用意していたけど、契約が白紙になり使わなくなった」という場合は、「200円の収入印紙×250枚」など希望する券種と交換が可能です。ただし、交換する収入印紙1枚につき5円の交換手数料がかかります。
また、交換できる収入印紙は未使用のものに限り、消印をしている収入印紙や、一度文書に貼付してから切り離したものなどは交換の対象となりません。
なお、未使用のものを郵便局や税務署に持参しても、現金へ交換することは不可です。
収入印紙の領収書への貼り方
収入印紙は切手と同様に裏面に糊付けされているため、水で濡らして貼付します。貼付する場所に決まりはありませんが、領収書に貼付欄が設けられている場合はその枠内に貼付しましょう。
また、貼付した収入印紙には消印が必要です。消印とは、収入印紙の再利用を防止するためのもので、領収書と印紙にまたがるように押印します。消印は、会社名を表示した日付印や役職名などのゴム印、従業員の印章・署名などが認められています。
ただし、「印」と書いただけのものや、斜線を引いただけのものは印章・署名と認められませんので注意しましょう。
なお、収入印紙を複数枚貼付する場合は、貼付した収入印紙すべてに消印がかかるように押印または署名する必要があります。
収入印紙に関する注意点
収入印紙は印紙税を納めるために貼付するものですが、もし貼り忘れてしまった場合や消印を忘れてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。あらかじめ対処法を確認しておきましょう。
貼り忘れてしまった場合
課税文書に収入印紙を貼付し忘れてしまった場合、本来納めるべき印紙税額の3倍に相当する過怠税が課されます。仮に6万円の領収書に収入印紙を貼り忘れたとすると、本来の印紙税額は200円ですので600円の過怠税を納めなければなりません。
ただし、収入印紙を貼付しなかったことを自ら所轄の税務署へ申し出た場合は、過怠税が印紙税額の1.1倍となります。先ほど6万円の領収書のケースでいうと、200円×1.1倍で220円の過怠税となる計算です。
もし、領収書に収入印紙を貼り忘れたことに気が付いた場合は、きちんと税務署へ申告しましょう。
消印を忘れてしまった場合
収入印紙を貼付したものの、消印を忘れてしまった場合も過怠税の対象となります。
過怠税の税額は、消されていない印紙の額面金額に相当する額です。もし2,000円分の印紙に消印をしていない場合は、2,000円の過怠税が課されるため、本来の印紙税額の2倍の金額を納めなければなりません。
不要な過怠税を避けるためにも、収入印紙を貼付したときは必ず消印を忘れないようにしましょう。
なお、過怠税の合計額が1,000円に満たない場合は、1,000円が課税されます。
貼り間違えてしまった場合
所定の印紙税額を超える金額の収入印紙を貼付してしまったり、非課税文書に収入印紙を貼付してしまったりした場合、過誤納金として還付を受けられるケースがあります。
還付を受けるためには、所轄の税務署へ印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書の提出を行い、過誤納の事実の確認を受けます。確認にあたって、印紙税が過誤納となっている文書が必要となりますので、申請書に添付して提出しましょう。
ただし、還付金の請求ができるのは、文書を作成した日から5年以内です。
収入印紙のない領収書をもらったときの対処法
取引先と金銭の授受を行う中で、収入印紙を貼付していない領収書を受領することもあるかもしれません。しかし、収入印紙を貼付する義務は領収書の発行側にありますので、収入印紙のない領収書を受け取ったからといって受領側にペナルティが課されることはありません。
領収書としての効力が失われる心配もありませんので、経理処理も通常どおり行えます。
とはいえ、領収書を発行した取引先には過怠税が課される可能性があります。今後の付き合いを考慮するのであれば、収入印紙を貼付していないことに気が付いた時点で指摘してあげるのが望ましいでしょう。
ただ、そもそも法人カードで決済すれば、収入印紙の有無を確認する手間がかかりません。発行側・受領側どちらの負担も軽減されますので、ぜひこの機会に法人カードの導入を検討してみましょう。
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収入印紙は正しく貼付しよう
収入印紙は印紙税を納めるためのもので、その取り扱いは法律によって定められています。正しく貼付しなかった場合は過怠税を課されることもありますので、きちんと取り扱いを理解しておくことが大切です。
また、法人カードを導入すれば領収書の発行側・受領側双方の負担が軽減されます。経理精算業務が効率化されるメリットもありますので、ぜひこの機会に導入を検討しましょう。
よくある質問
Q1.収入印紙とは?
収入印紙とは、税金や手数料、収納金を徴収するために国が発行する証票です。契約書や領収書などの課税文書を発行する際は、印紙税を納める必要があります。収入印紙とは、その印紙税を納めるために貼付するもので、印紙税法によって20種類の課税文書が定められています。
詳しくは以下をご覧ください。
Q2.領収書に収入印紙が不要なケースは?
領収書は課税文書の一種ですが、領収書に記載された受取り金額が5万円未満の場合は収入印紙の貼付が不要です。受取り金額が5万円以上であっても「電子データで発行した領収書」や、「クレジットカード・デビットカードでの決済に対する領収書」、「営利目的ではない領収書」などは課税文書に該当しませんので、収入印紙を貼付する必要はありません。
詳しくは以下をご覧ください。
Q3.収入印紙のない領収書をもらった場合どうする?
収入印紙を貼付していない領収書を受け取ったからといって、受領側にペナルティが課される心配はありません。収入印紙を貼付する義務があるのは領収書の発行側であるためです。とはいえ、今後の付き合いを考慮するのであれば、収入印紙の貼付がないことに気が付いた時点で取引先に指摘してあげるのが望ましいでしょう。
詳しくは以下をご覧ください。
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