岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学卒業。税理士としてのキャリアは20年以上。税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、会計・税務を軸に複数の会社取締役・監査役にも従事。
【保有資格】CFP® 、税理士
税理士法人みらいサクセスパートナーズ
企業の利益拡大において重要なカギとなるのが「経費の削減」です。恒常的に経費削減を行うことができれば、売上金額や粗利が同じであっても、より高い利益を得ることができます。では、具体的にどんな方法で経費削減を行えばいいのでしょうか。
ここでは、経費削減の具体的な方法を中心に、法人カードを使ったコストダウンのアイデアについてもご紹介していきます。
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経費削減とは?
経費削減というと、コピーの裏面を再利用したり、オフィス備品の無駄使いをなくしたり、使っていない部屋の電気を消灯したりなど、「節約」を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、経費削減とは単に目先の経費を節約するだけでなく、全社的な業務の効率化や自動化を抜本的に検討する経営戦略です。
経費の種類
経費には、大きく分けて「オフィスコスト」「エネルギーコスト」「オペレーションコスト」の3つがあります。それぞれのコストの特徴を見極めて、何を削減すればいいのか考えていきましょう。
オフィスコスト
オフィスや仕事を維持するのにかかるコストのことを指します。オフィスの賃料や設備導入費、仕事に必要な機器のリース料や消耗品がそれにあたります。毎月定期的に支払うものが多く、経営に直接影響を与えることがないので、削減しやすいのがオフィスコストの特徴といえます。
エネルギーコスト
インフラにかかわる経費を指します。電気代やガス代、水道代がこれにあたるものになります。こちらも毎月定期的に支払うものになりますので、削減効果は大きいといえるでしょう。インフラ企業との契約内容や、使っている機器の省エネ効果を見直してみるのも、エネルギーコストを抑える方法になります。
オペレーションコスト
主に人件費や物流費、旅費交通費のことを指します。賞与や福利厚生費なども含み、経費の多くがここにかかっていることもあり、削減効果は大きいですが、こちらを削減すると従業員の意欲低下などにもつながりかねないので、特に人件費や福利厚生にかかるコスト削減は、慎重に検討する必要があります。
経費削減の必要性
以上の3つが会社の運営にかかるコストになります。経費は必要なものですが、経費が利益を超えて膨らんでいくと経営は成り立たなくなってしまいます。すべてのコストを削ることはできませんが、事業の業態や無駄を見直して削れるものは削っていくことができれば、経営改善の手助けになるかもしれません。
経費削減をする際のポイント
経費削減を実施するには、あらかじめ押さえておきたいポイントが4つあります。とにかくすべてのコストを節減すればいいというものではなく、以下のポイントに注意して取り組んでください。
経費削減の対象・目標を設定する
まず、削減できる経費の対象や目標を設定します。
削減の対象は、予算に占める割合の高い費目にフォーカスすると効果的です。見当たらない場合は、働き方を変えることによって経費が削減できないか検討します。無駄な業務フローがないか、DX化して自動化できないかなどを見直します。
経費削減の対象が決まったら、次に削減する目標金額を設定します。設定せず漠然と取り組んでも効果は上がりません。対象や目標金額を設定することで、より具体的に経費削減への意欲が生まれます。経費削減で得られる効果を試算したり、いつまでに目標を達成するというスケジュールも立てたりすると、より効果が上がるでしょう。
商品・サービスのクオリティを下げない
経費削減で大切なのは、経費をとにかく削減すればよいということではなく、商品・サービスのクオリティは下げないことも検討すべき点です。商品・サービスのクオリティが低下するような経費削減を行って顧客の信用を失えば、ビジネスそのものが立ち行かなくなるということもあります。社内でDX化やロボティクス化をはかり、人件費や時間コストを抑えることで、商品やサービスの質を保つのにかかる経費を下げなくても済むような予算組みを検討すると良いでしょう。
従業員の理解を得て進める
行き過ぎた経費削減は、従業員に負担がかかり、仕事へのモチベーションを低下させる場合があります。目標とする経費削減の金額や期間もトップダウン式に進めるのではなく、従業員の理解と協力を得て実施しましょう。
従業員の仕事にも会社の業績にもメリットがあることを説明し、目標が達成できたら表彰するなど、経費削減へのモチベーションを高められるようにしましょう。
具体的な施策やアイデアが必要
経費削減だけしか考えず進めてしまうと、無理な目標金額や期間を設定してしまいがちです。実現可能な施策やアイデアを決めてから慎重に検討しましょう。
もし効果的な施策やアイデアが思いつかないときは、現場の従業員に意見を聞くのもひとつの手段です。
削減できる経費を見極める
