SMBC ロゴ
SMBCグループ

ニュースリリース

イメージ

2021年1月28日

ローカルMaaSによる「地域のスマート化」を神戸市北区で実証

〜アプリを活用し、既存交通機関やキャッシュレス機能等と連携〜

株式会社日本総合研究所(以下「日本総研」)、QUADRAC株式会社(以下「QUADRAC」)、神戸電鉄株式会社(以下「神戸電鉄」)、神鉄タクシー株式会社(以下「神鉄タクシー」)、大和自動車交通株式会社(以下「大和自動車交通」)、筑紫が丘自治会、NPO法人まちなか☆モビリティー神戸北(以下「まちなか☆モビリティー神戸北」)、三井住友カード株式会社(以下「三井住友カード」)、みなと観光バス株式会社(以下「みなと観光バス」)は、神戸市北区において実施しているラストマイル移動サービスの実証(※1)を拡張させ、有償によるローカルMaaS(※2)の実証実験(以下「本実証実験」)を開始します。
本実証実験は、ラストマイル移動サービスと既存公共交通の連携のほか、移動以外の多様なサービスの提供によって地域のスマート化を図る「ローカルMaaS」の社会実装を目指して実施するものです。本実証実験用に開発したローカルMaaSのアプリは、マイカーに頼らない地域内外の移動をスムーズにし、地域内外の商店・企業等と地域をつなげ、住民同士の関わり合いの機会をつくる機能を備えています。本実証実験では、このアプリの運用を通じ、ローカルMaaSの有用性と事業性を検証すると共に、ローカルMaaSが住み心地のよい地域づくりに役立つかを検証します。
なお、本実証実験は、国土交通省「令和2年度日本版MaaS 推進・支援事業」において、新たなMaaS の構築を牽引するモデルプロジェクトとして選定されています。近畿運輸局および神戸市の協力の下、本実証実験を進めます。

背景

神戸市北区に位置する筑紫が丘エリア(筑紫が丘、広陵町、小倉台、桜森町にまたがる地域、以下「当エリア」)は、1973年に入居が始まったニュータウンです。当エリアは丘陵地であるため坂道が多く、徒歩での移動に困難や不安を感じる高齢者が増えています。
そこで日本総研では、徒歩圏の近隣移動をサポートするラストマイル移動サービスの当エリアでの実用化を目指すコンソーシアムを、2018年度に立ち上げました。以来、ユーザーとなる住民と共に、ラストマイル移動サービスのあり方について構想を立てながら、実証実験や事業化の検討を重ねています(※3)。
住民という、地域に根付いたユーザーにとって、サービスの持続性は、新しい交通機関に対する最も大きな期待の一つです。サービスを持続させるには、ユーザー自身が使い続けたくなる利便性と事業として成立するための採算性の確保が欠かせません。そのため日本総研では、ラストマイル移動サービスと既存の公共交通との接続性の向上や決済のスマート化、目的地となる地域の商店との連携の観点などを含めながら利便性と採算性を高めるための検討を進めています。

本実証実験について

本実証実験では、社会実装に必要な事業性を検証すべく、有償によるラストマイル移動サービスの提供を行います。また、本実証実験用に開発したウェブアプリ「まちモビ☆アプリ」を基盤に、ラストマイル移動サービスと以下のサービス・機能などとの連携の可能性を検証します。

  • ・乗り継ぎ支援
    公共交通の時刻表表示、車両の現在位置の表示、キャッシュレス決済機能
  • ・近隣商店によるプロモーション機能
    広告配信、来店者への交通費ポイントバックなど
  • ・その他
    有償ボランティアのマッチングおよび健康管理機能

本実証実験で検証するサービスの概要

「まちモビ☆アプリ」からは、以下のサービスが利用できます。

(ア)ラストマイル移動サービス

当エリア内に限定したラストマイル移動サービス。当エリア内のあらかじめ指定された78カ所の乗降ポイント間をオンデマンドで利用できる(まちモビ☆アプリか電話による前日予約が可能)。同じ時間帯に同じ方向に行く人は最大3人までの乗り合いが可能。月額乗り放題1500円の月会費を払うか、一日券300円を購入して利用(2021年1月12日から開始している無償での運行を、2月1日から有償に切り替え。(※1))。

(イ)乗り継ぎ支援関係

① 公共交通の時刻表表示機能
当エリア内の路線バス(阪急バス、みなと観光バス)の停留所別の時刻表および鉄道駅(市営地下鉄、神戸電鉄有馬線)の時刻表を表示
② ラストマイル移動サービスと路線バスの車両の現在位置表示機能
ラストマイル移動サービスと路線バス(みなと観光バス)の車両の現在位置を、地図上にリアルタイム表示
③ ラストマイル移動サービスと路線バスのキャッシュレス決済・認証機能
ラストマイル移動サービスと路線バス(みなと観光バス)のチケットをキャッシュレスで事前購入(クレジットカード決済のみ)。乗降時はまちモビ☆アプリ上に表示されるQRコードを車内のリーダーにかざして利用する。

(ウ)近隣商店によるプロモーション機能関係

① 交通費のポイントバックサービス(交通費ギフトアプリ「キテネ」)
来店に必要な交通費の全部または一部を負担する地域内外の商店等と利用者とのマッチングを行うサービス。使用した交通機関の領収書を商店等が確認後、事前に決められた負担分を利用者にポイントバックする(ポイントはAmazonギフト券に交換が可能)。
② ラストマイル移動サービスの車体・車内広告の掲載
ラストマイル移動サービスで使用する車両(ダイハツ工業「トール」)の車体広告(車両の左側面か後方にマグネットで貼付表示)および車内ディスプレイでの広告配信(動画等)を提供するサービス。