一般的に経費とは「固定費」と「変動費」に分類できます。固定費は売上の増減に関係なくかかる費用で、オフィスの賃貸料や水道光熱費、人件費などが代表的です。一方、変動費は原材料の仕入れ原価、販売手数料、外注費など、売上に応じて変動します。その時々の売上やマーケットの動向によって、変動費を調整することは普段から行っているでしょうから、削減する際も比較的やりやすいでしょう。
問題は固定費です。売上に関係なく常に必要な費用と思われており、普段はなかなか削減に踏み切れません。そのため、固定費を削減する場合は、業務のあり方や人件費そのものから見直す必要があります。
わかりやすい例では、テレワークがあります。オフィスに出勤・常駐せずに、在宅などで業務対応するケースが増えました。誰もいないオフィスの高い賃貸料を支払わなくて済むように、安い物件に賃貸契約を結び直すことにした企業や、対面営業ができなくなったため、DX化によってコストや時間のロスを大幅に削減した企業もあります。
このように削減できる業務や経費を見極め、働き方の転換を図ることが大切なのです。
法人で経費削減するための具体的な方法
経費の中には積極的に削減すべきものと、慎重に見直さなければならないものとがあります。どのようなものがあるのか、以下で具体的にご紹介します。
削減するもの
積極的に経費が削減できるものには、以下のようなものがあります。
消耗品にかかる経費
経費のなかでも事務用品など消耗品の経費は、比較的にコストカットがしやすい項目のひとつです。
コピー用紙やトナー代などの消耗品は、まとめ買いするようにしたり、社内向け文書の場合は裏紙を利用したり、またできるだけモノクロ印刷にするといった方法も費用削減効果があります。ほかに、トナーはリサイクル品を活用するといった方法もあります。
水道光熱費やオフィスの賃料
水道光熱費や通信費、オフィスの賃料などのインフラは、固定費なので削減できないと考える方がいるかもしれません。しかし、固定費を見直せば、月々は微々たる差額でも年間を通して大きな経費削減が可能です。特に大きなオフィスや施設をいくつも所有する企業などは検討すべきです。
例えば、全社的にLEDライトに取り替えたり、料金プランの安い電力会社や通信会社に切替えたりすると、大きな効果が期待できます。オフィスの賃料も不動産業者を介して値下げ交渉する、場合によっては安い不動産物件への移転も検討してみましょう。
宿泊費や交通費
出張に伴う宿泊費や交通費を見直して、経費を削減することもできます。新幹線や飛行機などの交通費は、ファーストクラスやグリーン車の利用を避けることから始めましょう。ホテルの宿泊代なども、利用する宿泊施設の室料の上限を定めるとよいでしょう。
また、旅行客が混み合うハイシーズンは旅費も高くなるので、出張を極力少なくしましょう。あるいは、ウェブ会議ツールなどを活用して出張の回数を減らすのもいいでしょう。
なお、出張時に法人用のクレジットカードを利用することで、支払い額に応じて貯まったポイントをマイルに移行し、出張の際の航空券や社員旅行の支払いに充てれば経費の削減につながります。三井住友カードでは、ビジネス用「じゃらんnet」ホテル予約を利用して、法人カード会員に向けたお得なサービスを受けられます。
保険料
営業車などの自動車保険料、棚卸資産(商品在庫)や一般動産(設備、工作機械、工具、備品など)の事業用資産にかける火災保険料などの経費削減を検討します。
営業車などの社用車では、中古車を購入して車体購入費のコストを抑えることができますが、なかなか経費削減できる費目がありません。保有台数の多い会社であれば、自動車保険料を見直すことで大幅に経費削減することができます。
また、事業用資産にかける火災保険料についても、契約内容を見直すことで経費削減を検討できます。本来であれば別々に契約するはずの複数の敷地や施設をまとめて契約する「包括契約」では、支払限度額を設定することもでき、保険料を抑えることができます。
見直すもの
慎重に見直さなければならない経費削減は人件費です。
人件費
人件費の経費削減には流れがあります。安易な賃金カットやリストラを行うと、従業員のモチベーションが下がるだけでなく、業務に精通した従業員が辞めた場合、生産効率が落ちます。人材の教育にも時間がかかるため、人件費は簡単に削減できない経費です。
そのため、まずマニュアル化によって業務を可視化・標準化しましょう。誰でもすぐに仕事を覚えられるようになるため、業務効率もアップし残業代も減ります。そして正社員に替わって派遣社員やパート・アルバイトを起用すれば、人件費を削減できます。
ただし、注意しなければいけない点があります。賃金カットやリストラを断行することで業績不振に陥っていると思われると、金融機関や投資家の評価が低下するかもしれません。急激な経費削減ではなく、じっくり腰を据えて取り組めれば、大きな成果を生み出せるかもしれません。
福利厚生費
福利厚生は、従業員のモチベーションアップにつながると考えられています。しかし、実際には効果のない無駄な福利厚生費となっている場合は、積極的に削減しましょう。
例えば、会社全体の忘年会などの飲み会は、多額の費用がかかるのに従業員のモチベーションや満足度を下げる要因になっているかもしれません。また、契約している福利厚生のサービスの中で無駄になっているものがあるかもしれません。福利厚生として本当に必要なものなのか、いま一度見直してみるのもいいでしょう。
ペーパーレス化
業務のペーパーレス化を進めれば、コピー用紙やトナー、文房具などの事務用品はほとんど必要がなくなります。さらに社内サーバを安いクラウドのサービスに切替える、書類を電子ファイルにしてクラウドで共有する、認印を電子印鑑や電子署名にするなど、ペーパーレス化とともに業務のDX化を図れば、より経費を削減できます。
法人カード導入におけるメリット
経費削減ができる方法をいくつかご紹介してきましたが、法人カードの導入も効果的です。ここでは法人カードの導入が、経費削減にどのようなメリットがあるのか解説します。
メリット1 経理作業が効率化できる
法人カードに支払いをまとめることで、経理作業を効率化できます。
事務用品の購入費などのさまざまな支払いが、指定口座からまとめて自動引き落としになるため、振込み手数料を削減できます。また、従業員に法人カードを渡しておけば、立て替え払いの必要もなく、スムーズに決済できます。
さらに法人カードの利用明細を経費精算システムに連携することで、業務の効率化が可能です。そのほか、経費精算申請時の「利用日相違」「金額相違」「利用先相違」も防止できます。
なお、三井住友カードの法人カードなら、経費精算システムへ法人カードの利用明細を自動で取り込む「カード利用データの連携サービス」があります。
- ※法人カードの種類により利用できる経費精算システムが異なります。
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メリット2 キャッシュフローの安定につながる
法人カードの利用料金は、毎月決まった日に引き落とされるので、支払いまで一定期間猶予があるのが特徴です。決済のタイミングによっては支払いが2ヵ月猶予されることもあり、キャッシュフローが安定します。
メリット3 ポイント・マイルが貯まる
各種支払いに法人カードを利用することで、ポイントを貯めることができ、貯まったポイントを利用すれば、事務用品の購入や旅費交通費などに充てられるので、経費削減につながる可能性があります。
メリット4 付帯サービスを事業に利用できる
法人カードには個人向けのクレジットカードと同じように、さまざまなサービスが付帯されています。付帯サービスをうまく活用することで、経費削減につなげることもできます。
福利厚生サービスが付帯したものも多く、ホテルなどの宿泊施設やレストラン、ゴルフ場などさまざまな施設を特別優待料金で利用できます。接待や社員研修、福利厚生に活用してもいいでしょう。
また、法人カードに旅行傷害保険が付帯していれば、出張の際に別の保険に入る必要はなくなります。
三井住友カードの法人カードの場合、出張中の病気やケガを補償する「海外・国内旅行傷害保険」(※)が付帯されたクレジットカードがあります。
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※カードの種類により補償内容や保険金額、適用条件などが異なります。一部カードを除き、事前に旅費などを当該カードでクレジット決済いただくことが前提です。
※実際の保険金のお支払い可否は、普通保険約款および特約などに基づく保険会社の審査があります。
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メリット5 個人と法人の支払いが区別できる
法人カードを持つことで、個人カードと使い分け、仕事とプライベートの支払いをしっかり区別することができます。
特に個人事業主の場合、仕事の経費と個人の支出が曖昧になってしまうことがあります。どちらの支払いだったか判別する作業が発生してしまうと、事務的な負担が増えてしまいます。法人カードを持てば、利用明細をそのまま経理処理できますから、とても便利です。
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法人の経費削減には法人カードが便利
経費削減の方法をご紹介してきましたが、特に効果が上がるのが経理処理の効率化です。法人カードやクラウド会計ソフトを充分活用できているか、よく確認してみましょう。
よくある質問
Q1.経費削減をする際のポイントは?
経費削減のポイントは4つあります。経費削減の対象・目標を設定すること、商品・サービスのクオリティを下げない工夫をすること、従業員の理解と協力を得て進めること、具体的な施策やアイデアが必要だということです。無計画で性急な経費削減はよい効果を生みません。慎重に進めましょう。
詳しくは以下をご覧ください。
Q2.経費削減するための具体的な方法は?
まず、消耗品の経費は削減しやすい項目です。ほかに水道光熱費やオフィスの賃料、さらに宿泊費や交通費、自動車保険料や火災保険料の契約内容の見直しも効果的です。
また、福利厚生費の見直しも重要です。さらに業務のペーパーレス化を進めれば、コピー用紙やトナー、文房具などの事務用品はほとんど必要なくなります。なお、人件費については慎重に取り組む必要があります。
詳しくは以下をご覧ください。
Q3.経費削減で法人カードを導入するメリットは?
経費削減で法人カードを導入すると、支払いを法人カードにまとめて経理作業を効率化できたり、キャッシュフローが安定するほか、貯まったポイントやマイルを利用して経費を削減できたり、ビジネスに役立つさまざまな付帯サービスが利用できるなどさまざまなメリットがあります。
詳しくは以下をご覧ください。
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