(エ)その他

① 健康管理支援サービス(健康管理アプリ「MY CONDITION KOBE」)
健康診断の結果や身体情報(計測値)、歩数や食事等の生活情報をデータベース化し、それに基づく健康アドバイスや健康情報を提供するサービス。神戸市が無料で提供している健康管理アプリ「MY CONDITION KOBE」に、まちモビ☆アプリから連携して利用。
② 住民同士の助け合いマッチングサービス(ご近所助け合いアプリ「GoodTiming」)
住民同士の有償ボランティアによる助け合いをマッチングするサービス。まちモビ☆アプリを通じてコミュニティサイト「GoodTiming」に依頼したいこと、あるいは手伝えることを登録しておき、それを見た人との間で条件が合えば、有償ボランティアが実行される仕組み。1回500円以上の料金設定が必要(クレジットカード決済)。

  • ※「GoodTiming」は、株式会社グッドタイミングが運営するコミュニティサイト。本サービスはGoodTiming上に、まちなかサービス会員限定のコミュニティを設定して提供。

まちモビ☆アプリ

ウェブアプリである「まちモビ☆アプリ」のトップ画面のイメージは、以下のとおりです。

まちモビ☆アプリトップページ イメージ

本実証実験の概要

期間:2021年2月1日〜3月26日

  • ※「令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」としては3月6日に終了。以後、3月26日までは、日本総研が主催する「まちなかサービス事業性検証コンソーシアム」の活動として継続。

運営主体:大和物産株式会社

利用条件:会員登録

運営協力:NPO法人「まちなか☆モビリティー神戸北」

役割分担

各社の役割は下表のとおりです。

各社 役割
日本総研 本実証実験の構想策定およびまちモビ☆アプリの要件定義を担当。また、実証実施に必要な各ステークホルダーとの調整を実施。
QUADRAC ラストマイル移動サービスと路線バスのチケット購入におけるキャッシュレス決済・認証機能のうち、認証機能およびまちモビ☆アプリにおいて本人認証を可能とするためのプラットフォームサービスを提供。
神戸電鉄 地域の公共交通事業者として、本実証実験の実施に必要な情報や知見を提供。
神鉄タクシー ラストマイル移動サービスの運行業務全般を担うと共に、運行主体として必要な申請をする等、関係行政機関等との調整を実施。
大和自動車交通 交通費ギフトアプリ キテネの開発・運用を担当。また、子会社の大和物産株式会社が運営主体として実証実施を担当。
筑紫が丘自治会 住民や他自治会に対する本実証実験の広報、説明会場としての自治会館の提供等の協力。
まちなか☆モビリティー神戸北 会員募集、スマホとアプリ利用の住民サポート、電話による予約と支払いのサポート、協賛・広告パートナーの募集を担当(まちなか☆モビリティー神戸北は、筑紫が丘エリアの住民が2020年12月に設立したNPO法人)。
三井住友カード ラストマイル移動サービスと路線バスのチケット購入における、キャッシュレス決済機能の開発・運用を担当。まちモビ☆アプリと連携するためのAPIも開発。
みなと観光バス 路線バスとラストマイル移動サービスの車両の現在位置表示機能(バスロケーションシステム、公共交通機関運行情報GTFSデータ化)の開発を担当。

なお、本実証実験は、日本総研が主催する「まちなかサービス事業性検証コンソーシアム」(2020年12月設立)と密接に関わりながら実施されています。まちなかサービス事業性検証コンソーシアムの参加メンバーは以下のとおりです。

【まちなかサービス事業性検証コンソーシアム一般会員】
株式会社NTTドコモ、関西電力株式会社、ダイハツ工業株式会社

【まちなかサービス事業性検証コンソーシアム協力会員】
神戸電鉄株式会社、神鉄タクシー株式会社、大和自動車交通株式会社、大和物産株式会社、NPO法人まちなか☆モビリティー神戸北、みなと観光バス株式会社

【まちなかサービス事業性検証コンソーシアムオブザーバー】
神戸市

※それぞれ五十音順

  • ※1 「自治によるまちづくり」に向けたラストマイル移動サービスの実証
    〜住民自身による郊外ニュータウンのまちづくりについて事業性と持続可能性を検証〜
  • ※2 MaaS(マース:Mobility as a Service)は、一人ひとりの移動ニーズに対応して、公共交通とそれ以外の移動関連サービスを連携させ、アプリ上で予約・決済までを可能にするサービス。移動の利便性を高めるだけでなく、目的地となる場所(商店、医院等)や移動以外のサービスとも連携させ、生活の利便性の向上に役立つことも期待されています。日本総研では、地域生活に欠かせないラストマイル移動サービスをハブとしたMaaSを、特に「ローカルMaaS」と呼んでいます。
  • ※3 2018年度に設立された「まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム」の活動については、以下を参照ください。
  • ※本実証実験における新型コロナ感染症対策について
    本実証実験で使用するラストマイル移動サービス車両には、UV除菌システムと車内換気システムが装備され、座席間は飛沫防止カーテンとアクリル板で仕切られています。また、アルコールによる車内消毒と利用者による乗車時の手指消毒、マスク着用を徹底し、感染リスクを最小化します。
    ラストマイル移動サービスは、買物や通院など、地域住民が日常生活を営むのに必要な移動をサポートする手段であり、不要不急の外出を促進するためのものではありません。また、キャッシュレス決済機能の普及は、現金のやり取りによる感染拡大の防止にも役立つものです。このため、現時点においては、本実証実験を計画どおり実施する予定です。ただし、行政や住民から延期・中止要請などがあった場合には、直ちに関係者で協議し、本実証実験継続の可否を速やかに判断します。

一覧へ戻る